家庭で新年度の準備が進む一方で、学校の先生たちはどのような春休みを過ごしているのでしょうか?
春休みの先生たちの様子を、現役の小学校教師である松下隼司さんにお聞きしました。
▼【質問】春休み中、先生たちは学校でどんなことをしているのですか?
▼【回答】教室の掃除や教材準備などの「次年度の子どもたちを迎えるためのあらゆるタスク」を約10日間で完了させています。
どういうことなのか、以下で詳しく説明します。
■掃除、新年度の教材準備、研修……1年で最も忙しい10日間
春休みは、3月の修了式を終えてから入学式までの約10日間(土日を除く)。私はこの10日間を前半、後半に分けて作業を進めています。
最初の5日間は教室と職員室の掃除です。1年間使った教室は、毎日子どもたちと掃除をしているとはいえ、思っている以上に汚れています。
例えば大型ディスプレイの裏、黒板の上などには意外とホコリがたまっているので、時間をかけてしっかりと掃除しています。靴箱やロッカーなどに貼られている名前シールもこのタイミングできれいにはがします。
「教室の掃除に5日間も?」と思われるかもしれませんが、次にその教室を使う先生と子どもたちに気持ちよく使ってもらうための大事な仕事です。
また、受け持つ学年が変わると職員室でも先生たちの席替えが発生するので、身の回りを整理・掃除します。
そして、後半の5日間で次の学年の準備に取り掛かります。
春休みの仕事には、主に以下のようなものがあります。
・職員会議、校務分掌部会
・自分の担当する校務分掌の仕事(例:クラブ活動の担当になった場合は、各クラブの担当者を決めるなど)
・遠足や社会見学の行き先決め、下見、交通費などの確認
・教材、教具選び(全教科、1年分をこのタイミングで選定、決定する)
・教材使用届の作成(1年間に使用する教材について)
・年間の児童費など予算書の作成
・各種研修(アレルギー対応、エピペン講習など)
・前担任との子どもたちの情報の引き継ぎ
・時間割、週案、学年だよりの作成
・靴箱や教室のロッカーなどに出席番号シールを貼る
これらの仕事を5日間で行います。
また、入学式と入学式の準備もあります。
遠足などの視察をするとなると、それだけで半日~1日使ってしまうので、授業のための教材研究などは家に持ち帰って行なっているのが実情です。
■新学期の席順を「出席番号順にしない」理由とは?
そのほか、私が個人的にしている新学期準備として、「新年度の席順決め」と「手紙の配付準備」があります。
まず新年度の席順ですが、たいていは出席番号順の席から新年度をスタートする先生が多いのではないでしょうか。その方が先生にとって名前も覚えやすく、新学期がスムーズにスタートします。
しかし、子どもたちにとってそれが最善の席順かというと、そうとは限らないことがあります。
身長の高い子どもが一番前の席になったり、身長の低い子どもが一番後ろの席になってしまうこともあります。視力が悪かったり、難聴傾向があったりする子どもは前の方の席にしないと学習に支障があります。
子ども一人ひとりの発達の特性(ADHDやLDなど)にも配慮することも大切です。相性の悪い子ども同士が隣の席にならない配慮もします。
そうした情報を前年度の担任から引き継ぎ、それを元に意図的に席順を調整するようにしています。
また、新学期初日といえば大量に配付されるお手紙、プリント類があります。保護者の方も、毎年初日の大量のプリントチェックに一苦労されているかと思います。
実は、学級担任も始業式の日は、たくさんのプリント配付に時間を費やされます。年度始めは、さまざまな調査書を保護者に書いて提出していただきます。その用紙や学校だより、学年だより、健康だより、給食だより、時間割など軽く10枚以上はあります。
1学期の始業式の日は午前中のみで、3時間程度です。始業式が終わって教室に戻り、大量のプリントと教科書を配ったら「さようなら」の時刻になってしまったということもあります……。
あるとき、先輩から「前日までに封筒に全ての書類を入れておいて、当日は子どもたちにその封筒を渡すだけで済むようにしている」と聞き、私も実践してみました。
クラス全員分の封入作業は大変ですが、全てのプリントを入れた封筒を子どもたちに渡すだけでよいので、結果的に大幅な時間節約になりました。
新学期初日は時間がない中で教科書を配ったり新しい教材、教具に名前を書いたりと、子どもも教師もやらなければならないことがたくさんあります。そして、何よりも新しい友達や担任と出会う大切な1日でもあります。
そんな大切な1日の貴重な時間をプリント配付に費やさなくてもよくなったのは、教師だけではなく子どもたちにとっても大きなメリットでした。
子どもたちにとって大切な初日をよりよい日にするために、全国の先生方は春休みにさまざまな準備や工夫をされていると思います。
松下隼司さん
大阪府公立小学校教諭。令和4年度文部科学大臣優秀教職員表彰受賞。令和6年版教科書編集委員。第4回全日本ダンス教育指導者指導技術コンクール文部科学大臣賞、第69回(2020年度)読売教育賞 健康・体力づくり部門優秀賞などの受賞歴を持つ。新刊『がっこうとコロナ』(教育報道出版社)など著書多数。voicyで『しくじり先生の「今日の失敗」』を発信中。
この記事の執筆者:大塚 ようこ
子ども向け雑誌や教育専門誌の編集、ベビー用品メーカーでの広報を経てフリーランス編集・ライターに。子育てや教育のトレンド、夫婦問題、ジェンダーなどを中心に幅広いテーマで取材・執筆を行っている。









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