飛行機のモバイルバッテリー使用禁止に困惑も……「機材ガチャ」ハズレを回避する予約前の新常識
日本国内線で機内へのモバイルバッテリーの持ち込みや使用が厳格化される予定(画像は筆者撮影、以下同)
飛行機の機内でモバイルバッテリーから発煙・発火する事故が相次いでいる。これに伴い国土交通省は、2026年4月から日本国内線の機内においてモバイルバッテリーによる充電などを禁止する方向で検討しているといい、機内への持ち込み個数も1人2個までに制限されるという。
機内に充電できる設備がない飛行機も多い現状を踏まえ、航空事情に詳しいAll About 旅行ガイドが対策のポイントについて解説する。

■相次ぐ事故で2025年7月にルール化後、さらに強化
2025年はモバイルバッテリーの発火事故が相次いだ。まず、1月に韓国・金海(キメ)国際空港で発生したエアプサンの事故では機体上部が激しく燃え、乗客・乗員が脱出スライドを使って避難する事態に。国内でも、10月にANA(全日本空輸)の那覇発羽田行きの便で乗客のモバイルバッテリーが発煙し、隣席の乗客がペットボトルの水をかけて消火した事案があった。

国土交通省は、2025年7月からモバイルバッテリーを機内の座席上にある収納棚に入れずに乗客の手元など目の届く場所に置くよう協力要請しているが、今回さらなるルール強化へ踏み切った形だ。
飛行機のモバイルバッテリー使用禁止に困惑も……「機材ガチャ」ハズレを回避する予約前の新常識
USBポートがある座席は機内でもスマートフォンなどの充電が可能 ※ただしモバイルバッテリーへの充電は基本禁止
実際、「飛行機での移動中にスマートフォンなどのデジタルデバイスを充電しておきたい」と考える人は多いだろう。飛行機の座席にACコンセントやUSBポートがあれば、機内への持ち込みや使用のルールが強化されても充電可能だ。

だが、全ての飛行機で充電できるわけではない。大手航空会社でも、また飛行機が最新機種であっても、座席にACコンセントやUSBポートがないケースは結構ある。

■【航空会社別】充電できる飛行機・できない飛行機
JAL(日本航空)の場合、系列会社の小型機を除き、ほぼ全機にACコンセントまたはUSBポートが装備されている。ただ、ボーイング767の機体番号「JA601J」のみ装備がない。JALが所有するボーイング767は20機以上あるが、たった1機しかない“ハズレ”機体に当たれば充電できないという、ある意味「ガチャ」である。
飛行機のモバイルバッテリー使用禁止に困惑も……「機材ガチャ」ハズレを回避する予約前の新常識
JAL国内線の最新「A350」は全席にモニターとACコンセント、USBポートを装備する


ANAは、非装備の機体が(JALと比較して)さらに多い。ボーイング777や787などの大型機でも、複数の機体で普通席にACコンセントやUSBポートがない。なお、普通席にはなくても上級のプレミアムクラス(2026年5月19日以降はファーストクラス)には装備されている。

スカイマークは、ほぼ全機の座席下にACコンセントがある。スターフライヤーも全機にACコンセントおよびUSBポート、さらに新型機(A320neo)にはUSBタイプAに加えてタイプCにも対応する。AIRDO(エア・ドゥ)は機体番号「JA612A」「JA613A」に、ソラシドエアは最も新しい「JA813X」にUSBポートを装備する。
飛行機のモバイルバッテリー使用禁止に困惑も……「機材ガチャ」ハズレを回避する予約前の新常識
スカイマークの機内は、座席の下にACコンセントがある(一部機材を除く)


格安航空会社(LCC)では、機内で充電できる場合も。peachは最新の飛行機(A320neo、A321LR)、ジェットスター・ジャパンのA321LRも同様にUSBポートがある。JAL系の国際線LCCであるジップエアーは、座席ごとにACコンセントとUSBポートが1つずつ装備され、しかも無料で機内Wi-Fiが使えるので好評だ。

■知っておきたい! 機内で充電できる飛行機に乗る方法
機内で充電したい場合、座席にACコンセントまたはUSBポートがある飛行機の「便」をピンポイントで予約するのが確実だ。各便の予約画面で使用機材が表示されている。

ANAの場合、ボーイング787だと「78P」「788」には装備がない一方、「78K」「78G」などには装備されており、一つひとつ確認が必要だ。
「78P」などの表示を予約画面上でタップすると、その有無が分かる。ボーイング777では、「722」はあるが「773」と「772」にはない点にも注意したい。
飛行機のモバイルバッテリー使用禁止に困惑も……「機材ガチャ」ハズレを回避する予約前の新常識
ANAのボーイング787。座席で充電できる機体とできない機体があるので注意
そのほかの航空会社から充電できる機体を選ぶ場合は、スターフライヤーやスカイマークが無難と言える。

とはいえ、ピンポイントで便を予約しても当日になって「機材変更」もあり得る。この変更によって充電できない機材に変わったとしても、大半の運賃では変更不可で、どうしても充電できる機体に乗りたい場合は航空券を買い直す必要がある。機内に入ってから設備の不具合で使えない場合は、もう諦めるしかない。

また、機内で充電できる時間が異なる場合もある。機内に入った直後から降機時までほぼ使える航空会社もあれば、上空でのシートベルト消灯時のみという会社もあり(充電可能な時間が短過ぎて、ほとんど充電できないことも……)、離着陸時は充電コードを外すよう指示する航空会社も多い。

確実なのは、早めに空港に到着して搭乗までにしっかり充電しておくこと。空港内の充電スポットやラウンジ、手持ちのモバイルバッテリーで充電しておき、機内では電源を切るなどしてバッテリーの消耗を防ぎ、到着後に備えるのがベストと言える。

■持ち込みは1人2個まで! カメラのバッテリーはNGか?
モバイルバッテリーはカウンターで預ける手荷物に入れることができないため、機内持ち込みするしかない。その「1人2個まで」の制限に関し、「2個だと少ない」「カメラのバッテリーは大丈夫か」など心配する声もある。


航空法第86条に基づく義務事項で、モバイルバッテリーのワット時定格量(Wh)で「100Wh以上、160Wh以下が2個まで。160Whを超えるものは禁止」となっている。大半のモバイルバッテリーはよほど大容量でない限り、100Whを超えることはない。カメラのバッテリーも、通常それ以下である。

■海外の航空会社では先行して禁止の動き
海外では、大韓航空グループ、エバー航空やチャイナエアライン、エミレーツ航空、シンガポール航空などが、機内でのモバイルバッテリー使用をすでに禁止している。先日、筆者が韓国に渡航した際は、カウンターでモバイルバッテリーの提示を求められ、端子に絶縁テープが貼られた。機内持ち込みのバックパックにモバイルバッテリーが入っていないことを示す「No Battery」のタグが付けられたほか、保安検査場の前にモバイルバッテリーを入れる収納袋が置いてある空港もあった。

機内でスマートフォンなどを充電できないと不便なのは確か。だが、今後はそれに対して備えておくことが大事になる。同時に、2025年7月のルール化以降に日本国内で発煙事案が起こっていることを顧みると、ルール厳守の周知徹底も課題だろう。

この記事の執筆者: シカマ アキ
大阪市出身。関西学院大学社会学部卒業後、読売新聞の記者として約7年、さまざまな取材活動に携わる。
その後、国内外で雑誌やWebなど向けに、取材、執筆、撮影など。主なジャンルは、旅行、飛行機・空港、お土産、グルメなど。ニコンカレッジ講師をはじめ、空港や旅行会社などでのセミナーで講演活動も。
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