「SAPIXの生徒の大学進学の中央値がMARCHだ」という記事が配信され、話題になりました。

2025年4月13日の合格力判定サピックスオープンの偏差値50には、中央大学横浜(2月2日)、法政大学第二(2月2・4日)、学習院女子(2月1日)とGMARCHの附属校がずらりと並びます。
(※女子偏差値)

つまり、中学受験塾の頂点に君臨するSAPIXで「真ん中」にいても、進学先はMARCH。これが現実なのです。

この記事がSNSで話題になった背景には、「トップ塾に通ってもMARCHにしか行けないってこと?」という絶望だったと思います。

このことから、中学受験生の保護者の多くが大学受験を甘く見ていることが分かります。

しかし、MARCHは大学受験生の上位10~15%しか手が届かない超難関。中学受験という精鋭集団の戦いを経てもなお、その壁は高く厚いのです。

■偏差値50の進学校、進学先の「中央値」はどこか
では、中学受験のボリュームゾーンである四谷大塚や日能研で「偏差値50」前後の学校に通う生徒たちは、最終的にどこの大学へ進むのでしょうか。

多くの学校が「延べ合格者数」のみを公表するなか、実態を知る手がかりとなるのが、実進学先を詳細に公開している普連土学園(四谷大塚偏差値49、2月1日午前)のデータです。

少人数制のきめ細かい教育で知られる同校ですが、2025年度の現役生118人の進学先を見ると、厳しい現実が浮かび上がります。

国立大7人、早慶上理26人、GMARCH 17人。これら難関大学の合格者は合計50人にのぼります。さらに明治学院や芝浦工大などを合わせると合計で61人。
一見すると「過半数が上位校」に見えます。

しかし、これはあくまで上位層の実績。「実進学先の中央値」を探れば、日東駒専や女子大といったラインに落ち着くのが現実的な相場観です。

普連土学園と同レベルの偏差値帯の進学校は「どこの大学に何人進学したか」を公開していないので、合格者の数しか分かりませんが、似たような実績です。

同偏差値帯の富士見や、男子校の成城などは、普連土学園よりも生徒数が多いため、合格者数こそ華やかですが、実進学先のボリュームゾーンは同様の傾向にあると推測されます。

見逃せないのは、これらの学校は帰国子女枠が少なく、純粋な国内一般入試組の力で実績を出している点です。帰国生が多い学校の場合、英語力を武器に総合型選抜などで早慶合格実績が「底上げ」されているケースが多々あるので要注意です。

■難関校で「真ん中」にいる生徒のシビアな進路
ちなみに、日東駒専の「付属校」に目を向けると、中学入試の偏差値はさらに抑えめになります。

日大豊山女子(2月1日)は偏差値37、東洋大京北(2月1日)は48。系列大への内部進学という安心感がある一方で、東洋大京北のように中学入学者95人から10人の国立大合格者を出すなど、進学校として機能しているケースもあります。

一方、先に挙げた普連土学園や富士見、成城などは「進学校」として内容が極めて充実しており、中学受験では御三家や難関校の併願校として選ばれる実力校です。

こうした学校には、入試本番で惜しくも第一志望に届かなかった「御三家相当」の学力を持つ生徒も一定数入学してきます。
彼らのようなトップ層が難関国立や早慶の実績を叩き出すのは、いわば当然のこと。

しかし、それはあくまで氷山の一角です。進学校であっても、ボリュームゾーンである中央値の進学先は日東駒専付近。これが、中学受験における「出口」のシビアな現実なのです。

■中学受験のメイン層が目指す“現実の相場観”
大学受験において「日東駒専」は上位30%に入らなければ合格できない難関であり、相応の学力が求められます。

そして、この「確かな学力」を小学生のうちに担保することこそが、中学受験のボリュームゾーンにおける最大の目的といっても過言ではありません。

一方で、偏差値60を超える進学校、例えばサレジオや芝、鷗友といった名門校であっても、現役進学先の中央値は「MARCH」に落ち着きます。

東大合格者をコンスタントに輩出するような難関校でさえ、真ん中の成績を維持するのには並大抵ではない努力が必要であり、それでも出口はMARCHなのです。

前回の記事で「偏差値50の学校に受かるには、最低2年間の塾通いが必要だ」と書きましたが、この現実のシビアさを正しく認識している保護者は驚くほど少ないのが実情です。

「SAPIXのようなエリート塾に通えば、早慶は軽く合格して、東大や医学部も狙えるはず」と大学受験を楽観視する声も聞こえますが、現実はそれほど甘くありません。

どこの塾も入塾テストのハードルは決して高くはありませんし、特定の塾に通っているからといって「難関校に進学して、大学は早慶に行ける」ということはありません。

■現実的な相場観を持つ親たちが、あえて“伝統校”を選ぶわけ
大学受験の厳しい実態を冷静に見据えた、相場観のある保護者たちからいま熱い支持を得ているのが、偏差値50の共立女子(2月1日)や偏差値46の昭和女子大附属(2月1日・午前)といった伝統ある女子校です。


これらの学校の最大の特徴は、進学校としてのハイレベルなカリキュラムを維持しながら、系列大学への内部進学権も確保できる点にあります。

「他大学受験に挑戦しつつ、いざとなったら名門女子大へ進学できる」という二段構えの安心感は、不透明な大学受験を控える保護者にとって極めて強力なセーフティーネットとなります。

共立女子大も昭和女子大も、就職実績が良好で、社会的な信頼も厚いブランド校です。中学受験の偏差値という目先の数字に惑わされず、「最終的な出口(就職・キャリア)」から逆算して、こうした手堅い選択肢を選べる親こそが、真に中学受験を成功に導けるのかもしれません。

※この記事の偏差値は四谷大塚のデータを参照しています。

この記事の執筆者:四谷 代々 プロフィール
塾の偏差値表やパンフレットには載らない、学校ごとの「カラー」や「本当の校風」を熟知する中学受験関係者。しがらみのない立場から「塾や学校が親に絶対に言わない不都合な真実」を発信する。
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