老後のお金や生活費が足りるのか不安ですよね。老後生活の収入の柱になるのが「老齢年金」ですが、年金制度にまつわることは、難しい用語が多くて、ますます不安になってしまう人もいるのではないでしょうか。
そんな年金初心者の方の疑問に専門家が回答します。

今回は、特別支給の老齢厚生年金の受け取りについてです。

■Q:1月生まれで来年65歳になります。特別支給の老齢厚生年金は来年2月までもらえますか?
「1月生まれで来年65歳になる私は、特別支給の老齢厚生年金を来年2月まで受け取れますか? ぜひ教えてください」(キムリンさん・男性)

■A:特別支給の老齢厚生年金は、65歳到達月の前月(つまり64歳の12月分)までが支給対象です。本来の老齢年金は65歳の1月分から支給されます
キムリンさんのように1月生まれの方が65歳を迎える場合、特別支給の老齢厚生年金は、65歳到達月の前月(つまり64歳の12月分)までが支給対象です。そして65歳になった1月分からは、老齢基礎年金と老齢厚生年金がセットになった、いわゆる「本来の老齢年金」の支給が始まります。

この特別支給の老齢厚生年金という制度は、老齢年金の支給開始年齢が段階的に引き上げられる過程で、一定の条件を満たす人が65歳になるまでの間、つなぎとして年金を受け取れるように設けられた措置です。厚生年金の加入期間が1年以上あり、かつ性別や生年月日などによる支給開始年齢の要件を満たしていれば、原則として65歳になるまでの期間に受け取れます。

ただし、この「特別支給の老齢厚生年金」は65歳の誕生月から自動的に終了となり、以降は老齢基礎年金と老齢厚生年金に切り替わります。キムリンさんの場合、64歳の12月分が最後の特別支給となり、65歳の1月分から本来の老齢年金が支給されるという流れになります。

年金は、偶数月の15日に、その前の2カ月分がまとめて振り込まれる仕組みになっています。例えば2月の支給は、前年12月分と当年1月分の2カ月分となります。
したがって、キムリンさんが65歳になる年の2月に受け取る年金は、64歳の12月分の特別支給の老齢厚生年金と、65歳の1月分の老齢基礎年金+老齢厚生年金が合算されたものです。

もし2月15日が土曜・日曜・祝日と重なった場合は、直前の平日に繰り上げて支給されます。このため、初回の本来の老齢年金がいつ、どのような内訳で支払われるかを把握しておくことで、年金生活のスタートにおける混乱や不安も防げます。

監修・文/深川 弘恵(ファイナンシャルプランナー)

都市銀行や保険会社、保険代理店での業務経験を通じて、CFP、証券外務員の資格を取得。相談業務やマネーセミナーの講師、資格本の編集等に従事。日本FP協会の埼玉支部においてFP活動を行っている。
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