このところ、PTAの現場やネット上で、しばしば議論になるテーマです。
先日も、あるネット記事がSNSで話題になりました。
SNSでは、記事に賛同して「親がPTAに入らないなら子どもがコサージュをもらえないのは当たり前」という人たちと、「PTAがモノを配るなら、子ども全員を対象にするのが当たり前」という人たちが対立し、あちこちで論争が起きていました。
■「全員必ず入る」前提だったから生じるズレ
なぜ、こういった議論が繰り返されるのでしょうか。
背景には、PTAが「実は任意」ということが知られるようになり、「入らない」選択をする保護者が増えた、という事情があります(教職員もPTAに入らない人は増えています)。
PTAは長い間ずっと「全員必ず入る」という前提で運営されてきたため、「任意」を前提にすると、つじつまが合わなくなってしまう部分があるのです。
子どもたちに配るコサージュや記念品も、その1つです。もともと「全員必ず入る」という前提のもと始まった活動なので、「入らない」という世帯が出てきたときにどう対応するべきかわからず、保護者は混乱しがちです。
こういった対立を防ぐため、最近ではP連(市区町村や都道府県ごとのPTAのネットワーク)がPTAに対し「活動対象は学校に在籍する全ての子ども」「親が会員かどうかに関わらず子どもは区別せず扱って」と呼び掛ける例も、時々見るようになりました。
筆者も、この考え方に賛成します。PTAは任意であると同時に「学校という公共空間で活動する団体」であり、子どもを区別するべきではないと思うからです。
ただ、「PTAに入らないのに、子どもがモノをもらうのはおかしい」と考える人が一定数出てくるのも、やむを得ない気はします。
PTAはずっと「全員必ず入る」前提だったこともあり、会員に還元がある「互助会」のように誤解されてきました。
■「仕組み」を変えれば対立は起きない
こういった考え方の対立は「話し合い」での解決が難しい場合もあります。一番いいのは、対立が起きる前に「仕組み」から変えておくことでしょう。
例えば、千葉県習志野市のある中学校のPTAは、入会届を整備して任意加入の仕組みを整えた際に、「今後もし会員=会費収入が減ってきた場合は、子どもたちに配るモノを減らそう」と決めたといいます。(※1)
そうすれば、入らない人が増えても、会員=会費を払っている人の負担が過重にならず、不公平感は抑えられます。
「希望者にだけモノを配る」というやり方もあります。卒対(「卒業対策」の略。本来はPTAと別の活動)が用意する記念品を、会員家庭の子にだけ配るのでもなく、子ども全員に配るのでもなく、「希望者のみからお金を集めて配布(購入してもらう)」という方法をとる例も、各地でぽつぽつ聞きます。
もともと「別に記念品は要らない」と思っている保護者や子どももいますから、この方法は、記念品を欲しい人にもいらない人にも、みんなに喜ばれそうです。
モノの配布自体をやめる、という方法もあります。千葉県松戸市のある小学校のPTAは、入会届を整備する際、保護者間の対立感情を生まないよう、前年度のうちにあらかじめ、PTA会費の使い道を全面的に見直していました。
「会員家庭かどうかに関わらず児童全員に配るのもいいですが、もしそこで揉めるなら、最初から配るのをやめたほうがいいと思いました。そうすればPTAに入らない人が負い目を感じることもないし、入った人が入らない人をやっかむこともありません」(当時のPTA会長 竹内幸枝さん)(※2)
このPTAはその後、会費の徴収をやめ、さらに保護者会に移行しています。実は近年、改革する際に「会費ゼロ円」に踏み切るPTAがじわじわと増えているのですが、そういったPTAも当然、子どもたちへのモノの配布は行っていません。
なお、卒業式のコサージュや証書ホルダーは、PTAで購入するのでなく、自治体の予算で教育委員会が用意する自治体もあります。保護者や子ども、学校にとって、これがベストな形かもしれません。
■「まんじゅう」だって、なければないで皆慣れた
そもそも、PTAで配る記念品の類は、本当に望まれているのでしょうか。
「プレゼント」と聞けば子どもは喜ぶでしょうが、後で邪魔になり捨ててしまうことは多いでしょう。であれば最初から記念品は要らない(その分会費を下げて)、と思っている保護者も少なくありません。
筆者はたまに、PTA会長や役員さんたち向けの研修会でお話しさせてもらうのですが、その際「記念品を『配りたい』のは分かるんですが、皆さん『もらいたい』ですか?」と質問することがあります。うなずく方は、これまでのところ、見たことがありません(ちょっと複雑な表情をなさる方が多いです)。
余談ですが、7~8年前まで、卒業式に「紅白まんじゅう」を配るPTAが少なからずありました。そのため「PTAに入らない家庭の子にまんじゅうを配るか否か」で揉めることがあり、筆者はこれを「まんじゅうプロブレム」と呼んでいました。
でもだんだんと、特にコロナ禍以後は食べ物を扱う活動が減り、卒業式の「まんじゅう」も滅多に聞かなくなりました。過去を知る人はちょっと物足りなく感じるかもしれませんが、1~2年も経てばもう、まんじゅうはないのが当たり前になります。欲しい人は自分で買うでしょう。
PTAが配る記念品の類も、なければないで、じきに慣れるのでは? 少なくとも、「もらえる子ども」の線引きをめぐる保護者の対立は解消されるはずです。
※1、2『さよなら、理不尽PTA! 強制をやめる PTA改革の手引き』(辰巳出版)参照この記事の執筆者:大塚 玲子 プロフィール
ノンフィクションライター。主なテーマは「PTAなど保護者と学校の関係」と「いろんな形の家族」。著書は『さよなら、理不尽PTA!』『ルポ 定形外家族』『PTAをけっこうラクにたのしくする本』『オトナ婚です、わたしたち』『PTAでもPTAでなくてもいいんだけど、保護者と学校がこれから何をしたらいいか考えた』ほか。ひとり親。定形外かぞく(家族のダイバーシティ)代表。









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