春は進学・進級の季節です。学年が上がることで生活が一新され、「新しいことに挑戦したい」「今までやってきたことを見直すタイミング」と考える中学生、高校生も多いのではないでしょうか。


一方で、保護者にとっては「部活や勉強が忙しくなるのに、このまま習い事を続けて大丈夫なのか」「やめさせる判断は早過ぎないか」といった悩みも生まれがちです。

そこで塾選ジャーナルでは、高校生の子どもをもつ保護者を対象に、「中学生と高校生の習い事の実態」についてアンケート調査を実施。本記事では、その調査結果をもとに、先輩家庭がどのタイミングで習い事を見直し、何をやめ、何を続けてきたのかを紹介します。

■中学進学で55%が「やめた習い事がある」と回答
アンケート結果を見ると、55%の家庭が「やめた習い事がある」と回答しました。中学校入学のタイミングで、半数以上の家庭が習い事を見直していることが分かります。

中学校生活は授業時間が増え、学習内容も難しくなります。さらに部活動も本格化し、小学生時代よりはるかに忙しくなります。「時間が足りない」「体力的に厳しい」と感じる前に、あらかじめ整理する家庭が多いことが、この数字から読み取れます。

■運動系の習い事は約7割がやめている
中学進学時にやめた習い事として最も多かったのが、運動系(69.1%)でした。

運動系の習い事は部活動へ移行するケースが多く見られます。移動時間や保護者の送迎の負担が減ることも、判断の後押しになっているようです。

▼運動系の習い事をやめた理由「中学校に進学するタイミングで学校の部活動に入ることを決めていたため、放課後や休日の時間が部活中心になると考えました。
勉強との両立も心配だったため、これまで通っていたサッカーの習い事はやめることにしました。(KKさん 東京都 高1男子 保護者)」

「中学ではブラスバンドに入る予定だったので、野球をやめることにしました。(TVさん 千葉県 高1男子 保護者)」

「スイミングを続けてきて、目標としていたタイムを達成できました。中学生になって運動系の部活を始めることも決まっていたため、小学校卒業のタイミングでやめた。(みどんさん 千葉県 高3男子 保護者)」

ここから見えてきたのは、中学進学によって習い事を一律にやめるというわけではなく、成長に伴って活動の場を次のステージへ移しているという実態でした。

■ピアノや英会話などは「時間がなくなる」という理由で卒業
運動系に次いでやめた人が多かったのが、ピアノなどの音楽・芸術系(25.5%)。その次に英会話などの塾以外の学習系の習い事(16.4%)でした。

やめた理由として多く挙がったのが、「時間が取れなくなった」「勉強や部活との両立が難しい」という声。

中学生になると自由時間が減り、ピアノや英会話のように「自宅練習」や「継続的な時間確保」が前提となる習い事ほど、負担を感じやすくなる傾向があります。

また、習い事よりも勉強を優先したいという気持ちもやめる理由につながっているようです。

▼音楽・芸術系の習い事をやめた理由「中学校に進学すると部活動の時間が増えて練習の時間を確保するのが難しくなるため本人が希望してピアノをやめることになりました。小さい頃から楽しんでいた習い事でしたが新しい挑戦や学校生活に集中したいとの思いを尊重しました。
(そらママさん 東京都 高2女子 保護者)」

「中学校から塾に行く予定だったので、毎日の練習時間が取れなくなると思い、やめることにしました。(るるみれさん 京都府 高2女子 保護者)」

▼塾以外の学習系の習い事をやめた理由「英会話教室は通う時間が取りにくくなっていって、本人が学校生活に集中したいと言ったのでやめました。無理に続けるより負担を減らしたいという気持ちを尊重しました。(あずきさん 兵庫県 高2男子 保護者)」

「そろばんを習っていたが中学生からは部活が忙しくなり、習い事までやるとなると子どもの自由な時間も取れなくなるのでやめた。(ひだまりさん 福島県 高1男子 保護者)」

