老後のお金や生活費が足りるのか不安ですよね。老後生活の収入の柱になるのが「老齢年金」ですが、年金制度にまつわることは、難しい用語が多くて、ますます不安になってしまう人もいるのではないでしょうか。
そんな年金初心者の方の疑問に専門家が回答します。

今回は、特別支給の老齢厚生の支給についてです。

■Q:63歳になりました。「特別支給の老齢厚生年金」は一括でもらえる制度なのでしょうか?
「はじめまして。1962年(昭和37年)4月20日生まれの女性です。63歳になった今年、受給資格があると聞いた『特別支給の老齢厚生年金』について質問があります。この年金は、63歳になった時点で『それまでの分をまとめて一括で支給してもらえる』ような制度なのでしょうか? 仕組みがよく分からず不安で……分かりやすく教えていただけたらうれしいです」(ちゃんさん)

■A:「特別支給の老齢厚生年金」は毎月分が2カ月に1回支給されます。一括の支給ではありません
特別支給の老齢厚生の制度は、年金の支給開始年齢が65歳に引き上げられた際に、段階的に支給年齢を移行するために設けられた制度です。対象者は生年月日と性別により60~64歳の間に支給が始まります。

質問者「ちゃん」さんのように1962年(昭和37年)4月20日生まれの女性は、厚生年金に1年以上加入しているなど受給要件を満たしていれば、63歳から「特別支給の老齢厚生年金」を受け取れる対象者となります。

特別支給の老齢厚生年金は、毎月分を2カ月ごとにまとめて支給される制度であり、一括で何年分もまとめて受け取るものではありません。

質問者のちゃんさんの場合、63歳の誕生日(4月)を迎えた翌月=5月分から年金の支給が発生し、偶数月(2月・4月・6月・8月・10月・12月)に、2カ月分ずつ振り込まれる形になります。


なお、特別支給の老齢厚生の請求が遅れた場合には、手続きした時点で未支給分がまとめて振り込まれることがありますが、これは例外的な処理です。

年金には5年の時効があるため、請求が遅れ過ぎると一部受け取れなくなる可能性があります。受給開始年齢に達したら、できるだけ早く手続きすることをおすすめします。

監修・文/深川 弘恵(ファイナンシャルプランナー)

都市銀行や保険会社、保険代理店での業務経験を通じて、CFP、証券外務員の資格を取得。相談業務やマネーセミナーの講師、資格本の編集等に従事。日本FP協会の埼玉支部においてFP活動を行っている。
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