老後のお金や生活費が足りるのか不安ですよね。老後生活の収入の柱になるのが「老齢年金」ですが、年金制度にまつわることは、難しい用語が多くて、ますます不安になってしまう人もいるのではないでしょうか。
そんな年金初心者の方の疑問に、専門家が回答します。

今回は、70歳以降も年金受給をしながら仕事を続ける場合の年金額についてです。

■Q:70歳から75歳まで年金をもらいながら仕事を続けると年金は全額支給されますか?
「70歳から75歳まで年金をもらいながら仕事を続けると年金は全額支給されますか? 月の給与額は約31万円になります。よろしくお願いします」(会社員・60代)

■A:70歳以降も厚生年金保険の適用事務所で働く場合には、在職老齢年金制度の対象になりますので、給与収入などや老齢厚生年金の基本月額の金額によって、もらえる老齢厚生年金が支給停止になる可能性があります
70歳以降は厚生年金保険の被保険者ではありませんが、厚生年金保険の適用事務所で働く場合、もらえる老齢厚生年金の基本月額(加給年金額を除いた老齢厚生年金の報酬比例部分の月額)と、総報酬月額相当額(※)を足した金額が、1カ月当たり51万円(令和7年度の支給停止調整額)を超えると、もらえる老齢厚生年金の一部または全部が支給停止となります。これを在職老齢年金制度と言います。

※総報酬月額相当額は、(その月の標準報酬月額)+(その月以前1年間の標準賞与額の合計)÷12で計算します。

相談者が、70歳から75歳まで厚生年金保険の適用事務所で働く場合には、在職老齢年金制度の対象になりますので、給与収入などや老齢厚生年金の基本月額の金額によって、もらえる老齢厚生年金が支給停止になる可能性があります。

相談者の月給支給額は約31万円とのこと。賞与の支給がなかったとし、総報酬月額相当額を31万円と仮定した場合、老齢厚生年金の基本月額が20万円を超えていると、老齢厚生年金が支給停止されることもあります。

・51万円(令和7年度支給停止基準額)-31万円(総報酬月額相当額)=20万円(老齢厚生年金の基本月額)

詳細は年金事務所に確認してみましょう。

監修・文/深川 弘恵(ファイナンシャルプランナー)

都市銀行や保険会社、保険代理店での業務経験を通じて、CFP、証券外務員の資格を取得。相談業務やマネーセミナーの講師、資格本の編集等に従事。
日本FP協会の埼玉支部においてFP活動を行っている。
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