「京都のホテル価格が下がった」と最近話題になっている。調べてみると、以前はビジネスホテルでも1泊2万円前後も珍しくなかったが、1泊数千円のホテルが並び、確かに安く感じる。
「中国人旅行客が減ったから」と声高に叫ばれているものの、果たしてそれだけが理由なのか。今の京都旅行の現状を紹介する。

■インバウンド人気で京都のホテルが高騰「日本人が泊まれない!」
京都は国内旅行で人気が高い観光地の1つ。だが近年、日本人にとっての京都は「近くて遠い場所」となった。

その最大の理由は、訪日外国人旅行客(インバウンド)の増加。日本を代表する古都・京都には有名な寺社が多く、歴史的な街並みや文化が残る。コロナ禍の後、円安が加速して「日本が安くてお得な国」になると同時にインバウンドが急増し、京都のホテル相場が高騰する事態に。京都の主要観光地は外国人であふれ、路線バスに地元民が乗れないオーバーツーリズムも問題になった。

旅費の負担増に加え、「京都の落ち着いた雰囲気が台無し」で足が遠のいたという日本人の声もここ数年よく聞かれた。

■「京都のホテルが本当に安い!」調べてビックリの価格
その京都で、2025年12月に入った頃からら「ホテルが急に安くなっている」と話題になっている。
京都のホテル「1泊数千円台も」「本当に安い!」理由は……中国人の減少だけではない“別の事情”
四条駅・烏丸駅に近い3つ星ホテル「イビススタイルズ 京都四条」の客室(画像は筆者撮影)
例えば「グーグルマップ」で調べてみると、直近の週末1月30日(金)に宿泊する場合、京都駅周辺の「レフ京都八条口 by ベッセルホテルズ」が7877円、「都ホテル京都八条」が1万1440円、「アパホテル 京都駅北」が8226円、「OMO3京都東寺 by 星野リゾート」が9000円など。また、四条烏丸(四条駅・烏丸駅周辺)では「相鉄フレッサイン 京都四条烏丸」が1万1488円、「イビススタイルズ 京都四条」7125円、「アゴーラ京都烏丸」が6238円などとなっている(2026年1月23日調べ)。


これが平日の宿泊になると、価格はさらに下がる。評価がそこそこいい3つ星ホテルでも、1泊5000~6000円台がかなり多い。

この価格がしばらく続くかというと、実はそうではない。2026年は2月半ばにある旧正月の時期は高い。旧正月は中国人だけでなく、韓国人や台湾人、香港人、さらにシンガポール人らアジアの多くの国・地域で連休となるからだ。また3月下旬から4月上旬の「桜」が満開予想の時期もすでに高騰している。

■年末の京都を歩いて実感した「あの騒々しさがなくなった」
京都のホテル「1泊数千円台も」「本当に安い!」理由は……中国人の減少だけではない“別の事情”
京都・清水寺は人気観光スポットの1つ。外国人旅行客が非常に多い(画像は筆者撮影)
筆者も12月半ば頃に京都市内を訪れた。四条烏丸で和食ランチを食べると、店内は日本人が外国人よりずっと多く、四条通も普通に真っすぐ歩ける程度で混雑してはいなかった。ランチ後に清水寺へ行くと、参拝客は外国人が8割、日本人が修学旅行生も含めて2割ほど。外国人が多いものの中国人がいないせいか、騒々しさがないのが印象的だった。

代わりに、韓国人をはじめ、インド人、東南アジア系の人々が多く目についた。中には、ヒジャブを着用しながら着物をレンタルして京都観光を楽しむ外国人女性も複数いた。


清水寺からの帰り、京都駅へ向かうバスは観光客で混雑し、バス停は長蛇の列。一方、バス待ちの間、「空車」のタクシーがたくさん通過して行った。一時期の京都はタクシーを拾うのも大変だったが、そのタクシーに乗っていたであろう中国人は減ったものの、路線バスで移動する外国人は減っていないのだと感じた。

■中国人の減少だけではない、ホテル相場が下がった「理由」
京都のホテル相場はなぜ下がったのか。その主な理由に、「日中間の政情不安による訪日中国人客の減少」が、まず挙げられる。

だが、実のところ中国人旅行客の影響だけではない。特に京都は、紅葉が見頃になる11月下旬から12月上旬を過ぎると「冬」の時期に入る。

京都市観光協会が公表する「京都市内主要ホテルにおける客室稼働率の推移」によると、2024年10月から1年で月ごとの客室稼働率は、2025年1月の「68.7%」が最低である。同2月の「71.7%」、同7月の「75.4%」が続く。

京都のホテル「1泊数千円台も」「本当に安い!」理由は……中国人の減少だけではない“別の事情”
京都の客室稼働率推移、2024年10月~2025年10月(出典:京都市観光協会)
つまり、1~2月の京都は例年通り最も観光客が少ない時期なのだ。京都市と京都市観光協会、JRグループが毎年「京の冬の旅」という観光キャンペーンを行い観光誘致に努めている(2026年で60回目)が、春の桜と秋の紅葉の時期には行っていない。

■中国人が訪れたい日本の「意外な」ランキング
しかも、全ての中国人旅行客にとって京都が人気なわけではない。
例えば知人の中国人は、

「わが国とは歴史の長さが違う。寺社は中国を模倣している」

と語り、むしろユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)や富士山について聞かれた。欧米人と、京都に対する見方が違うのを感じた。
京都のホテル「1泊数千円台も」「本当に安い!」理由は……中国人の減少だけではない“別の事情”
清水寺に続く清水坂。秋の紅葉シーズンが終わった後も観光客でにぎわう(画像は筆者撮影)
中国のオンライン旅行サイト「携程旅行(Ctrip)」で日本の観光地を人気順で調べてみると、1位が「USJ」、2位が「SHIBUYA SKY(渋谷スカイ)」、3位が「東京ディズニーランド」と続き、京都は10位圏外(2026年1月23日調べ)だ。京都は12位に嵯峨野観光鉄道(トロッコ列車)、19位に伏見稲荷大社が出てくるのみ。京都より、東京や大阪の人気のほうが目に付く。

筆者が以前、中国本土で新幹線に乗った際に座席にあった冊子の日本紹介ページでも「大阪」がクローズアップされていた。

■ホテル安には日本ならではの別の「事情」も……
さらに、12月半ばからホテルが安くなったのは、日本ならではの事情もある。日本では年末年始、ゴールデンウイークなどの大型連休、お盆時期などにまとまった休暇を取る習慣があるため、年末年始の直前に連休を取得して旅行すると職場でひんしゅくを買いかねない。

そのため、実は年末年始の前後週だけでなくゴールデンウイークの直前直後なども例年安い。

「インバウンド人気で高いから」と、最近の国内旅行で京都を避けていた日本人は多かっただろうが、今の京都はホテル価格も下がり、かなりお得に泊まれるのは事実だ。人気の寺社などの観光スポットも、静かに楽しみたい人にはおすすめと言える。


<参考>
・京都市観光協会データ月報|2025年10月(DMO KYOTO)
・第60回 京の冬の旅(そうだ 京都、行こう。)
・携程旅行(Ctrip)
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