■統計から5月に株価が上がった業種は?
5月は3月決算企業の通期決算の発表が本格化します。決算の内容次第で株価が大きく変動する銘柄も見られるでしょう。
重要なイベントが控えている5月相場は、どのような傾向があるのでしょうか。
今回は、5月の株式市場においてどのような業種が上がりやすいのかについて、過去の株価データから統計的に検証してみました。
■検証対象:日経平均採用銘柄(225銘柄)
■検証期間:2000年1月~2025年3月31日
■1銘柄当たりの投資金額:20万円
■買い条件:4月末の最終営業日の寄り付きで買い
■売り条件:25日経過後の翌営業日寄り付きで売り
4月末に日経平均採用銘柄を全て購入し、25日経過後に売却した場合について検証を行います。仮に、勝率が50%以上で損益がプラスならば、5月は株価が上がりやすい月となります。反対に損益がマイナスであるならば、5月は下がりやすい月と言えるのではないでしょうか。
■5月相場で好調な業種ベスト3!
以上のルールで過去のデータを用いて検証した結果、勝率の高かった業種は以下の通りです。
▼1位:その他製造(4銘柄)

システムトレードの達人
勝率:62.92%
勝ち数:56回
負け数:33回
引き分け数:1回
平均損益(円):3,756円
平均損益(率):1.88%
平均利益(円):13,977円
平均利益(率):6.99%
平均損失(円):-13,475円
平均損失(率):-6.74%
合計損益(円):338,012円
合計損益(率):169.01%
合計利益(円):782,694円
合計利益(率):391.36%
合計損失(円):-444,682円
合計損失(率):-222.35%
PF(プロフィット・ファクター):1.760
平均保持日数:26.18日
▼2位:空運(2銘柄)

システムトレードの達人
勝率:62.50%
勝ち数:25回
負け数:15回
引き分け数:0回
平均損益(円):2,890円
平均損益(率):1.44%
平均利益(円):10,813円
平均利益(率):5.41%
平均損失(円):-10,315円
平均損失(率):-5.16%
合計損益(円):115,593円
合計損益(率):57.80%
合計利益(円):270,319円
合計利益(率):135.16%
合計損失(円):-154,726円
合計損失(率):-77.37%
PF(プロフィット・ファクター):1.747
平均保持日数:24.90日
▼3位:海運(3銘柄)

システムトレードの達人
勝率:54.17%
勝ち数:39回
負け数:33回
引き分け数:0回
平均損益(円):1,931円
平均損益(率):0.97%
平均利益(円):14,004円
平均利益(率):7.00%
平均損失(円):-12,337円
平均損失(率):-6.17%
合計損益(円):139,063円
合計損益(率):69.53%
合計利益(円):546,173円
合計利益(率):273.10%
合計損失(円):-407,110円
合計損失(率):-203.56%
PF(プロフィット・ファクター):1.342
平均保持日数:26.17日
さまざまな業種がある中でも、その他製造、空運、海運の3業種が5月相場で好調でした。検証結果を見てみると、どれも勝率が50%以上で1トレード当たりの平均損益もプラスになっています。したがってこの3業種は、5月に上がりやすい傾向があると言えるでしょう。
■5月の好成績銘柄ランキング
では最後に、今回の検証でご紹介した業種の中でも上昇傾向が強く、5月相場で特に好調だった銘柄はどれでしょうか?

システムトレードの達人
表は、先ほどの検証において勝率70%以上の銘柄のランキングです。5月相場は、「ヤマハ<7951>」「日本航空<9201>」「バンダイナムコホールディングス<7832>」などの勝率が高く好調です。
5月相場は3月決算の企業による決算発表が本格化するものの、保守的な企業業績予想を受けて、株価が乱高下しやすいです。
その中でも特に勝率が高い上記3業種(その他製造/空運/海運)の銘柄に、注目してみてはいかがでしょうか。
※このテーマでの検証については、【システムトレードの達人】を使って検証しています。記事の内容に関しては万全を期しておりますが、その内容の正確性および安全性、利用者にとっての有用性を保証するものではありません。当社および関係者は一切の責任を負わないものとします。投資判断はご自身の責任でお願いします
文:西村 剛(証券アナリスト、ファンドマネジャー)
国内運用会社にて中小型株式ファンドマネージャー兼アナリストを経て独立。個人投資家に分かりやすく株式投資を伝授すべく、講演や執筆を行う。『夕刊フジ』3年連続 株-1グランプリ グランドチャンピオン。
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