大阪・関西万博は開催期間が残り1カ月を切り、来場予約枠が10月13日の閉幕日までほぼ満員となっています。9月に入ってからは駆け込み来場者も増え、連日のように20万人近くが来場し超満員。
かつてない大混乱となり、万博を十分に楽しめていない人が、SNSなどで悲惨な状況を書き込んでいます。

では、実際に現地の様子はどうなっているのでしょうか? 総来場者数が約22万人となった9月15日(祝日)に万博へ行ってきた筆者が、忖度(そんたく)なしのガチンコリポートを行います。

■パビリオンの「7日前抽選」に挑戦。その結果は……
まず、筆者は8月上旬の段階で「午前10時」からの来場予約枠を獲得し、1日券を購入。万博が初めての筆者は右も左も分からない状態で潜入するため、万博初心者の感覚でリポートをお届けできると考えます。

期日の関係でパビリオンの「2カ月前抽選」には申し込めませんでしたが、「7日前抽選」に挑戦。当然のように全て落選し、「空き枠先着」に挑むことになります。事前に調べた通り、申し込みできる日の深夜0時に備え、1時間ほど前からWebサイトにログインして待機。この時点で数万人が待機していて、やっと予約ページに進めたのは0時の5分前でした。そこから何度もリロードするのですが、操作を誤った覚えはないのに再び待機画面に戻され、次に予約ページへ進めたのは0時30分。空き枠はなく、予約のないまま当日を迎えました。

大混乱の「駆け込み万博」は行くべき? 万博初心者が自腹で見たカオスな現場と攻略法【ガチリポート】
予約のないまま現地へ(画像:筆者撮影、以下同)

当日は知人からの情報を頼りに、予約2時間前の午前8時に夢洲(ゆめしま)駅に到着。
東ゲートへ向かうと、すでに先が見えないレベルで「午前9時」入場の待機列ができていました。誘導されて「午前10時」入場の列に向かうと、同時刻の1000人近い来場者が待機。ここから、じっと灼熱(しゃくねつ)のアスファルトの上で2時間も待つことになります。

この待機列に並ぶ段階で感じたのは、ドリンク、日傘、折り畳めるイスが必須だということです。2時間立っていれば体力を削られ、地べたに座ると日光の照り返しで熱中症の危険があります。特に、雨の日にはずっと立っていないといけないので、イスは必須だといえるでしょう。

■「午前10時」の入場ですら出遅れ感がある“カオスな万博”
さて、2時間待って10時10分ごろに入場できたのですが、またも“予約ページに繋がらない問題”にぶち当たります。入場してから10分後に「当日登録」(予約)ができるのですが、時間になっても待機ページのまま。SNSを見ると、過去にはかなりのパビリオンやイベントを当日予約できたそうですが、来場者が20万人を超えた今では予約ページにすら進めない始末です。

ただ、筆者はラッキーなことに、予約なしで日本館に並ぶことができました。1時間以上待ちましたが、その間に「当日登録」を行い、ギリギリ空いていた20時台の「オーストラリア館」の予約を完了させます。
大混乱の「駆け込み万博」は行くべき? 万博初心者が自腹で見たカオスな現場と攻略法【ガチリポート】
1時間以上並んで日本館へ!


完全にラッキーで日本館に入れたのですが、「午前10時」の入場でもギリギリだと感じました。
というのも、来場者が増えるにつれ人気パビリオンは入れなくなるからです。ちなみに、午後に日本館をのぞくと行列にすら並べない状況。「正午」から入場した知人に話を聞きましたが、人気パビリオンは並ぶこともできなく苦労したそうです。「午前10時」以降に入場する人は、かなり厳しい状況になることを覚悟してください。

■予約なしでも“並べば楽しめる”パビリオンも
とはいえ、予約がない中でも並べば楽しめるパビリオンもあります。筆者はとにかく空いているパビリオンばかりを選んで、最終的に15カ所の施設に入館しました。待機時間が少なくておすすめだったのは、「UAE(アラブ首長国連邦)」「インド」「カタール」「ロボット&モビリティステーション」です。

また、1時間から2時間ほどの待機で入れたのが、「マレーシア」「オマーン」です。「イタリア」「フランス」などヨーロッパ系は入場制限の可能性が大で、運がよければ並べるくらいの絶望的な状況。ほかの人気が高いイベントやパビリオンは、並ぶことすらできませんでした。

比較的早く入れる施設に並び、待機中にQRコードから予約できる「住友館」の「待機列の抽選」に参加するのがベスト。ちなみに、公式アプリ「EXPO2025 Personal Agent」の「現在の待ち時間」で待機時間が見られるのですが、あてになりません。
なるべく、自分の目で行列を見て並ぶかどうか判断するようにしましょう。

