株式会社ニッポン放送が開発した音声多言語翻訳ツール「リングイイネ!」が、12月16日、アラブ首長国連(UAE)アブダビのシンクタンク「TRENDS」が主催する国際会議において紹介された。

会場では、ニッポン放送が手掛けるポッドキャスト「Anime English Club」のパーソナリティで声優の天城サリーが本会議のために事前収録した挨拶コメントをもとに、その音声を「リングイイネ!」を使いアラビア語へ変換した映像が映し出された。

本セッションでは、東京大学先端科学技術研究センター教授の池内恵氏が登壇し、日本のエンターテインメント、とりわけアニメ・声優文化が中東地域において高い人気と成長可能性を有している点に言及。その具体的なソリューションの一例として、ニッポン放送が開発した音声多言語翻訳ツール「リングイイネ!」を取り上げ、日本の人気声優による音声コンテンツを“声の個性や感情表現を保ったまま”多言語展開できる技術として説明した。

【池内恵教授の国際会議でのコメント】
ニッポン放送は、アニメやゲーム向けにAIを活用した音声多言語生成ソリューションを開発しています。日本には世界的にも大きな声優市場があります。一方で、アニメはアラブ世界でも非常に人気が高いものの、長らく言語の壁が存在してきました。しかし今回、ニッポン放送は声の個性や感情を保ったまま多言語化を自動生成する新たなAIソリューションを開発しました。これは、AIが新しい市場を切り拓くだけでなく、事実情報にとどまらず、感情や人間的な価値をより豊かに伝える体験を生み出すことを示しています。日本とUAEは、このように互いにまだ十分に掘り起こされていない資源を持つ関係にあり、今後さまざまな分野での協力が大きく発展していくと考えています。

【池内恵教授プロフィール】
東京大学先端科学技術研究センター教授(グローバルセキュリティ・宗教分野)。イスラム政治思想、中東地域政治・安全保障を専門とし、学術研究と国際政策の両面で活動。多数の著作が大佛次郎論壇賞、サントリー学芸賞、毎日書評賞などを受賞し、国内外で幅広い発信を行っている。また大学発シンクタンク「創発戦略研究オープンラボ(ROLES)」の設立・運営を主導している。

池内教授は、TRENDS主催の国際コンベンションにおいて、日本を代表する有識者として登壇し、日本のAI技術や文化コンテンツの国際展開について知見を共有した。

■リングイイネ!の主な特徴

パーソナリティ本人の声質・雰囲気を保持したまま多言語に音声変換が可能。英語、中国語、韓国語など8言語に対応(今後さらに拡大予定)。サービス名はイタリア語のlingu(舌、言語)が語源。
現在、「リングイイネ!」を活用し、日本のアニメ・ポップカルチャーに関するポッドキャストコンテンツを英語に変換し、音声コンテンツのポータルサイト「ANIME POPCAST」として展開している。

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