元経済産業省官僚でエネルギー事情に詳しい政策アナリストの石川和男が2月24日、ニッポン放送Podcast番組「石川和男の徹底解説1から学ぶSAF知識」に出演。SAF=持続可能な航空燃料の普及に取り組むJALの担当者に話を聞いた。

「SAFは航空の脱炭素の切り札」JAL担当者が語るSAF普及...の画像はこちら >>

(左から)佐々木真奈美、ゲストの廣谷和生 氏、石川和男

SAF(サフ)は「Sustainable Aviation Fuel」の略で、「持続可能な航空燃料」と訳される。既存の航空燃料は原油から作られており、化石燃料を燃やすため大量の二酸化炭素を排出する。一方のSAFは、使用済みの植物油(廃食油)のほかコーンやサトウキビ、藻などを原料にして作られる。これら原料である植物は、光合成を行い大気中の二酸化炭素を吸収するため、燃焼によって二酸化炭素を排出しても、植物の光合成で吸収することで、大気中の二酸化炭素をほとんど増やすことなく航空燃料を使用することができる。二酸化炭素は地球温暖化の主な原因とされる温室効果ガスの最たるもので、排出量の削減が急がれている。

番組に出演したJAL ESG推進部GX企画グループの廣谷和生グループ長は「JALグループでは、2025年度に全搭載燃料の1%をSAFに置き換えるという目標を立てている。国内外からSAFを調達しており、(年度末の3月中に)ほぼ達成できる見込み」と明かし、「次の目標として、2030年度に10%という目標を立てている」と述べた。

これに対し石川が「普通の感覚でいうと1%って少なくない?」と尋ねると、廣谷氏は「現状、全世界でみてもSAFの普及率は0.6%」だと述べ、その理由として「原材料やプラントの建設費が想定以上に高くなっていて、従来の燃料と比べて価格が非常に高くなっている」とコストが普及の障壁になっていることを挙げた。同氏によると、従来の航空燃料に比べSAFは「3~5倍」のコストがかかるという。さらに、供給量の少なさがもうひとつの課題点であると指摘した。

これらの課題を解決するため、JALグループではSAFの主な原料のひとつである使用済み天ぷら油など家庭から出る廃食油を自治体やスーパーマーケットと協力して回収する取り組みや、国内の森林資源を活用するプロジェクト、JALが所属する航空連合「ワンワールド」の加盟各社と共にファンドを通じてSAFの新たな製造技術を開発する会社に投資を行っていることが紹介された。

廣谷氏は「航空は経済にとっても社会にとっても重要なインフラだと自負している。

ただ、燃料を燃やす以上、環境負荷は避けられない。インフラを維持しながら環境負荷を減らすという課題を解決するのは、私たち航空会社の責任だ」と述べたうえで、「何かひとつすごい解決策があるわけではなく、いろんな分野でいろんな取り組みを繰り出していかないとこの課題解決はしていかない」と指摘。国際線は半分、国内線は全量を国内で給油することから国産SAF拡大が脱炭素に欠かせないとの認識を示し、石油元売り各社やSAFの製造開発に取り組む関係先、政府とも連携をして議論を加速させていく必要性を訴えた。

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