■猛烈な暑さの中で、バテないようにするためのコツ
人気パビリオンは、予約できなかった時点でほぼ利用不可能な現在の万博。筆者のように事前予約がうまくいかなった人は、興味がないパビリオンでも空いている順に入館することをおすすめします。理由は暑さ対策のためです。全てのパビリオンはクーラーが効いています。20万人の来場者となると大屋根リングの下にある日陰ゾーンも取り合い。休憩できる施設も満員で、涼むにはパビリオンに入るしかありません。

例えば、「カンボジア」「セネガル」「アルジェリア」「チリ」「バングラデシュ」は、比較的スムーズに入館できます。興味がなくても、体を休めるために上記の施設をうまく利用するのがコツです。ただ、これらの施設も、入場者が最も増える午後以降は30分~1時間待つことがあります。可能であれば、カロリーメイトなど持ち込みできる食料でおなかを満たし、夕方になる前に多くのパビリオンに行くことをおすすめします。

■ご飯を買うのにも大行列? おすすめの食事スポットは……
そして、気になるのが現地で買える食事でしょう。
パビリオンには併設された飲食店などがありますが、ほとんどが2000円台と高額。その上、昼時は1時間以上の行列となります。実際にパビリオンで提供されているメニューを食べましたが、並んで食べるほどの感動は味わえませんでした。特別な思い入れがない人は、並んで食べる必要はないでしょう。

食事でおすすめなのは、日本の食べ物がメインの「ORA外食パビリオン『宴~UTAGE~』」です。施設にはいくつかの店舗があり、昼時を外せばほとんど行列なしで入館可能。パビリオンの飲食店やキッチンカーを利用するより、時間の有効活用ができます。

■列を外れることは不可能!? 最後に待ち受けていた難関
さて、そんな行列だらけの万博ですが、一番の難関は帰宅です。筆者は欲を出して、夜に開催される噴水を使った水と空気のスペクタクルショー「アオと夜の虹のパレード」やドローンショー「One World, One Planet.」を見たことで、会場を離れたのが21時15分となりました。「アオと夜の虹のパレード」は抽選に当たらなかったので海側の大屋根リングから、ドローンショーも同じ場所から観覧。ショーが全て終わってから、駅に徒歩15分かけて向かうことになります。

この時間帯になると、万博の出口から駅への行列ができ、夢洲駅に到着するのは約1時間後。
しかも、これまでにない行列となるので、トイレやドリンク購入に列を外れることは不可能に近い状況です。さらに、夜なのに風が抜けないサウナ状態。最後に地獄の行列が待っていると思ってください。

正直、あまりにひどい行列なので、早めに帰ることをおすすめします。とはいえ、「アオと夜の虹のパレード」「One World, One Planet.」は、当日の場所取りをするだけで確実に見られるショー。体調を考慮しながら、ショーを2つ楽しんで地獄を味わうか、早めに切り上げてスムーズに電車に乗るかを判断してください。

■「無理をしないでほどほどに楽しむ」のがラスト1カ月の万博のコツ!
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ラスト1カ月の万博は「無理をしないでほどほどに楽しむ」のがコツ!

さて、ここまで忖度なしで万博の現地リポートを行いました。万博を紹介する記事は多数ありますが、来場者数が20万人を超えてからのリポートは少なく、これから訪問する人には当てはまらないものばかりです。なので、今回のリポートはかなり参考になるのではないかと考えます。

総評としては、何をするにしても大行列で、スムーズに万博を楽しむことは不可能です。万博の開催に反対はしていませんが、再び行きたいかと問われたら「どちらかといえば行きたくない」と答えるでしょう。

ちなみに筆者は、本業のエンタメ関連の仕事で、国立競技場でのライブやフジロックフェスティバルなど大混雑のイベントを何度も体験済みです。
それでも、今回の万博が最もきつかったと断言できます。それくらい、人混みや行列、暑さが厳しいイベントでした。

閉幕までに訪問を予定している人は、自分が思っている以上にさまざまな装備をした方がいいでしょう。その上、帰宅時間のことも考えておくことが必要です。「無理をしないでそれなりに楽しもう」という精神で遊びに行くことをおすすめします。
この記事の執筆者: ゆるま 小林
長年に渡ってテレビ局でバラエティー番組、情報番組などを制作。その後、フリーランスの編集・ライターに転身。芸能情報に精通し、週刊誌、ネットニュースでテレビや芸能人に関するコラムなどを執筆。編集プロダクション「ゆるま」を立ち上げる。
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