ニッポン放送報道部畑中デスクのニュースコラム「報道部畑中デスクの独り言」(第453回)

■阪神・淡路大震災から31年。東京で開かれた「1.17のつどい」

2026年、正月も半分が過ぎました。

この時期は防災への意識を新たにします。1995年1月17日に発生した阪神・淡路大震災。被災地のみならず、今年も東京都内で「1.17のつどい」が開かれました。2019年から始まった都内の取り組みはコロナ禍で中止になった2年間を除き、毎年行われています。

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1.17のつどい

昨年の日比谷公園大音楽堂から今年は日比谷通り沿いに南に移動、芝公園の多目的運動広場で東京タワーを背にして実施されました。「希望の灯り」……、会場には「1.17 つむぐ」の文字が象られます。ちなみに一昨年は「ともに」、昨年は「よりそう」でした。昨年の日比谷公園ではLEDライトが灯されていましたが、今回は一部が「生火」のキャンドル。「やっぱり、温かみが違う」とは主催者の話、火気使用に際しては消防や行政との調整が大変だったということです。

地震発生時刻から12時間後、日が暮れた午後5時46分には黙とうがささげられました。参加者は主催者発表で約100人、様々な震災への思いを口にしました。

震災後に生まれた主催者のスタッフはこのように話します。

「小さいころから学校で震災の教訓を聞いてきた、母は当時、神戸の病院に務めていて被災した話を聞く機会もあった。過去の災害から教訓などを学びながらつないでいくことが大切」

「能登半島のボランティアの支援にも行っている。私たちの世代は防災が大事と言われて育ってきたが、何で大事なのかをしっくりこない。自分の中で落とし込むためには実際に経験した方々のお話を聞くのが一番だと思う」

2026年、防災への意識を新たに……【みんなの防災】

1月17日午後5時46分 東京都内でも黙とうがささげられた

震災に居合わせた人も参加していました。

「当時は神戸市灘区に住んでいた。勤務先は神戸大学で、学生39人、職員2人が亡くなった。当時自分はアマチュア無線クラブの副顧問をしていたが、部員が少なく非常通信ができなかったことが悔やまれる。アマチュア無線を使った連絡網を使って日ごろから訓練していく必要があるのではないか」

「当時は学生だった。揺れで部屋に閉じ込められたが、 普段はこたつでうたた寝していることが多いのに、この時はベッドで寝ていた。こたつにはテレビが落ちてきていた。こたつにいたらここにはいなかっただろう」

「里帰り出産で実家の神戸に戻っていた。病院では娘と1日違いで生まれた赤ちゃんと母親(ママ友)が同室で一緒にいたが、2人はその後、震災で亡くなった。

ショックで(つどいにはこれまで)来られなかったが、娘も母になったので行ってみようという気持ちになった」

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「1.17のつどい」は東京タワーを背に実施された

この女性は教訓から得た地震対策も話してくれました。

「地震が起きたら絶対にドアを開ける、風呂の水も次に入れ替えるまで置いてある。子どもたちも少しでも揺れたらドアを開けるようにしている。ちょっとずつ地震への意識をつないでいけたらと思っている」

そして、当時は小学生で宮城県に住んでいた男性はこのように語ります。

「震災は外国で起きた事件のように思っていた。ただ、2011年東日本大震災が襲い、地震に関心を持つようになった。1月17日は必ず追悼している。復興のモデルケースは阪神地域と確信している。防災士資格も取得した。万が一のことが起きた時は率先して手伝えることを身につける手段としたい」

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気象庁・野村竜一長官

■東日本大震災から15年、熊本地震から10年 気象庁長官の決意

1月21日には気象庁で野村竜一長官が新年最初の定例会見を開きました。今年は熊本地震から10年、東日本大震災から15年となります。大きな災害が発生するたびに、注意喚起や呼びかけの改善などを行ってきた中、野村長官は「改めてこれまでの対応を振り返り、改善すべき点があれば改善していきたい」と述べました。

昨年は「北海道・三陸沖後発地震注意情報」が初めて発表され、おととしは南海トラフ地震臨時情報の発表もありました。「次の改善の基が揃った」とも語り、内閣府と連携し、より的確な情報運用などに務めていく考えを示しました。

今年に入っても山陰地方では最大震度5強の地震がありましたが、野村長官は「いま何も起こっていない状況は貴重な時間」として、対策を呼びかけました。ただ、「理想論に沿って揃えようとしても何もしないということになってしまう」とも話します。できる範囲の対策……、「水を3日間分揃える」「風呂の水が次使うまで捨てない」などの例を挙げ、「準備を積み重ねながら対応力を高めてほしい」と述べました。

防災・減災への取り組みは果てしなく広がるジグソーパズルのようなものだと思います。大きな災害を教訓にしながら、必要な取り組みは何か……、パズルのピースを地道に埋めていく作業に似ています。それはどれだけ情報発信体制が進化しても、尽きることはないでしょう。でも、ピースが完全に埋まる日が来ることを信じて……、防災への意識を常に上書きする日々が続きます。

(了)

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