■中学生の“習い事の主役”は学習塾——優先度が高い学びだけが残る
中学生になると、習い事の内容そのものだけでなく、選び方の基準が変化します。

小学生の頃は「とりあえず体験させたい」「楽しそうだから続けてみよう」といった動機が多い一方で、中学生では「何のために通うのか」がより明確になります。

■塾は「勉強の習慣づけ」から「高校受験のため」にチェンジ
中学生の習い事で最も多かったのは学習塾(46%)でした。

さらに注目したいのが、中学生になるタイミングで「通う場所を変えた」(21.3%)と回答した人の内訳を見ると、そのほとんどが学習塾を別の場所へ変更(転塾)しているという点です。

小学生の頃は基礎学力の定着を目的とした補習型の塾や、近所で通いやすさを重視した塾を選んでいた家庭が多い傾向にあります。

保護者のコメントから、中学生になると、「とりあえず通う塾」ではなく、「定期テスト対策ができるか」「高校受験の情報が得られるか」といった具体的な条件で塾を選び直す家庭が増えていました。

「中学生になると定期テストの回数が増え、内申点や高校受験を見据えた学習が必要になると感じました。以前の塾は基礎学力を身につけるには良かったものの、受験情報やテスト対策が十分ではなかったため、学校別の定期テスト対策や進路指導が充実している塾へ変更することにしました。
(rannboさん 東京都 高2男子 保護者)」

「中学生になり、定期テストや高校受験を意識する必要が出てきたためです。小学生の頃の塾は基礎学習が中心でしたが、より実践的なテスト対策や入試情報を得られる環境が必要だと感じ、学校の進度に合わせた指導や受験対策に強い学習塾へ変えました。(サイさん 長野県 高2男子 保護者)」

「小学生の頃は、近所の補習程度の個人塾に通わせていましたが、志望校が都立の進学校に定まったため、より入試情報の豊富で競争環境の整った難関校向けの進学塾へ切り替えることにしました。(テンテンさん 東京都 高2女子 保護者)」

ここからわかるのは、塾が「習い事」というよりも、進路選択の一部として位置づけられている点です。

■部活に入っても続けるのは「本気でやりたい習い事」だけ
一方で、部活に入っても学校外の習い事を続ける子どももいます。その多くは、「より専門的に学びたい」「部活では物足りない」と感じているケースです。

「もともとクラシック音楽に興味があり、中学入学を機に管弦楽クラブに入部し、バイオリンの個人レッスンを始めた。(K.Kさん 東京都 高1女子 保護者)」

「歌唱力を高めたく、専門的な指導を受けて技量を身に付けるためのボーカルレッスンへ通った。(ころさん 埼玉県 高1男子 保護者)」

「プログラミング教室は、将来に役立つスキルを身につけるために始めました。また、学校の授業だけでは補えない分野を学ぶことで自信をつけたいとの本人の希望もあり始めました。また時間の使い方を工夫して学校生活と両立できるよう調整しました。(そらママさん 東京都 高2女子 保護者)」

中学生になると、「やってみたい」から「本気でやりたい」へ、習い事の意味が変わっていくことがわかります。


■高校進学時でさらに選別が進む——学習塾もひと区切り
高校進学時の習い事の変化を聞いてみると、48%が習い事をやめていました。

高校に入学すると、通学時間の増加や中学校と高校で学校の特色が違うなど、生活環境が大きく変わるため、中学入学時と同じように習い事を見直しているようです。

■意外な結果、高校に入ると「学習塾をやめる」人が多い
高校入学の時にやめる習い事の1位は、意外にも学習塾(65.1%)でした。理由の多くは、「高校受験が終わったから一区切り」というものです。

なお、高校入学後はいったん塾を離れる家庭が多いものの、大学受験が近づくにつれて再び通塾を検討するケースも少なくありません。まずは高校生活に慣れることを優先し、「一区切り」と考える家庭が多いようです。

「高校受験に対応した塾に通っていたため、受験が終わるとカリキュラムが高校内容に対応しておらず、通い続ける必要がなくなりました。(rannboさん 東京都 高2男子 保護者)」

