京都にある体験型テーマパーク「東映太秦映画村」が、2026年の開業50周年を機に施設全体をリニューアルする。名称を「太秦映画村(英語表記:UZUMASA KYOTO VILLAGE)」に変更し、従来のファミリー層に加え、今後は20~30代や訪日客(インバウンド)にも楽しんでもらえるよう、大人向けへとシフトする。


第1期リニューアルでは、開業前から“18禁”コンテンツが話題に。約150億円かけたリニューアルの詳細や全面開業後への期待感などを、All About 旅行ガイドが現地で取材した。

■開業50年で全面刷新、「大人の没入体験パーク」へ
東映太秦映画村(以下、映画村)は、京都市右京区にある東映京都撮影所の一部を一般公開する形で、1975年11月にオープン。時代劇の殺陣ショー、俳優の撮影会や握手会、舞妓(まいこ)や忍者といった扮装(ふんそう)体験などができる。特に、関西圏では長年「映画村」と呼ばれて親しまれている。

その映画村が、開業50周年に合わせ、約150億円をかけて「大人の没入体験パーク」へリニューアル。「江戸時代の京へ、迷い込む。」を新たなコンセプトに掲げ、ライブショーやコンテンツ、江戸の町並みで楽しめる茶道や能などの文化体験に加え、老舗から新進気鋭まで、「京の食」をテーマにした飲食店も出店する。営業時間も21時まで延長する。

■話題の「18禁」コンテンツほか、昼と夜で雰囲気が一変
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看板ショーの「360°リアルタイムドラマ」、演目は随時変わる(筆者撮影)
新たな映画村では、東映所属の役者が村全体を舞台とした江戸時代の京都での1日を演出する「360°リアルタイムドラマ」が看板ショー。春の演目「花嫁道中 桜の宴」では、テレビドラマさながらのストーリーを目の前で観覧できる。

そして、「昼」と「夜」で異なるイベントが楽しめるのも特徴だ。昼は、華やかな花札が並ぶ部屋で恋愛や金運などが占える「京花占い」や、刀を手に取って侍の心得が学べる「侍修練場」などがある。


夜限定の、江戸時代の博打に参加する「丁半博打」や、撮影所の美術スタッフが再現した拷問器具で闇の歴史を学ぶ「大人しか入れない拷問屋敷」は、18歳未満体験不可のコンテンツ。この新たに設けられた「R-18指定」が、今回のリニューアルで最大の話題となっている。

■社長が語る「夜の営業を強化する」という真の理由
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東映太秦映画村・代表取締役社長の鎌田裕也氏。報道陣を前にあいさつ(筆者撮影)
リニューアル第1期オープンに先立って行われたメディア内覧会には、東映太秦映画村・代表取締役社長の鎌田裕也氏が登壇。約2年の工事を経て、「これまでのファミリー層向けのイメージから脱却し、インバウンドや大人の世代も楽しめる施設への進化を目指します」とし、「昼と夜の2部運営で、夜ならではのエンターテインメントを強化していきます」などと語った。

まず、大人向けや夜の営業を強化する点について、ファッション感度が高い大学生ら若者に加え、京都に多く来るインバウンドも主なターゲットとし、夜限定の18禁コンテンツや飲酒を伴う飲食の提供を通じて、これまでの日中とは異なる高い付加価値を提供する。営業時間を21時までに延長する代わり、これまでの年中無休から週1回を定休日とする。

また、近年の気候変動による夏の猛暑で日中の来場客が減少していることを踏まえ、夕方から活動するライフスタイルに合わせた「夜の映画村」を定着させる狙いもあるという。飲食や物販に関しても店舗をゼロから見直し、地元「京都」のブランド力を生かしつつ、本格的な料理やお酒を充実させ、夜の滞在時間を延ばしたいという。

名称から東映は外れたことに関しては時代背景を踏まえたといい、50年親しまれてきた「映画村」という言葉はあえて残し、「京都」や「映画」という世界に通用する強力なブランドを生かしつつ、「村」を残したのも、楽しみたい人々が集まるコミュニティーの意味を込めたという。

映画村の具体的な集客目標として、リニューアル初年度で年間70万人、リニューアルが完了する2029年には90~100万人を目指すことを明らかにした。特に、昨年(2025年)は近隣で大阪・関西万博が開催され、集客が伸び悩んだため、V字回復させたいと語っていた。

■映画村にしかない唯一無二の“資産”を生かす戦略
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映画村内では東映所属の役者が行う芝居が間近に見られる(筆者撮影)
以前は映画村内で実際に行われていたドラマ撮影も、「今後は来場客と撮影でそれぞれのエリアを明確に分離する」という。
従来の撮影所が隣接する強み、資産も最大限に生かし、撮影所の役者や職人という“資産”を映画村でも活用することで、他のテーマパークにはない「本物の映画文化」を発信する場としていきたい意向のようだ。

映画村の今後のリニューアルは、2027年春の第2期で新たに5つの飲食・物販店舗や遊郭ゾーン、2028年春の第3期で芝居小屋と中村座(仮称)のオープンを予定する。さらに、2028年以降で温浴施設の計画もある。

京都の太秦(うずまさ)にはかつて、日活、松竹、東映、マキノプロなどの撮影所が集結していた。そしてこの界隈は「日本のハリウッド」「東洋のハリウッド」と評され、多数の名作を含む映画やドラマが製作されてきた。現在も、東映などで時代劇などの撮影が行われている。

この記事の執筆者: シカマ アキ
大阪市出身。関西学院大学社会学部卒業後、読売新聞の記者として約7年、さまざまな取材活動に携わる。その後、国内外で雑誌やWebなど向けに、取材、執筆、撮影など。主なジャンルは、旅行、飛行機・空港、お土産、グルメなど。ニコンカレッジ講師をはじめ、空港や旅行会社などでのセミナーで講演活動も。

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