転職やキャリアに関する悩みや疑問に、ひとつ上を目指す人の転職サイト『女の転職type』編集長の小林佳代子が回答します。今回は「AIと事務職」について。


(質問)
AIで事務職はなくなるって本当? 事務として働いていますが、この先仕事がなくならないか不安です。

(回答)
AIの普及によって事務職が完全になくなることはありませんが、求められる標準は変化していくと考えられます。

これからの時代、AIを便利な道具として使いこなすスキルはもちろんのこと、変化を前向きに受け入れる姿勢が重要。新しいツールを味方につけて、事務職を続けていけるように、自分の価値を高めていきましょう。

詳しくは以下で解説します。

■AI時代に「選ばれる事務職」へ。「チェックする力」と「工夫する力」を育てる
今後の採用市場では、以前のように事務職の求人数が右肩上がりで増え続けることはないと考えられますが、かと言って事務職の価値がなくなるというわけでもありません。

これからの時代に今まで以上に評価されるのは、AIが出した答えが本当に正しいかどうかを見極めて、最終的な判断ができるスキルです。例えば経理や労務、貿易事務などの、専門性の高い知識を求められる分野では、情報収集の段階などでAIは強力な助手となります。しかし、背景にある複雑な状況や社会のルール、倫理観をもとに、最終的なチェックを行う大切な役割は人間にしかできません。

また、指示された事務作業をこなすだけでなく、「どうすれば業務がもっとスムーズになるか」を自分で考え、効率化のためにAIを道具として使いこなす姿勢も重宝されます。「この工程はAIを使えば効率化できる」とアイデアを出し、それを新たな共通ルールとして定着させていく。
こうした「AIを監督し、業務フローを再構築する」視点を持つことで、単なる作業員ではなく、「替えのきかない事務職」へと進化していけるはずです。

■変化する「事務職の当たり前」と採用市場のリアル
上記のような業務効率化経験は採用においてアドバンテージになりえますが、現時点では、「ただAIを使える」というスキルだけで、事務職として採用される事例は、ほぼありません。しかし、採用の現場では既に変化が始まっているということを覚えておいてください。

数十年前にも、事務職の必須条件が「手書き」から「ワープロ」、そして「Excel」へと移り変わったように、現在は「AIを業務の道具として活用できること」が新たな標準になりつつあります。求人票の仕事内容にも、「AIを活用した効率化」といった表現が自然に含まれるようになってきました。

ここで企業が求めているのは、高度なAI知識というよりも、新しいツールを食わず嫌いせず「目の前の仕事をよくするために使ってみよう」という前向きな姿勢です。世の中の変化が激しい今、「まずは触ってみる、試してみる」という柔軟さこそが、この先の採用市場で高く評価されるポイントになるでしょう。

■キャリアの選択肢を広げる「どこでも通用するスキル」の磨き方
もし「この先事務職がAIに代替されてしまうのでは」と不安になるようであれば、日々の仕事をする中で「ほかの職種でも通用するスキル」を意識的に磨いてみることをおすすめします。

事務職として培った緻密さや正確さは、多くの仕事で生かすことができます。例えば、AIを使って業務効率化を行った経験があれば、社内のDX推進担当やIT部門のサポート担当など、別の職種に挑戦できる可能性も生まれます。さらに、ルーティンワークをAIに任せることで生まれた時間を使って、データの分析や改善提案を行えるようになれば、企画職やマーケティング職のように、まったく別の職種に挑戦することもできるはずです。

「AIに仕事を奪われるかもしれない」という不安を、「AIという新しい武器を手に入れて市場価値を高めよう」という前向きな成長意欲に変えてください。
これまで事務の仕事で培ってきた仕事の緻密さや正確さに、AIを「監督者」として使いこなせる力が加われば、この先もAIに仕事を奪われずに「選ばれる事務」として納得のいくキャリアを築いていけるのではないでしょうか。
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