どれほど探究学習で成果を上げようと、評定平均値が伴わなければなかなか合格しません。
■「探究学習で合格」は業者の甘いわな
筑波大学のや慶應義塾大学のSFC(総合政策・環境情報)の総合型選抜では、評定平均値が4.0以下でも合格する例がありますが、現実はそう甘くはありません。探究学習のメジャーなコンテストで賞を獲るなどの実績がないと、そうそう受かりません。
実際、コンテストでの目立った受賞歴なしに合格した学生に取材をしたところ、評定平均値は「4.8」。校内順位も上位10番以内にいたそうです。
慶應SFCなどは入学後の勉強がそれなりに厳しく、2~3割が留年するとも言われます。大学側が評定を求めるのは、「入学後も真面目に勉強し、留年せずに卒業できる」生徒を求めているからです。評定平均値は勤勉性の証明になります。
■総合型選抜は「指定校に手が届かなかった生徒」の受け皿?
一方で、総合型選抜のメリットを挙げるなら、「指定校推薦ほどには高い評定平均値が求められない」という点でしょう。
例えば、最難関私立大学のA大学が、各高校へ「評定4.3以上」という要件で指定校推薦を出したとします。ところが難関高校では、このA大学の枠に「誰も希望しない」というケースがよくあります。難関校で評定4.3もあれば、一般選抜でA大学に合格できる可能性が十分に高いからです。
また、高い評定を持つ生徒は国公立の大学や医学部を第一志望に据えることも多く、A大学の指定校推薦は希望しません。一般選抜であれば、国公立の大学を受験しつつ、併願でA大学を受けることが可能だからです。
しかし中堅高校の場合、A大学の指定校推薦には希望者が殺到し、校内で選考が行われます。より評定の高い生徒から選ばれるため、結果として「オール5」の生徒がA大学の指定校推薦の出願資格をとることもあるそうです。
さて、ここで難関校・中堅校を問わず、A大学の指定校を狙っていたものの、一歩手が届かなかった生徒たちが出てきます。
具体的には「難関校で評定4.0」「中堅校で評定4.6」といった層です。この「指定校推薦には届かなかったが、十分に高い評定を持っている生徒たち」が、A大学の総合型選抜に挑むことが多々あります。
評定4.0以上あれば早慶上智やICU、MARCHの総合型選抜にも出願できるからです。つまり、総合型選抜は「指定校推薦に手が届かなかった生徒」の救済制度にもなっています。
■指定校も総合型も「基礎学力重視」が新トレンド
昨今、高校無償化の影響もあり、中堅層を中心に私立高校への進学人気が高まっています。私立は授業料以外にも費用がかかり、公立より経済的負担は大きくなりますが、それでも選ばれるのには理由があります。
指定校推薦や総合型選抜での大学進学を目指すなら、私立高校の方が有利だという認識が広がっているからです。
私立高校は基本的に先生の異動がありません。そのため、「自校の合格実績を長期的な視点で高めよう」という意識が強く、大学との信頼関係を大切にします。
そのため指定校推薦の選考でも、評定平均値だけでなく人格や勤勉性なども考慮し、「自信を持って大学に送り出せる生徒」を厳選します。こうした真摯(しんし)な積み重ねがあるからこそ、多くの大学から継続して指定校枠が届くのです。
そして、こうした「指定校推薦で多くの生徒を送り出す私立高校」は、総合型選抜の合格実績も高い傾向にあります。面接対策などが手厚いのはもちろんですが、何より「大学入学後もしっかり勉強してよい成績を収めるだろう生徒」を育てているからです。
中学・高校受験の志望校選びでは、こうした進路指導の実態まで踏み込んで判断したいところです。
ここで少し気になるのが、インスタ映えするような「探究学習」や「海外研修」ばかりをアピールし、「こういう経験をさせて、総合型選抜で大学進学させます」という学校です。
現在、大学側は以前にも増して「学力重視」の姿勢を鮮明にしています。2025年には文部科学省も、推薦・総合型選抜での学科試験の実施を正式に認める方針を示しました。
推薦・総合型での進学を目指すにせよ、まずは基礎学力を着実に伸ばしてくれる方針の学校を選ぶことをおすすめします。
この記事の執筆者:杉浦 由美子 プロフィール
キャリア20年の記者。









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