2月24日、国土交通省と経済産業省資源エネルギー庁が、SAF(持続可能な航空燃料)への理解促進や利用拡大を目的とした“空のカーボンニュートラル”シンポジウムを開催した。

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「空のカーボンニュートラル」シンポジウムvol.4の様子

2050年のカーボンニュートラルに向けて、航空分野においても脱炭素化の機運が高まっており、SAFは航空脱炭素化に向けた切り札とも言われ、その利用拡大は日本の産業全体にとっても重要な課題となっている。

4回目の今回は、SAFの更なる認知拡大と利用促進に向けて、関係者による講演やパネルディカッションを通じて議論を行い、今後の航空脱炭素化の推進に繋げていくための方策を考えた。

“空のカーボンニュートラル”シンポジウムvol.4 ENEOSの取り組み
ENEOS株式会社 バイオ燃料部長 今朝丸 研一郎さん 

ENEOS株式会社 バイオ燃料部長 今朝丸 研一郎さん 

中でも注目したのがENEOSの取り組み。ENEOS株式会社 今朝丸 研一郎 バイオ燃料部長が「国産SAFの普及に向けた供給体制の構築 ~国産SAFの効率的な供給の実現に向けた実証~」と題して講演。2028年度以降、三菱商事と共同で和歌山製造所において、バイオ燃料製造プラントの建設を検討しており、年間約40万キロリットルのSAFを中心に、バイオ燃料の製造を検討している。「国内最大規模での国産SAFの安定供給体制構築を目指す」と話した。

“空のカーボンニュートラル”シンポジウムvol.4 ENEOSの取り組み
廃食用油の専用リターナブルボトル(左)

廃食用油の専用リターナブルボトル(左)

航空輸送サプライチェーンの脱炭素化にはSAFの導入が欠かせない。一方でSAFは従来の化石燃料より高価なため、利用拡大にはサプライチェーン各社が航空輸送の脱炭素化へ主体的に関与することが重要である。SAF利用により生じる間接的なCO2排出量の削減効果(Scope3環境価値)を航空機利用の企業が自らのCO2削減に活用し、SAFに係るコストをシェアすることのできる「環境価値取引スキーム」が求められている。ENEOSではSAF利用に伴うCO2削減効果(環境価値)を証書化して提供し、企業のScope3排出削減に貢献している。

“空のカーボンニュートラル”シンポジウムvol.4 ENEOSの取り組み
ENEOS株式会社バイオ燃料部バイオ燃料総括グループマネージャーの笠川美香さん 

ENEOS株式会社バイオ燃料部バイオ燃料総括グループマネージャーの笠川美香さん 

ENEOS株式会社バイオ燃料部バイオ燃料総括グループマネージャーの笠川美香さんは「エアラインのお客様が、SAFを利用すると燃料の直接消費によるGHG(温室効果ガス)排出量が削減される。同時に航空機を利用する企業にとって、貨物輸送や社員の出張などによって排出される間接的なGHG排出量の削減も行われる。しかし、SAFを使用している航空機を利用する企業がそれによって得られたGHGの排出削減効果を証明することは難しいのが一般的。

そこでENEOSでは社員の出張や荷物の輸送等で航空機を利用する企業に対して、SAF利用によるScope3の排出削減である環境価値を提供するサービスを始めている。このサービスを通じてSAFのコストとメリットを航空燃料サプライチェーンの皆で共有して、SAFの普及およびGHG排出削減を推進することを目的としている」と話した。

また、ENEOSはSAF普及に向けた取り組みとして、名鉄観光サービスとともに都民を対象とした山口県にある麻里布製油所の見学ツアーや、東京農業大学と協同で、都内の中学生・高校生を対象に、北海道にてSAFをテーマとした探究学習プログラムを企画。両規格は、東京都の「バイオ燃料活用における事業化促進支援事業」を活用して実施しており、SAFの環境価値を活用し、航空機移動のGHG(Scope3)の排出削減に貢献をしている。

笠川さんは「バイオ燃料の原料調達・製造から販売まで一貫して構築していくことがこれからの取り組み」と言い、「原料調達にも力を入れ、製造は和歌山製造所で検討をしている。販売もいち早く国内で体制を作っていこうと、柔軟性の高い供給方法を実証したりなど、どうやってお客様に早く買って頂けるような仕組みづくりができるかを日々行っている」と言い、「SAFをもっと知ってもらって、SAFに価値を感じ、それに対価を払って頂ける仕組みづくりが大切」と述べた。

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