60代は、“老後に備える終点”ではなく、“これからの暮らしを自分らしく組み直す始点”。年金の受給や働き方の変化、医療や介護への備えなど、ライフスタイルとお金の関係が大きく変わっていく時期だからこそ、一度立ち止まり、「見直し」や「整え直し」に取り組むことが未来の安心につながります。


本記事では、不安を希望に変える4ステップと、すぐ始められる10のアクションを紹介します。

■STEP1|まずは現状把握!「見えない不安」を解きほぐす
将来計画の第一歩は、自分の今を正しく知ること。「なんとなく不安」の正体を見える化していきましょう。

・アクション1:資産と負債をリストアップする
預貯金や保険、不動産などの資産と、住宅ローンなどの負債を一覧にまとめて、全体像をつかみます。
・アクション2:毎月のお金の流れを把握する
通帳やカード明細から「何に」「いくら」使っているかを確認。支出のクセが見えてきます。
・アクション3:長く続けてきた支出にメスを入れる
古い保険契約や使っていないサービスなどを整理すると、思いがけない節約につながります。

<このステップで得られること>どこを見直せばいいのか、手掛かりが明確になります。

■STEP2|お金を「使う目的」別に仕分ける
資産の整理ができたら、次はお金に“役割”を与えましょう。不安が整理された準備に変わります。

・アクション4:お金を「3つの箱」に分ける
①生活費②数年内の出費③医療・介護など当面使わない資金、にざっくり分けるだけで安心度が高まります。
・アクション5:使う順番を決めておく
退職金、年金、貯蓄の取り崩し方を大まかに考えておけば、慌てずに使えます。

・アクション6:医療・介護の備えを整理する
高額療養費制度や介護保険を確認し、不足分だけを貯蓄や民間保険で補えばムダなく備えられます。

<このステップで得られること>目的を持ったお金の流れがつかめ、不安が小さくなります。

■STEP3|これからの「暮らし方」をデザインする
お金と同時に「どう暮らしたいか」も見つめ直してみましょう。

・アクション7:働き方との向き合い方を考える
収入、健康、やりがいのバランスを見ながら、自分らしい働き方(あるいは働かない選択)を整理しましょう。
・アクション8:住まいの生かし方を検討する
住み替え、リフォーム、売却など、今の住まいの選択肢を整理しておくと判断がしやすくなります。
・アクション9:「もしも」の備えを残しておく
意思表示や大事な情報をエンディングノートなどにまとめておけば、家族も自分も安心です。

<このステップで得られること>暮らし方の選択肢が増え、自分らしさが見えてきます。

■STEP4|安心が続く「定期メンテナンス」の習慣を
整えた状態を続けるには、見直す仕組みをつくることが大切です。

・アクション10:毎年の見直し日を決める
誕生日や年末などに、資産や支出、契約を総点検する日を決めておくと、変化にも対応しやすくなります。

<このステップで得られること>「整えた状態」を持続させる習慣が身に付きます。

■おわりに
大切なのは、「増やす」より「見直し整える」こと。今あるものを見える化し、ちょっと整理するだけで、不安は驚くほど軽くなります。
まずは通帳を1冊出して、今日からできることを1つ始めてみませんか? それが、人生の後半を自分らしく整える最初の一歩です。

文:京極 佐和野(ファイナンシャルプランナー、キャリアコンサルタント)

FPオフィス ミラボ代表。CFP、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、国家資格キャリアコンサルタントなどの資格を持ち、マネープランと働き方の両面から、20年以上「稼ぐ・使う・借りる・貯める・増やす」をアドバイス。FP向け継続研修、社員向けライフプラン・キャリアデザイン研修講師として活動する傍らJ-FLEC認定アドバイザーとして携わる。
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