「高校受験で一応一区切りがついたから。高校から入った野球部が忙しかったので塾に行く時間がなくなってしまったため。(まるちゃんさん 東京都 高1男子 保護者)」

「受験が終わったため、とりあえず一段落したので。(だんごさん 東京都 高1女子 保護者)」

■習い事をやめる・やめないの決定にも自立のサイン
高校進学時の習い事を続ける・やめるの判断は、「本人が決めた」という声が増えていました。

学校生活との両立の仕方を保護者が決めるのではなく、子どもが時間の使い方や優先順位を考え決断しており、習い事においても子どもが自立する様子が見て取れます。


「本人が違うものを始めたかったため、自分でダンスをやめる決断をしました。(しょうさん 茨城県 高2男子 保護者)」

「高校に入ってから勉強に集中したいと本人が言ったので、習っていた空手をやめました。(りんりんさん 愛知県 高2男子 保護者)」

「中学の時点で自転車競技の興味を持ったため、自分で教室を探してきた。(あんこさん 京都府 高1男子 保護者)」

■高校生の習い事は「大学受験」か「将来のスキル」——約4割が習い事なし
中学生のときに「習い事をしていなかった」と回答したのは11%でしたが、高校生になるとその割合は約40%まで増加しています。進学や通学時間の変化、学習内容の高度化などを背景に、多くの家庭が一度、習い事をリセットしている様子がうかがえます。

その一方で、高校生になっても、あるいは高校生になってからあえて習い事を選ぶ場合には、「この先に必要かどうか」という点で検討されているようです。

■高校生になると「将来の役に立つこと」を本人が見つけてくる
今後、高校生の子どもが取り組みたいと思っている習い事について聞いたところ、プログラミングや英会話など、将来の進路や仕事を意識した分野を挙げる声が多く見られました。

「オンライン英会話や留学準備のための英語学習を始めたいと考えています。将来海外での活動や進学を見据えて英語力を高めたいという本人の希望です。(そらママさん 東京都 高2女子 保護者)」

「プログラミング教室に通いたい。将来、ITやゲーム関連の仕事に興味があるため、自分でアプリやプログラムを作れるスキルを身につけたいと言っています。また、学校の授業では学べない実践的な知識を早く学ぶことで、将来の進路の選択肢を広げたいという思いもあるようです。
(Rさん 東京都 高2男子 保護者)」

「武道系をまた新たにやりたいと言っており、特に柔道をやってみたいそう。将来、警察官になりたいため、武道をしっかりと学びたい、体力をしっかりつけたいという理由です。(みーにゃんさん 神奈川県 高2男子 保護者)」

■【まとめ】習い事は小学生で「広げて」、中高生で「しぼる」。新学期は整理のチャンス
今回の調査から、習い事が学年とともに「役割」を変えていくという実態が見て取れました。

小学生の頃は、興味や好奇心を広げるためにさまざまな体験を重ねる時期であり、楽しさや経験そのものに価値が置かれ、「続けること」よりも「触れてみること」が重視されがちです。

一方で中学生になると、部活動や定期テストが始まり、時間の使い方に制約が生まれます。習い事は、自然と「目的重視」へと変わり、高校受験や専門性を意識した選択に絞られていきます。

さらに高校生になると、大学受験や将来の進路を見据え、「自分にとって本当に必要かどうか」を本人が判断する場面が増えていきます。

こうした変化を踏まえると、新学期は習い事を単に「続ける・やめる」で判断するのではなく、「今の生活や次の目標につながっているか」を親子で整理する絶好のタイミングと言えるでしょう。

見直しの際は、「目的(何のため)」「時間(いつやる)」「優先順位(部活・勉強とのバランス)」の3点をそろえて考えると、親子で判断しやすくなります。

新学期をきっかけに、今の習い事が子どもの次の目標につながっているかを親子で話し合ってみましょう。

■アンケート調査概要
調査対象:高校生の子どもをもつ保護者(有効回答数100名)
調査時期:2025年12月
調査機関:自社調査
調査方法:インターネットを使用した任意回答
調査レポート名:「中学生・高校生の習い事」に関する実態調査

※アンケートのコメントは原文ママです
※本調査レポートの内容(グラフ・データ・本文など)の無断転載・改変を禁じます。
※掲載しているグラフや内容を引用する場合は、出典「塾選ジャーナル調べ:『中学生・高校生の習い事』に関する実態調査」と明記し、『塾選ジャーナル』の記事(https://bestjuku.com/shingaku/s-article/44617/)へのリンク設置をお願いします。

この記事の執筆者:塾選ジャーナル編集部
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