小学校の一大イベント、運動会。朝から準備に追われ、帰宅したらぐったり……という保護者も多いのではないでしょうか。


一方で、近年は午前中で運動会が終わる学校が増えているため、学校に残っている先生たちは午後からも仕事をしていることが多いそうです。

先生たちは、後片付け以外にどのような業務をしているのでしょうか。

運動会終了後の先生たちの様子を、現役の小学校教師である松本隼司さんにお聞きしました。

(今回の質問)
運動会終了後、先生たちはどのように過ごしているのですか?

(回答)
半日で運動会が終了する場合、後片付けをした後は通常業務を行っていることが多いです。その後、みんなで集まって「お疲れさま会」をしにいくこともあります。

どういうことなのか、以下で詳しく解説します。

■コロナ禍以降変化した、運動会後の先生の過ごし方
コロナ禍以降、運動会は午前中だけで完結するという学校が多くなり、先生たちの「運動会の日の午後の過ごし方」が少しずつ変わってきています。

用具の片付けが終わると、通常業務に取り掛かる先生もいれば、午後休を取られて退勤する先生もいます。

私が勤務する地域では、「お疲れさま」の意味を込めて、昼食に仕出し弁当が出されることが多いです。先生たちはその弁当を食べながら、当日の出来事について話すことがよくあります。

運動会自体の反省会は、別途一人ひとりがアンケート用紙のようなものを記入し、それを基に行われます。全員でよかったところや課題を持ち寄り、次年度以降の運動会の運営に生かしていきます。


昼食後は、先生たちにとって通常の出勤日ですから、通常の校務分掌(各先生に振り分けられている、学校運営上の業務)や授業準備を行うことも珍しくありません。

むしろ授業が全くない午後の時間は貴重ですから、普段なかなかできない業務を進めている先生も多いかもしれませんね。

一方、私を含めた子どもがいる先生は、午後からは休みを取り、ご自身のお子さんと過ごされている方も多いのではないでしょうか。

■先生たちにもある打ち上げ! 飲み会の席でしている話の内容は?
とはいえ、やはり運動会は1年の中でもビッグイベントの1つですから、終了後に先生みんなで打ち上げに行くこともあります。

定時まで仕事をした後、参加できる先生で食事に行きます。午後に休みを取って帰られた先生も、この時間に合わせて再集合することもあります。

先生や学校ごとの文化にもよりますが、小学校の先生がみんなで集まって飲む機会はいくつかあります。

運動会のほか、学期が終わったタイミングや卒業式の後、そして「研究授業」という先生方の授業力向上のための取り組みがあるのですが、それが終わった後などですね(研究のために時間をかけて授業準備をするため)。

飲み会の場でどのような話をするかというと、やはり仕事の話題が中心になることが多いです。

運動会後の場合は、反省会のような話題や「練習よりも本番の方がよかったよね」「子どもたちがあんなにいい表情を見せるんだね」といった、子どもの頑張りについて語ることもよくあります。

ただし、あまり外でそういう話を先生がし過ぎるのもよくありませんから、そこは節度をもって会話をするように気を付けています。

学校関係者だと周りにバレないよう、普段は互いを「◯◯先生」と呼び合っていますが、お酒の席では「◯◯さん」と呼ぶようにしています。


校長先生のことを「校長」とは呼ばずに、「社長!」と呼ぶというユーモアあふれる学校もありますよ(笑)。

松下隼司さん
大阪府公立小学校教諭。令和4年度文部科学大臣優秀教職員表彰受賞。令和6年版教科書編集委員。第4回全日本ダンス教育指導者指導技術コンクール文部科学大臣賞、第69回(2020年度)読売教育賞 健康・体力づくり部門優秀賞などの受賞歴を持つ。新刊「先生を続けるための『演じる』仕事術」(かもがわ出版)など著書多数。voicyで『しくじり先生の「今日の失敗」』を発信中。 この記事の執筆者:大塚 ようこ
子ども向け雑誌や教育専門誌の編集、ベビー用品メーカーでの広報を経てフリーランス編集・ライターに。子育てや教育のトレンド、夫婦問題、ジェンダーなどを中心に幅広いテーマで取材・執筆を行っている。
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