学校には行かなくても元気な子、好きなことに没頭する子。その「のめり込む力」はすごい才能かも?

静岡の元教師すぎやまさんの著書『教師の本音 生徒には言えない先生の裏側』から、「アクティブ不登校」や「オタク」と呼ばれる子どもたちについて、また「アクティブ不登校」や「オタク」と呼ばれる子どもたちの持つ「のめり込む力」の可能性について一部抜粋して紹介します。


■『アクティブな不登校』とはどんな子?
不登校にはいろいろな子がいます。

心の充電が切れてボーッと過ごしている子がいる一方で、中には元気な不登校、『アクティブな不登校』が一定数います。

夜中までひたすらゲームをやっていて朝起きられないから登校できない子、家ではめちゃくちゃ元気な子、マンガやアニメが大好きで本を読みまくっている子。

私が今フリースクールで教えている子の中には、ピアノが天才的にうまくて、学校に行ってたらピアノを弾く時間がなくなるから学校に行きたくない、と言う子もいます。

AIがもっともっと社会に浸透してくるこれからの時代には、こういう『のめり込む力』を持った子どもこそが求められるようになる、と私は思います。

ワクワクする感情の力、のめり込んで追求する力こそが、人間がAIに勝てる唯一の部分だからです。

■『オタク』の子の能力を開花させるには?
いわゆる『オタク』も同じような可能性を持っています。

彼らは一度ハマったら人目も気にせず、時間も忘れて朝まで何かに没頭する力を持っているからです。

ただ、彼らの多くはベクトルが内側に向いてしまいがちです。

だからものすごい能力を持っているのに自己満足で自己完結してしまったり、独り言ばかり言っていてコミュニケーションが苦手だったりすることも多いです。

しかし、それは単にベクトルの問題、スキルの問題です。

コミュニケーションのルールを教えてあげて、トンッと後ろから押して方向を変えてあげたら、その能力が一気に外に向かって開花することがあります。
YouTubeやTikTokにはそういう天才がたくさんいます。

ただのオタクだった若者が発信する楽しみを知ったことによって、それに没頭して、一気にインフルエンサーになることも珍しくはありません。

日本の『オタク文化』はそれこそ世界に冠たるものです。ただのアニメオタクが世界に通用する文化人や専門家になる可能性は十分にあります。

文化面だけでなく、テクノロジーにイノベーションを起こすのもオタクです。

イーロン・マスク、ビル・ゲイツ、マーク・ザッカーバーグなど、世界を牽引するテック企業の創始者たちだって元々はコンピューターオタクです。

そういう意味では、オタクが時代を作っていると言っても過言ではありません。

近い将来、日本のオタクの中から世界を変えるような天才が出てくる可能性だって十分あるのです。

静岡の元教師すぎやま プロフィール
YouTuber、TikToker、LGBTQ、教育評論家。静岡県掛川市出身。10年以上中学校教諭として勤務したのちに、2018年に退職。現在は先生のホンネ、学校のウラ側を解説するインフルエンサーとして活動中。
現在総フォロワー数70万人超。フォロワーの多くは中高生で、若者心理やSNS文化に詳しい教育者として、自己啓発、SNSなどのテーマで、執筆・講演を行っている。2021年には『ゲイ』であることをカミングアウト。LGBTQの啓発活動として、講演会や企業向け研修会なども行っている。2024年に不登校生徒向けのオンラインのフリースクール『新時代スクール』を創設。クラウドファンディングで応援を募り、支援総額780万円超を達成。
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