では、実際に現地の様子はどうなっているのでしょうか? 総来場者数が約22万人となった9月15日(祝日)に万博へ行ってきた筆者が、忖度(そんたく)なしのガチンコリポートを行います。
■パビリオンの「7日前抽選」に挑戦。その結果は……
まず、筆者は8月上旬の段階で「午前10時」からの来場予約枠を獲得し、1日券を購入。万博が初めての筆者は右も左も分からない状態で潜入するため、万博初心者の感覚でリポートをお届けできると考えます。
期日の関係でパビリオンの「2カ月前抽選」には申し込めませんでしたが、「7日前抽選」に挑戦。当然のように全て落選し、「空き枠先着」に挑むことになります。事前に調べた通り、申し込みできる日の深夜0時に備え、1時間ほど前からWebサイトにログインして待機。この時点で数万人が待機していて、やっと予約ページに進めたのは0時の5分前でした。そこから何度もリロードするのですが、操作を誤った覚えはないのに再び待機画面に戻され、次に予約ページへ進めたのは0時30分。空き枠はなく、予約のないまま当日を迎えました。

当日は知人からの情報を頼りに、予約2時間前の午前8時に夢洲(ゆめしま)駅に到着。
この待機列に並ぶ段階で感じたのは、ドリンク、日傘、折り畳めるイスが必須だということです。2時間立っていれば体力を削られ、地べたに座ると日光の照り返しで熱中症の危険があります。特に、雨の日にはずっと立っていないといけないので、イスは必須だといえるでしょう。
■「午前10時」の入場ですら出遅れ感がある“カオスな万博”
さて、2時間待って10時10分ごろに入場できたのですが、またも“予約ページに繋がらない問題”にぶち当たります。入場してから10分後に「当日登録」(予約)ができるのですが、時間になっても待機ページのまま。SNSを見ると、過去にはかなりのパビリオンやイベントを当日予約できたそうですが、来場者が20万人を超えた今では予約ページにすら進めない始末です。
ただ、筆者はラッキーなことに、予約なしで日本館に並ぶことができました。1時間以上待ちましたが、その間に「当日登録」を行い、ギリギリ空いていた20時台の「オーストラリア館」の予約を完了させます。

完全にラッキーで日本館に入れたのですが、「午前10時」の入場でもギリギリだと感じました。
■予約なしでも“並べば楽しめる”パビリオンも
とはいえ、予約がない中でも並べば楽しめるパビリオンもあります。筆者はとにかく空いているパビリオンばかりを選んで、最終的に15カ所の施設に入館しました。待機時間が少なくておすすめだったのは、「UAE(アラブ首長国連邦)」「インド」「カタール」「ロボット&モビリティステーション」です。
また、1時間から2時間ほどの待機で入れたのが、「マレーシア」「オマーン」です。「イタリア」「フランス」などヨーロッパ系は入場制限の可能性が大で、運がよければ並べるくらいの絶望的な状況。ほかの人気が高いイベントやパビリオンは、並ぶことすらできませんでした。
比較的早く入れる施設に並び、待機中にQRコードから予約できる「住友館」の「待機列の抽選」に参加するのがベスト。ちなみに、公式アプリ「EXPO2025 Personal Agent」の「現在の待ち時間」で待機時間が見られるのですが、あてになりません。
■猛烈な暑さの中で、バテないようにするためのコツ
人気パビリオンは、予約できなかった時点でほぼ利用不可能な現在の万博。筆者のように事前予約がうまくいかなった人は、興味がないパビリオンでも空いている順に入館することをおすすめします。理由は暑さ対策のためです。全てのパビリオンはクーラーが効いています。20万人の来場者となると大屋根リングの下にある日陰ゾーンも取り合い。休憩できる施設も満員で、涼むにはパビリオンに入るしかありません。
例えば、「カンボジア」「セネガル」「アルジェリア」「チリ」「バングラデシュ」は、比較的スムーズに入館できます。興味がなくても、体を休めるために上記の施設をうまく利用するのがコツです。ただ、これらの施設も、入場者が最も増える午後以降は30分~1時間待つことがあります。可能であれば、カロリーメイトなど持ち込みできる食料でおなかを満たし、夕方になる前に多くのパビリオンに行くことをおすすめします。
■ご飯を買うのにも大行列? おすすめの食事スポットは……
そして、気になるのが現地で買える食事でしょう。
食事でおすすめなのは、日本の食べ物がメインの「ORA外食パビリオン『宴~UTAGE~』」です。施設にはいくつかの店舗があり、昼時を外せばほとんど行列なしで入館可能。パビリオンの飲食店やキッチンカーを利用するより、時間の有効活用ができます。
■列を外れることは不可能!? 最後に待ち受けていた難関
さて、そんな行列だらけの万博ですが、一番の難関は帰宅です。筆者は欲を出して、夜に開催される噴水を使った水と空気のスペクタクルショー「アオと夜の虹のパレード」やドローンショー「One World, One Planet.」を見たことで、会場を離れたのが21時15分となりました。「アオと夜の虹のパレード」は抽選に当たらなかったので海側の大屋根リングから、ドローンショーも同じ場所から観覧。ショーが全て終わってから、駅に徒歩15分かけて向かうことになります。
この時間帯になると、万博の出口から駅への行列ができ、夢洲駅に到着するのは約1時間後。
正直、あまりにひどい行列なので、早めに帰ることをおすすめします。とはいえ、「アオと夜の虹のパレード」「One World, One Planet.」は、当日の場所取りをするだけで確実に見られるショー。体調を考慮しながら、ショーを2つ楽しんで地獄を味わうか、早めに切り上げてスムーズに電車に乗るかを判断してください。
■「無理をしないでほどほどに楽しむ」のがラスト1カ月の万博のコツ!

さて、ここまで忖度なしで万博の現地リポートを行いました。万博を紹介する記事は多数ありますが、来場者数が20万人を超えてからのリポートは少なく、これから訪問する人には当てはまらないものばかりです。なので、今回のリポートはかなり参考になるのではないかと考えます。
総評としては、何をするにしても大行列で、スムーズに万博を楽しむことは不可能です。万博の開催に反対はしていませんが、再び行きたいかと問われたら「どちらかといえば行きたくない」と答えるでしょう。
ちなみに筆者は、本業のエンタメ関連の仕事で、国立競技場でのライブやフジロックフェスティバルなど大混雑のイベントを何度も体験済みです。
閉幕までに訪問を予定している人は、自分が思っている以上にさまざまな装備をした方がいいでしょう。その上、帰宅時間のことも考えておくことが必要です。「無理をしないでそれなりに楽しもう」という精神で遊びに行くことをおすすめします。
この記事の執筆者: ゆるま 小林
長年に渡ってテレビ局でバラエティー番組、情報番組などを制作。その後、フリーランスの編集・ライターに転身。芸能情報に精通し、週刊誌、ネットニュースでテレビや芸能人に関するコラムなどを執筆。編集プロダクション「ゆるま」を立ち上げる。