
【大学教授が解説】ポテトチップスやチョコレート、清涼飲料水などを「マイルド・ドラッグ」と呼ぶ説があるそうです。本当に中毒性や依存性があるのか、注意すべき点は何か、分かりやすく解説します。
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■Q. 「お菓子は依存性があるマイルド・ドラッグ」って本当ですか?
Q. 「最近、ママ友から『お菓子は依存性があるマイルド・ドラッグだから、子どものおやつとしては絶対に食べさせない方がいい』と言われ、不安になりました。うちでは普通にポテトチップスなどの市販のお菓子を食べさせてきたのですが、本当に依存性があるのでしょうか? 今からでもやめるべきですか?」
■A. 過度な心配は不要です。
お菓子の成分自体は問題ではありません
市販のお菓子が「マイルド・ドラッグ」として依存性があるという説がありますが、医学的・科学的に見て、大きな心配は不要です。それよりも子どもの心の状態に注目することが重要です。
一部では、ポテトチップスやチョコレートなどに依存性があるとされ、「ポテトチップス依存症」といった言葉も見られます。しかし、市販のお菓子が実際に薬物依存症のような精神的・身体的な症状を引き起こすわけではありません。過度に心配する必要はないのです。
依存が不安になるほど過度に食べる行為が見られる場合、原因の多くは食品の成分に対する依存ではなく、その人の心理状態にあります。
子どものおやつに関連して、「甘い炭酸飲料を多く飲んでいる子は、攻撃的な行動を示しやすい」といった調査報告があります。しかし、これも飲料の成分自体が直接の原因ではないと考えられます。
もともと心に抱えている悩みやストレスが原因で、甘い飲料の過剰摂取と問題行動の両方が引き起こされていると見るべきでしょう。
もし「子どもがお菓子ばかりを食べ過ぎる」「まるで依存のような食習慣がある」と感じた場合、それはお子さんの心のサインかもしれません。対象物をただ制限するのではなく、子どもの気持ちに耳を傾け、安心できる存在であることを示すことが大切です。
依存のように見える行動も、親子の信頼関係で自然と改善されていくことは多いからです。
▼阿部 和穂プロフィール薬学博士・大学薬学部教授。東京大学薬学部卒業後、同大学院薬学系研究科修士課程修了。東京大学薬学部助手、米国ソーク研究所博士研究員等を経て、現在は武蔵野大学薬学部教授として教鞭をとる。専門である脳科学・医薬分野に関し、新聞・雑誌への寄稿、生涯学習講座や市民大学での講演などを通じ、幅広く情報発信を行っている。
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