イベントは、西武鉄道の池袋駅でのカウントダウンで始まり、特別塗装の貸切列車で豊島園駅へ移動、ハリー・ポッターのエンターテインメント施設「スタジオツアー東京」での特別な体験など盛りだくさんな内容だった。その模様をリポートしよう。
■貸切列車で池袋駅を出発
午前の西武鉄道池袋駅。頻繁に発着する電車の間隙を縫って、7番線に「ワーナー ブラザース スタジオツアー東京『バック・トゥ・ホグワーツ』開催記念車内ラッピング列車」がやってきた。フルラッピング車両「スタジオツアー東京 エクスプレス」に車内装飾を施した列車だ。
特別イベントに参加した熱烈なハリー・ポッターのファン50名は、電車に乗り込む前にホームで発車カウントダウンのセレモニーを行う。物語に登場する「ホグワーツ特急」の発車時刻である午前11時に合わせて貸切列車も池袋駅を出発した。
登場人物になりきった衣装に身を包んだ50名はオーバーアクションで気勢を上げ、カウントダウン終了後、慌ただしく車内へ。列車はダイヤ通りに池袋駅のホームを離れた。
■車内の様子
車内は、今回の「バック・トゥ・ホグワーツ」特別イベントに合わせて特別な装飾を施された。
「魔法の世界があなたを待っています」という中づり広告のメッセージとともに、座席の区画ごとに窓上ポスターおよびつり革が魔法学校の4つの寮のカラーで彩られた空間が広がっている。
窓上ポスターには映画「ハリー・ポッター」シリーズに出会った瞬間の「感動メッセージ」がちりばめられていて、乗客を魔法の旅へと誘う。
貸切列車内では特異な車内アナウンスも流れた。
「手荷物からネズミやネコ、フクロウが逃げ出さないよう安全にお過ごしください。ご乗車の皆さま、新学期の準備はお済みですか? ローブや羽根ペン、羊皮紙など学用品のお買い忘れがございましたら、ホグワーツに向かう前に、スタジオツアーショップへお立ち寄りください」これには乗車中のファンも大喜び。思い思いのコスチュームに身を包んだ人たち。何とも不思議な雰囲気だったが、10分ほどの乗車時間で終点・豊島園駅に到着した。
ホームでは大勢のスタッフに熱狂的に歓迎され、自由に記念撮影を楽しんだ後、歩いて「スタジオツアー東京」へ。
■パンプキンジュースで乾杯!
館内では、入ってすぐのところにあるフードホールに着席。物語にちなみ、パンプキンジュースで乾杯! スペシャルなランチに舌鼓を打ったあと、いよいよツアー体験が始まる。
■ホグワーツ特急の蒸気機関車
ツアーの中で、鉄道ファンが興味をそそられるのは、ロンドンのキングス・クロス駅9 3/4ホームを模した構内に鎮座している赤い蒸気機関車だ。
わざわざイギリスから運んできたといういわくつきの機関車(旧グレート・ウエスタン鉄道4920号機、番号は映画に因んで5972号機に変更)で、今にも発車するかのように煙を吐き、蒸気を出している。 連結している客車の車内に入れば、コンパートメントごとに個性的な乗客が座り、車窓にはイギリスの田園風景が流れ、まるで疾走している「ホグワーツ特急」のようだ。
ホームの反対側には側面を取り払った客車(ベルリン行きの列車)が置いてあり、こちらは特別車両サロンカーである。
■「ほうきエクスペリエンス」で空中遊泳を体験
ツアーの終わり近くには、「ほうきエクスペリエンス」というほうきに乗って空を数分間遊泳するかのような体験もできる。
終了後、撮影してもらった画像を眺めると、空を飛んだ自分自身に笑ってしまう。ホグワード・エクスプレスを眼下に見下ろしながらの画像に大満足だ。
イベントは9月1日限りだったが、記念ラッピング車両の運行は9月29日まで(予定)。「バック・トゥ・ホグワーツ」の開催記念として、ホグワーツ特急の上空を飛行する特別画像の追加プレゼントは9月30日まで実施。 興味ある人はお早めに!
取材協力=西武鉄道、ワーナーブラザース スタジオツアー東京
この記事の筆者:野田隆
名古屋市生まれ。生家の近くを走っていた中央西線のSL「D51」を見て育ったことから、鉄道ファン歴が始まる。早稲田大学大学院修了後、高校で語学を教える傍ら、ヨーロッパの鉄道旅行を楽しみ、『ヨーロッパ鉄道と音楽の旅』(近代文芸社)を出版。その後、守備範囲を国内にも広げ、2010年3月で教員を退職。旅行作家として活躍中。近著に『シニア鉄道旅の魅力』『にっぽんの鉄道150年』(共に平凡社新書)がある。