Tokyo cinema cloud X by 八雲ふみね【第1272回】
シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信する「Tokyo cinema cloud X(トーキョー シネマ クラウド エックス)」。
今回は9月26日公開の『俺ではない炎上』と『君の声を聴かせて』をご紹介します。
(C)2025「俺ではない炎上」製作委員会 (C)浅倉秋成/双葉社
『俺ではない炎上』SNSによる冤罪の恐怖を鮮烈に描く
ミステリーの名手と呼ばれる小説家・浅倉秋成による同名小説を実写映画化した『俺ではない炎上』。
本作のテーマとなっているのは、SNSでの炎上。身に覚えのない殺人事件の犯人に仕立て上げられた男の逃亡劇をスリリングに描いた、サスペンス・ミステリーです。

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『俺ではない炎上』のあらすじ
大手ハウスメーカーに営業部長として勤務している山縣泰介。妻子とともに平穏に暮らす生真面目な男の生活に、とんでもない出来事が起こる。
彼のものと思われるSNSアカウントから女子大生の遺体画像が拡散され、瞬く間に殺人犯の濡れ衣を着せられてしまったのだ。
無罪を訴えるも、ネット上は炎上状態に。匿名の群衆から個人情報が特定され、その情報がさらに拡散される。事態はますます悪化し、泰介は日本中から追いかけ回されることになるが……。

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『俺ではない炎上』のみどころ
主人公の山縣泰介を演じたのは、圧倒的な存在感で観客を魅了する阿部寛。ごく普通の一般企業に勤める会社員が、世間から追い詰められてボロボロになっていく様子を熱演。しかし、悲壮感が漂うだけにあらず。過酷な状況にあればあるほど、その逃げ惑う姿が時にユーモラスに映ることも。“悲劇の中の滑稽さ”が伝わってくる阿部寛の緩急自在な演技は必見です。
共演には芦田愛菜、藤原大祐、長尾謙杜、浜野謙太、夏川結衣など、若手からベテランまで実力派の俳優たちが集結。

(C)2025「俺ではない炎上」製作委員会 (C)浅倉秋成/双葉社
主人公の周辺にいる人物たちがすべて怪しく見えたり、事態が変化するたびに大きく揺れ動くSNSユーザーの“意見”に流されそうになったり。ストーリーのあらゆるところにミスリードが散りばめられていて、衝撃の結末まで翻弄され続ける本作。
この物語を通じて観客が体験することは、現代を生きる私たちの日常そのものと言っても過言ではないほどのリアルが感じられます。SNSに疎いアナログ派も、SNSに馴染み深いデジタルネイティブも、この映画を観て決して他人事とは思えないはず。
ネット社会における、SNSとの関わり方とは。そして、家族の在り方とは。あらゆる世代の人に観てほしい一作です。

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『君の声を聴かせて』手話で紡ぐ恋心に胸キュン!
大学を卒業したものの就職する気になれず、両親が営む弁当屋を手伝っているヨンジュン。ある日、彼は配達先で、手話で話している女性ヨルムを見かける。
すっかり一目惚れしてしまったヨンジュンは、大学時代に覚えた手話を生かしてヨルムにアプローチ。しかし彼女には、オリンピックを目指している水泳選手の妹・ガウルがいて……。
2009年に制作された台湾映画を韓国でリメイクした『君の声を聴かせて』。
いま韓国でもっとも注目されている若手俳優であるホン・ギョン、ノ・ユンソ、キム・ミンジュが共演していることも話題となっている本作。彼らが手話で会話をするシーンでは、登場人物たちのときめきが伝わってきて、初々しく透明感あふれる演技に癒される人も多いはず。
2025年11月、東京では聴覚障碍者のための世界規模の総合スポーツ競技大会「デフリンピック」が開催されます。この秋、スポーツや映画を通じて、手話でつながる心に触れてみて。

(C)2025「俺ではない炎上」製作委員会 (C)浅倉秋成/双葉社
<作品情報>
俺ではない炎上
2025年9月26日(金)から全国ロードショー
出演:
阿部寛
芦田愛菜 藤原大祐 長尾謙杜
三宅弘城 橋本淳 板倉俊之 浜野謙太 美保純 田島令子 夏川結衣
監督:山田篤宏
脚本:林民夫
音楽:フジモトヨシタカ
主題歌:WANIMA/ おっかない (unBORDE/WARNER MUSIC JAPAN)
原作:浅倉秋成『俺ではない炎上』(双葉文庫)
配給:松竹
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<作品情報>
君の声を聴かせて
2025年9月26日(金)からTOHOシネマズ 日比谷ほか全国ロードショー
オリジナル映画:『聴説』(プロデュース:ペギー・チャオ/監督:チェン・フェンフェン)
出演:ホン・ギョン ノ・ユンソ キム・ミンジュ(元 IZ*ONE)
監督:チョ·ソンホ
音楽:チョ・ヨンウク
原題:청설(英題:Hear Me : Our Summer)
字幕翻訳:福留友子
提供:KDDI
配給:日活/KDDI
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連載情報

Tokyo cinema cloud X
シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信。
著者:八雲ふみね
映画コメンテーター・DJ・エッセイストとして、TV・ラジオ・雑誌など各種メディアで活躍中。機転の利いた分かりやすいトークで、アーティスト、俳優、タレントまでジャンルを問わず相手の魅力を最大限に引き出す話術が好評で、絶大な信頼を得ている。初日舞台挨拶・完成披露試写会・来日プレミア・トークショーなどの映画関連イベントの他にも、企業系イベントにて司会を務めることも多数。トークと執筆の両方をこなせる映画コメンテーター・パーソナリティ。
八雲ふみね 公式サイト http://yakumox.com/