各トラブルに対する運営側の対応や、実際にトラブルに遭遇した際に影響を最小限に抑える方法について、大阪出身・在住で万博に15回以上足を運んだ旅行ジャーナリストが紹介する。
■万博トラブル1. 地下鉄が止まって帰宅難民に……

開幕前から「万博会場を結ぶ鉄道が1本しかなく、トラブルが起きた際の対応は大丈夫なのか」という指摘はいくつかあった。実際、開幕後も一時的な運転見合わせにより、夜間の夢洲駅に多くの乗客が滞留したことは一度や二度ではない。
この日の夢洲駅では、案内が少なく、列がまったく動かないことに対して、乗客の怒号が飛び交っていたという。一方で、西ゲートに臨時バスが用意されても、万博協会は「すでに混雑していたため、(夢洲駅がある)東ゲートからの誘導はあえて行わなかった」とも報じられた。さらに、万博協会が災害レベルに準じた対応に切り替えたのは14日未明で、備蓄していた飲料水の配布は同日午前4時ごろだった。
大阪メトロは13日深夜に、中央線・夢洲~コスモスクエア駅間のほか、ニュートラム線と四つ橋線の運行を行った。このルートを利用すれば、(大回りにはなるが)なんばや本町、梅田などにもアクセスできる。ところが、この情報も当日の現地では一部の来場者しか知ることができなかったという。
「スタッフに聞くたびに案内が異なった」「万博会場内でスマホのバッテリーを使い切ってしまい、充電もできず使えなかった」「開放されたパビリオンが満員で、外で寝転がるしかなかった」などの声も。
同様の事態が、再び起こらないとも限らない。「地下鉄が万が一止まった場合」に備えて代替ルートを確認しておくことや、情報収集に使うスマートフォンの予備バッテリーを事前に用意しておくことをおすすめする。
■万博トラブル2. 入場ゲートの待機列で口論、転倒、罵声
東西のゲートでは、早朝から待つ来場者も多い。東ゲートでは地下鉄の始発で到着して駅からダッシュする人、西ゲートではタクシーで現地に向かい待機列に並んで開始時間まで待つ人、中には東ゲートに前夜から並ぶ人や、始発前に徒歩で夢洲入りして並ぶ人までいる。
この入場前の待機列でトラブルが起きている。われ先にと前へ行こうとするのは、もはや日常茶飯事。ある日は筆者が並んでいた行列の近くで、1人で来ていた女性同士が順番を巡って口論になり、罵(ののし)り合いに発展。別の日には日傘を差す人が多いゲート待ちで、密集状態のなか傘の先端が当たって「危ない!」と感じたこともあった。
パビリオンは予約必須の場合もあれば、「列に並べば入場できる」ところも多い。ただ人気のパビリオンは長い列ができ、以前ならすぐ入場できたパビリオンでも現在は平日すら「行列規制」が行われる。そうなると列に並ぶことすらできないが、列が短くなった後の“規制解除”を待つ人々が周囲にたむろし、「今から並べます」とアナウンスされるや否や人が殺到する。中には、人にぶつかって転倒させても放置したり、パビリオンのスタッフや警備員に怒鳴る人もいて、非常に危険な状況が見受けられる。
万博協会は8月29日、公式Webサイトで「早朝におけるゲート前の入場待ち自粛のお願い」を掲載するなど、注意喚起を行う。人気パビリオンにどうしても入りたい場合は、朝早い時間帯や夜の方が比較的空いているため、予約が可能であれば挑戦してみるのがおすすめだ。
■万博トラブル3. チケットサイトは「エラー画面」の連続

毎日23時前から「チケットサイト」の予約画面にアクセスしづらくなり、いったん“待機ルーム”で順番待ちをすることになる。そして0時ちょうどにアクセスすると、大勢の人が一斉にアクセスするため“エラー画面”になることが多い。しばらく待機してつながればまだいいが、つながらない状態が続くこともあり、0時過ぎになるとパビリオンの空き枠はほぼ埋まってしまう。
また、空き枠のあるパビリオンのみを表示する、正規とは異なるルートから予約画面にアクセスする方法も以前SNSで出回った。
これに関しては8月28日、公式Webサイトで「EXPO2025デジタルチケットサイトへの運営妨害行為に対する対応について」を掲載し、当該行為者の万博IDとチケットIDの利用停止処理を行ったと発表。チケットサイトへの自動ツールを使っての不正アクセスに対する対策がなされた。
ただ、これ以外にも「3日前先着のパビリオン予約で待機ルームを飛ばしてログインする」方法、「入場時間予約の自動ツール利用」なども以前から散見される。根本的な原因は、開幕当初から指摘され続けている公式Webサイトや公式アプリの使い勝手の悪さやサーバーの問題にあり、結局、タイミングによってチケットサイトに接続しにくい状況は完全解消されていない。
■万博トラブル4. パワハラ、セクハラ……万博スタッフへの嫌がらせ
開幕当初、来場者が警備員を土下座させたかのような画像がSNSで拡散されて話題となったが、万博スタッフに対しての迷惑行為も後を絶たない。
万博協会も、7月末に公式Webサイトで禁止行為についての警告文を掲載している。会場内では、セクハラも起きているという。産経新聞は8月、来場者が記念撮影を口実にスタッフにすり寄って体を接触させる、付きまとうなどの迷惑行為が相次いでいると記事で報じた。
筆者も、入場ゲートの混雑や柔軟性のない案内にいら立ち警備員に暴言を吐く人を何度か目撃したことがある。
■万博トラブル5. グッズ争奪戦で万引き・転売、関係者パス問題も
万博関連グッズが飛ぶように売れている。一方でグッズがプレミア化し、転売も相次ぐ。8月には、転売目的で大量に万引きした東京の大学生6名が逮捕され、しかも新幹線を無賃乗車しての移動や12~17歳向けのチケットで不正入場したことなどが報じられた。ほかにも、万博会場内の店舗でミャクミャクグッズの万引きが相次いでいるという。
グッズショップは終日行列ができているが、空いているはずの開門直後から多くの人が並んでいることもある。一般とは別の関係者ゲートは9時前から入場できるため、関係者パス(AD証)の不適切な使用がたびたび疑われている。
筆者も取材時などはAD証で入退場することがある。
万博は残り1カ月半。来場者は今後も多いと予測されている。人が増えると、トラブルも必然的に増加する。トラブルをできるだけ回避するためには、現地での時間や行動に「余裕」を持つことや、事前にしっかりと下調べをしておくことが重要だと言える。
<参考>
お知らせ(EXPO2025)
パビリオンで相次ぐ迷惑行為(産経新聞)
この記事の筆者:シカマ アキ
大阪市出身。関西学院大学社会学部卒業後、読売新聞の記者として約7年、さまざまな取材活動に携わる。その後、国内外で雑誌やWebなど向けに取材、執筆、撮影。主なジャンルは、旅行、飛行機・空港、お土産、グルメなど。ニコンカレッジ講師をはじめ、空港や旅行会社などでのセミナーで講演活動も行う。