料理家でフードコーディネーターのChiakiさんが、上柳昌彦アナウンサーがパーソナリティを務める、ラジオ番組「上柳昌彦 あさぼらけ」内コーナー『食は生きる力 今朝も元気にいただきます』(ニッポン放送 毎週月・金曜 朝5時25分頃)にゲスト出演。Chiakiさんが卵・乳製品・小麦を使用しないカフェを開いた経緯や、学生時代に食物アレルギーを発症した体験について語った。
Chiakiさんは「辻エコールキュリネール フランス・イタリア料理カレッジ」を卒業後、南イタリア料理店で修行。その後、国際料理研究家のアシスタントを経て、カナダ、アメリカ、オーストラリアなどで海外の料理を学ぶ。帰国後は料理家として独立し、現在は、卵・乳製品・小麦を使用しない野菜カフェ「en-kitchen」を経営するほか、世界各国の料理教室の開催、ケータリングの提供、小学校での食育指導、メディア出演など、多方面で活躍している。
「卵・乳製品・小麦」を使わないカフェ
上柳:だいぶ寒くなってきて、具だくさんのお鍋がおいしい季節になりましたね。でも、食物アレルギーがある方にとっては、どんな食材が入っているのか気になるところだと思います。「うちの子どもが食物アレルギーで……」「うちの孫が……」といったメールも、番組によくいただきます。
実は、Chiakiさんご自身にもアレルギーがあるそうです。今回は、お医者さんの立場ではなく、Chiakiさんの経験談として、少しでも皆さんの参考になったり、これをきっかけに医師へ相談するきっかけになればという思いで、お話を伺います。
名古屋で野菜カフェ「en-kitchen」を経営されているそうですが、どんなお店なのでしょうか?
Chiakiさん:en-kitchenは、卵・乳製品・小麦を持ち込まず、それ以外の食材で料理を作って提供しています。
上柳:ということは、アレルギーの方、ヴィーガンやグルテンフリーの方が、いろんなメニューを選べるということですね。
Chiakiさん:そうです。ただ、普通のカフェとしてオープンしたかったので、「アレルギー専門店」や「ヴィーガン専門店」とは打ち出していません。お店では肉や魚のメニューも用意しているので、お客さまが自由に好きな料理を選べるようにしています。
上柳:普通の人も、食をちょっと気にしないといけない人も、皆さん一緒においしく食事ができるなんて素敵ですね。そういうお店が増えるといいですよね。
Chiakiさん:カナダ、アメリカ、オーストラリアなどで海外の料理を学んだ経験もあり、もっと食事の選択肢を広げたいという思いから、このお店を始めました。
上柳:海外には、こういうお店がよくあるんですか?
Chiakiさん:はい。多くのお店でいろいろな食の選択肢が用意されていました。
上柳:お店のメニューに「ベジタリアンカレー」があって、追加で塩麹チキンや大豆ミートを入れることができるようになっていますね。
Chiakiさん:料理のベースはすべてヴィーガンにしていて、そこにチキンを入れたり魚を入れたり、自分で好きなものを選んでいただくようにしています。
お客様の中には「最近、こういうものを控えています」「ヴィーガンです」「グルテンフリーです」と言って来られる方もいるので、いろんなものを提案できればいいなと思っています。
上柳:食に関して制限がある方でも、楽しんで食事ができそうですね。
食物アレルギー表示対象品目
上柳:アレルギー症状を引き起こす可能性のある食品は、どんなものがあるのですか?
Chiakiさん:食品表示基準で表示を義務付けられている「特定原材料」が8品目、表示を推奨されている「特定原材料に準ずるもの」が20品目あります。以前まで特定原材料は7品目だったんですが、クルミが新たに追加されて8品目となりました。
【特定原材料】
えび・かに・くるみ・小麦・そば・卵・乳・落花生(ピーナッツ)
【特定原材料に準ずるもの】
アーモンド・あわび・いか・いくら・オレンジ・カシューナッツ・キウイフルーツ・牛肉・ごま・さけ・さば・大豆・鶏肉・バナナ・豚肉・マカダミアナッツ・桃・やまいも・りんご・ゼラチン
小学生でアレルギーを発症した当時の体験
上柳:Chiakiさんは小学校高学年でアレルギーを発症されたそうですね。突然に発症したのですか?
Chiakiさん:突然、蕁麻疹が出ました。
一番つらかったのは、病院の先生から「ケーキに入っているものを控えましょう。どちらかといえば、ケーキは食べない方がいいですよ」と言われたのが本当にショックでした。ケーキがすごく好きだったので、次の日から「自分は何を食べればいいか分からない」という状態でした。蕁麻疹は全身に出ましたが、私の場合は鼻のライン、首もと、肘、膝によく出ました。
上柳:小学校高学年ということは、お母様が毎食作るわけですから大変だったでしょうね。
Chiakiさん:そうですね。母から「変わってあげられなくてごめんね」と言われたことがありました。
上柳:『なんで我が子に?』と、お母様もつらかったでしょうね。
Chiakiさん:食生活の改善を始めてからは、だんだん症状が治まっていきました。
上柳:具体的にどんな取り組みをされたのですか?
Chiakiさん:もともとマヨラーでマヨネーズ好きだったんですが、卵が入っているので、その日からマヨネーズをやめました。代わりに塩やオリーブオイルで食べるようにしたところ、症状はかなり改善しました。
ただ、重篤なアレルギーの方の場合、醤油に含まれる小麦も避けなければならず、醤油自体が使えないというケースもあります。私は微量の摂取なら問題なかったので、比較的軽度だったのだと思います。
上柳:学校の給食や外食はどうしていたんですか?
Chiakiさん:外食はほとんどしていなかったと思います。本当に特別な日に行く程度でした。
給食に関しては、まわりに知られたくない気持ちもあって、いつも全部食べていました。でも、だいたい5時間目になると湿疹が出てしまっていて、給食後の授業には出られませんでした。保健室に行って顔を伏せて休んだり、冷やしてもらったりして過ごしていたと思います。
上柳:お母様も料理をいろいろと工夫してくれたそうですね。
Chiakiさん:母が調味料をいろいろ工夫してくれて、手作りのものが多かったと思います。
上柳:食べることに関していろいろと苦労されたわけですが、料理に関心を持つようになり、高校を卒業して料理学校へ行かれたんですよね。なかなか面白い展開ですね。
Chiakiさん:食べられなかった悔しさがあったので、料理学校に進んだのは反動です。実はケーキも食べられるようになったので、そこからの反動はすごく大きかったと思います。
――食物アレルギーは生活に大きな影響を与えるが、工夫を重ねることで安心できる選択肢は広がっていく。一方で、アレルギーは周囲が気づきにくい課題でもある。決して特別なものではなく誰にでも起こりうるからこそ、この“見えにくさ”に理解が向く環境づくりが大切ではないだろうか。

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