■Q. 子どものおやつにチョコは危険ですか? 強い依存性があると聞き心配です
Q. 「うちの子はチョコレートが大好きで、いつもおやつに食べたがります。『チョコレートには、大麻と同じくらい依存性がある物質が含まれているから危険』と聞いたことがあり、少し心配です。
子どもが毎回食べたがるのは、すでに依存が起こっているからでしょうか? 小さいうちはやめたほうがいいのか、教えてください。」


■A. チョコはアナンダミドという物質を含みますが、依存性の心配は無用です
「依存性がある」と聞くと心配になるお気持ちはよく分かりますが、その心配は不要です。もちろんバランスは大切ですが、子どものおやつにチョコレートを与えても何も問題はありません。

チョコレートには「アナンダミド」という物質が含まれています。アナンダミドは、大麻に含まれる成分である「THC」に似た作用を示す物質です。大麻の成分に似ていると聞くと、いかにも依存性があると誤解されそうですが、チョコレートが含むアナンダミドの量はごく微量なものです。小さな子どもの体に入ったとしてもすぐに分解されますので、脳に影響を与えるほどの作用はまずありません。

子どもを含め、私たちがチョコレートをつい食べたくなるのは、成分による依存性ではなく、単にチョコレートの味を好んでいるからです。アナンダミドの作用ではないとされています。そのため、チョコレートの成分によって強い依存が起きることはないと考えられます。

極端に不安をあおるような情報をうのみにする必要はありません。栄養バランスを考えることはもちろん、おやつは適量にすることを心がけて、安心してお子さんとのおやつの時間を楽しんでください。

▼阿部 和穂プロフィール薬学博士・大学薬学部教授。
東京大学薬学部卒業後、同大学院薬学系研究科修士課程修了。東京大学薬学部助手、米国ソーク研究所博士研究員等を経て、現在は武蔵野大学薬学部教授として教鞭をとる。専門である脳科学・医薬分野に関し、新聞・雑誌への寄稿、生涯学習講座や市民大学での講演などを通じ、幅広く情報発信を行っている。
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