炊飯器を使用中、内釜のコーティングが剥がれてしまった……。こんな経験がある人もいるかもしれません。
そのまま使い続けても問題ないのでしょうか。

「All About」ガイドで、家電のスペシャリストとしてテレビやラジオ、新聞、雑誌など多数のメディアに出演する安蔵靖志が解説します。

(今回の質問)
炊飯器の内釜のコーティングが剥がれてきたのですが、そのまま使っても大丈夫ですか? 体に悪くないですか?

(回答)
そのまま使っても問題はありませんが、こびりつきやすくなるので修理もしくは買い替えを検討しましょう。

どういうことなのか、以下で詳しく解説します。

■健康に悪影響を与えることはありません
炊飯器の内釜は、ご飯がこびりつかないように金属などの表面にフッ素樹脂をコーティングするフッ素加工が施されていることがほとんどです。一部が剥がれてしまっても、健康に重大な悪影響を与えることはありません。

フッ素樹脂は、食品衛生法などに基づいて安全性が確認されており、通常の調理温度で有害物質を発生させることはありません。また、剥がれたフッ素樹脂の小さな破片を誤って食べてしまったとしても、そのまま体外に排出されるため、健康に害を及ぼす可能性は極めて低いとされています。調理器具として一般的な素材であり、その安全性は確立されています。

ただし、これはあくまで「有害ではない」という話であり、異物であることに変わりはありません。そのまま使い続けることはおすすめしません。健康被害の可能性が低いとはいえ、使い続けることをおすすめしないのは、ご飯がくっつきやすくなるからです。
加工が剥がれた部分にごはんが焦げ付いたり、こびりついたりして、きれいに取り出せなくなります。炊飯後のお手入れも非常に大変になります。

■保証期間内であれば交換してもらうことも可能
炊飯器本体の保証期間はほとんどのメーカーが1年間に設定されていますが、内釜のフッ素コーティングの保証期間はタイガー魔法瓶が1年、三菱電機は3年、東芝やパナソニックは3~5年、日立グローバルライフソリューションズは6年など、メーカーによってまちまちです。剥がれてしまった場合、まずは保証書を探して保証期間を確認しましょう。保証期間内かつ正しい使い方をしていて剥がれてしまったのであれば、無償で交換してもらえるはずです。

保証期間が過ぎてしまったのであれば、内釜だけをメーカーから取り寄せるか、家電量販店やオンラインショップで購入することができます。まずは使用中の炊飯器の型番を確認し、メーカーのWebサイトなどで内釜の在庫や価格を調べてみてください。内釜の交換費用が高い場合や、炊飯器自体も古くなってきている場合は、本体ごと新しいものに買い替えることを検討しても良いでしょう。

また、フッ素コーティングの耐用年数は一般的に10~15年と言われています。炊飯器で一般的な使い方をしていれば、長期間使用できるはずです。フライパンのフッ素コーティングははがれやすくて耐用年数が短いと言われますが、それは金属製のヘラなどで傷を付けてしまったり、耐熱温度の約260℃よりも高い温度で熱したりすることではがれてしまいやすいためです。

この記事の執筆者: 安蔵 靖志
ビジネス・IT系出版社で編集記者を務めた後、フリーランスに。
記事執筆のほか、テレビやラジオ、新聞、雑誌など多数のメディアに出演。ラジオ番組の家電コーナーの構成なども手がける。
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