今、テレビドラマやコミックなどで話題となっている女性用風俗(女風=じょふう)。「試してみたいけれどリスクが怖い」いう人も多いのではないでしょうか。


そこで、長年セックスレス問題に取り組み、『女性用風俗 [超入門]』(アイデア出版)、コミック原作『妻で母ですが、女性風俗にハマりました』(全2巻・KADOKAWA)を手掛けた筆者が、女風について分かりやすく解説します。

適切に利用すればよい効果が得られる女風ですが、よいことばかりとは限りません。

今回は、女風取材をフィールドワークとする筆者が出会った40代女性のトラブル事例をご紹介します。

■女風利用で嫌な思いをする人も
実際に私の主宰する「恋人・夫婦仲相談所」に寄せられる相談でも、女風の利用で嫌な思いや残念な思いをされた人もいれば、自ら問題を起こして「モンスターカスタマー」になり、周囲に迷惑をかけてしまった人もいます。

前回は、私のところに相談に来られた夏実さん(仮名・40代)の成功事例をご紹介しましたが、女風利用の際には気を付けなければならない注意点もあります。

■さくらさん(仮名・40代)の場合
さくらさん(仮名・40代)は1人目の男の子を出産後、10年近く夫とのセックスレスが続いていました。原因は夫側の拒否。サービス業で長時間労働の夫は毎日帰宅が遅く、さくらさんは育児をほとんどワンオペで行っていました。お子さんが病気がちだったため、たびたび病院に通うなど、かなり育児に時間を取られる毎日でした。

「子どもがすぐに熱を出したり、食べ物を吐いたりするので、日中は子どもにつきっきりのことがしょっちゅう。メイクをする余裕はなく、髪を振り乱しながら子どもの世話をし、終わると疲れ果ててソファで寝落ちすることもしばしば。とてもじゃないですが家の中を片づけたり、夕食を作る気力は残っていませんでした。


そんな私に夫は、気遣ったり感謝したりするような言葉を一切かけてはくれませんでした。洗濯ものがたまっているランドリーボックスを見てはため息をついたり、夕飯の支度ができていない様子を見ては「今日もまたUber?」とバカにしたような薄笑いをしたり。そんな彼の言動に私はとても傷ついていました。

ちょっとでも私の頑張りを分かってもらいたい、癒してもらいたいと思って、夜にベッドで夫をそっと誘ってみるんですが、『家事はやる気がないのに、セックスだけはやる気があるわけ? 悪いけどもう君を女性として見られないし、抱きたいとも思わない』と、ずっと拒否され続けてます」

■好みのセラピストに出会って
私の主宰する「恋人・夫婦仲相談所」にさくらさんが相談に来たのは、こんな状況のときでした。「女性として接してもらいたい、誰かに癒してもらいたい」というさくらさんに私は女風の利用をお勧めしました。ところが、注意点は伝えたつもりでしたが、のちに大変なことに発展します。

彼女はご紹介した店舗を複数見比べ、そこに所属するセラピストたちの画像や動画をしっかりチェックし、リサーチを重ねた結果、自分好みのセラピストを予約することができたそうです。

その後、「どストライクのセラピストさんが来てくれましたー」と報告してくれたさくらさん。整った塩顔。細マッチョな体つき、ややハスキーな声、陽キャ過ぎず適度に控えめな言動……。全てがさくらさん好みだったそうです。

■彼を月に何度も指名するように
「私の裸を見て何度もきれいだって褒めてくれて、まるでお姫様のように大切にしてくれました。
私のことを女性としてちゃんと見てくれる人がここにいたんです。これはもう運命の出会いだと感じました」

と目を輝かせていたさくらさん。それ以来、彼女はそのセラピストさんにすっかり沼ってしまったのです。

それ以来、彼女はお気に入りの彼を月に何度も指名。またホテルで過ごすだけでは飽き足らず、追加料金を払って一緒に食事をしたり、お子さんを実家に預けて日帰りでドライブに出かけたりと、指名時間をどんどん増やしていきました。

時給の高いセラピストを「借り切る」のは相当高額です。彼にかけるお金はどんどん膨らんでいきました。自分の貯金が足りなくなると、やがて消費者金融でお金を借りはじめ、それがとうとう夫にバレて、夫婦で大げんか。彼女は彼と会えなくなってしまいました。

■ネットで迷惑行為を……
それでも彼を諦めきれないさくらさんは、彼に他の客からの指名がつかないよう、ウェブの口コミなどで、お気に入りの彼に最低のレビューをつけたり、トラブルをほのめかすようなうその書き込みをしたりと、ネットでの迷惑行為を始めました。

彼女いわく「彼が嫌いになったわけじゃなく、彼のことが好きでたまらないので、他の女性の施術をしてほしくなかった。私だけのセラピストでいてほしかった」というのが理由だったそうですが、セラピストや店舗からしたら、営業妨害をする迷惑な客でしかありません。


この頃まではメールで彼女の様子を聞いていましたが、その後、報告が途絶えました。

このセラピストさんが所属していた店舗の上司とは、性のイベントで知り合いになっていたので、後日談を聞きました。

彼女はさらに、そのセラピストさんのSNSのコメントをチェックして、彼が「ここでよくランチを食べてます」と投稿したお店で、彼が来ないか毎日待ち伏せしたりなど、だんだんストーカーじみた行為をするようになっていったそうです。

そして最終的にはそのセラピストさんは店を辞め、SNSのアカウントや携帯番号も変えて、連絡がつかないように姿を消してしまったとのことでした。

■「割り切り」が必要
忘れてはいけないことは、セラピストと利用者は恋人でも愛人でもなく、単にサービス提供者と客というお金で結びついた関係であることです。セラピストが優しくしてくれるのは、お金を払った対価。彼らの仕事だからです。

そこは、どんなに施術が素晴らしくても好みのタイプであったとしても冷静に考える必要があります。つまり「割り切り」です。

自分は「優しくしてくれた人を好きになる」惚れっぽいタイプ、割り切れないタイプだと思うなら、女性用風俗は絶対に利用してはいけません。

女性用風俗を利用しようと思うという女性には、いつも「割り切り」というハチマキを心に巻いて予約ボタンを押せ、と厳しく伝えています。

風俗という一歩間違うと危険で怪しいイメージを持たれかねないサービスだからこそ、利用する女性たちがモラルと節度を持ってセラピストと接し、楽しくサービスを利用できる雰囲気をユーザーたちで作っていく必要があると思います。
つまり大人の世界です。

そして、もう1つ注意しなければならないのが、「悪質セラピスト問題」です。私の原作コミックにも登場しますが、悪質セラピストに当たってしまうと、悪い意味で人生が変わります。絶対注意の警報レベルです。警報エピソードは次回お伝えします。

▼三松 真由美プロフィール男女関係に悩む1万3000名の女性会員が集うコミュニティを展開。セックスレス・ED・女性性機能に詳しく、性を通して男女関係を円滑にするメソッドを考案。講演、メディア出演、著書多数の恋愛・夫婦仲コメンテーター。執筆家。
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