ミラノ・コルティナ2026冬季パラリンピック競技大会(以下、ミラノ・コルティナ2026大会)が3月6日に開幕する。2つの都市を中心に、競技会場や選手村が3エリアに分かれて設けられる広域開催となり、6競技79種目が実施される。

日本代表選手団は全競技に出場予定で、15日まで熱戦を繰り広げる。今回は各競技の注目ポイントや注目選手を紹介する。4年に一度の大舞台に挑むパラアスリートたちへ、エールを送ろう。

【パラアルペンスキー】

雪山の急斜面を高速で滑り降り、タイムを競う冬季大会の花形競技。種目は男女別に、立位、座位、視覚障がいの各カテゴリーで実施される。さらに障がいの種類や程度、運動機能などによってクラス分けされ、選手ごとに設定された係数を実際の滑走タイムにかけた計算タイムで順位が決まる。

日本からは5人が出場する。女子座位のエース・村岡桃佳(トヨタ自動車)は昨年11月、海外での練習中に左鎖骨を骨折。帰国後に手術を受け、リハビリを経て本格的なトレーニングを再開した。これまでに金4個を含む計9個のメダルを獲得し、技術系・高速系の両種目で実績を重ねてきた“冬の女王”の復活の滑りに期待がかかる。

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ケガから復帰の滑りに期待がかかる村岡桃佳=SUGADAIRA 2021WORLD PARA ALPINE SKIING ASIAN CUPで撮影

女子立位では、前回の北京大会で出場5種目すべてに入賞した本堂杏実(コーセー)が、3度目のパラリンピックで表彰台を狙う。

男子座位の森井大輝(トヨタ自動車)は、2002年のソルトレークシティ大会で初出場を果たし、今大会で7大会連続出場。

競技と並行してチェアスキーの研究開発にも取り組み、軽量化や高剛性を追求してきた。北京大会では滑降など2種目で銅メダルを獲得し、5大会連続でメダルを手にしている。ミラノ・コルティナ2026大会では、悲願の金メダル獲得に挑む。

ミラノ・コルティナパラリンピックの注目ポイント紹介!
森井大輝は7大会連続出場。悲願の金メダル獲得を狙う=2026ジャパンパラアルペンスキー競技大会で撮影

森井大輝は7大会連続出場。悲願の金メダル獲得を狙う=2026ジャパンパラアルペンスキー競技大会で撮影

【パラスノーボード】

上肢または下肢に障がいがある選手がスノーボードで雪上を滑り、速さを競うパラスノーボード。スリルと駆け引きが魅力の人気競技だ。クラスは上肢障がいのSB-UL、下肢障がいのSB-LL1、SB-LL2の3区分。種目は、連続するバンクを滑走してタイムを競う「バンクドスラローム」と、バンクやジャンプが設けられたコースで勝ち抜き戦を行う「スノーボードクロス」が実施される。

日本チームのキャプテンは、3大会連続出場となる小栗大地(SCSK)。元プロスノーボーダーで、2013年に仕事中の事故で右脚を膝上から切断した。義足を装着して競技を続け、35歳でパラスノーボードの大会に初出場。以来、日本のパラスノーボード界をけん引し続けている。

今年1月、スイス・レンクで行われたW杯のスノーボードクロスで優勝し、パラリンピックでも初のメダル獲得を狙う。

同じSB-LL1クラスの小須田潤太(オープンハウスグループ)は、日本代表選手団の旗手を務める。2025年の世界選手権ではバンクドスラロームで優勝し、日本人初の快挙を達成。今年1月の海外遠征中に右ひじを骨折したが、雪上での調整を続けている。パラリンピックでは「小栗選手とふたりで表彰台に立つ」と意気込む。

【車いすカーリング】

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車いすに乗って行うカーリング競技で、一試合は8エンド制。一般のカーリングと大きく異なるのは、投球後に氷をブラシで掃くスウィーピングが禁止されている点だ。種目は男女混合4人制のミックスと、今大会から正式種目となる男女混合2 人制のミックスダブルス。開会式(6日)に先立ち、4日からミックスダブルスの予選が始まる。

日本からは、小川亜希と中島洋治の「チーム中島」がミックスダブルスに出場。2025年の世界選手権優勝で出場権を獲得した。ふたりは2010年のバンクーバー大会のミックス日本代表で、実に16年ぶりのパラリンピック出場となる。

小川の冷静な判断力と、中島の精度の高いドローショットを武器に頂点を目指す。なお、小川はスノーボードの小須田潤太とともに、日本代表選手団の旗手を務める。

ミラノ・コルティナパラリンピックの注目ポイント紹介!
車いすカーリングミックスダブルスに出場する中島洋治(左)と小川亜希=第21回ナブテスコ日本車いすカーリング選手権大会(4人制ミックス)で撮影

車いすカーリングミックスダブルスに出場する中島洋治(左)と小川亜希=第21回ナブテスコ日本車いすカーリング選手権大会(4人制ミックス)で撮影

【パラクロスカントリースキー・パラバイアスロン】

パラクロスカントリースキーは、平地や坂のあるコースを滑走し、タイムを競う競技。上り・下り・平地が連続する長距離コースを滑り抜く持久力、技術、戦略が求められる。パラバイアスロンは、クロスカントリースキーのフリー走法と射撃を組み合わせた競技。起伏のあるコースを滑走し、途中の射撃で標的を狙う。いずれも障がいの種類や程度によってクラス分けされ、男女別に立位、座位、視覚障がいの3カテゴリーで実施される。

前回の北京大会では、川除大輝(日立ソリューションズ)がパラクロスカントリースキーの男子20kmクラシカル(立位)で金メダルを獲得した。その後のW杯でも総合優勝を果たすなど、日本のエースとして今大会でも活躍が期待される。

女子の阿部友里香(同)は4大会連続出場。北京大会ではパラクロスカントリースキー女子15kmクラシカル(立位)で8位入賞のほか、パラバイアスロンでも健闘した。2023年4月に第一子を出産。

母としてさらに成長した姿で、世界に挑む。

【パラアイスホッケー】

下肢に障がいがある選手のための男女混合のチームスポーツ。選手は両手に1本ずつスティックを持ち、「スレッジ」と呼ばれる2枚刃の専用のそりに乗ってプレーする。試合は15分3ピリオド制。アイスホッケー同様にボディチェックが認められており、「氷上の格闘技」と称される。

日本代表は2大会ぶりのパラリンピック出場。福西朱莉(東京アイスバーンズ)が女子選手として初めてメンバーに選ばれた。飛躍のカギを握るのが、伊藤樹(ロスパーダ関西)、鵜飼祥生(東海アイスアークス)、森崎天夢(北海道ベアーズ)の“20歳トリオ”だ。スピードと高い技術に加え、優れたホッケーIQでエースへと成長した伊藤、昨年11月の最終予選でチーム最多得点を挙げ優勝に貢献した鵜飼、FW・DFの両方をこなす万能型の森崎と、それぞれの強みがチームに勢いをもたらす。若手の躍動を中堅・ベテラン勢が心身両面で支える“融合チーム”の戦いぶりに注目だ。

撮影/植原義晴
取材・文/荒木美晴

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