「話が合わない」「空気が読めない」そう思われがちなギフテッド児。その行動の背景には、本人も苦しむ深刻な理由が隠れているのです。
『ギフテッドの子を正しく理解し、個性を生かす本』(宮尾益知監修)では、学校でも家庭でも“扱いづらい”とされてしまうギフテッド児の困難を知り、上手に寄り添い援助する方法を紹介しています。
今回は本書から一部抜粋し、ギフテッド児がクラスの中で居場所を失ってしまう理由について解説します。
■ギフテッド児が同世代の友達をつくりづらい理由
ギフテッド児は同世代の子どもたちとうまくつき合えません。話題が合わず、退屈に感じ、自分からひとりになろうとする子もいます。その結果、クラスに居場所がなくなってしまいます。
小学生の子どもたちの会話といえば、友達や芸能人、スポーツ選手の噂話、ゲームや遊びなどの身近な話題でしょう。
ところがギフテッド児は、興味・関心のもち方が同年代の子とは違います。社会・政治問題に憤りを覚えたり、解明されていない宇宙の不思議を突き詰めて考えたり、死や人生の意味といった抽象的な話題について話したがったりします。
さらにギフテッド児は、普通の発達段階を経る定型発達の子どもと比べ、社会性の発達が遅れます。相手の気持ちを理解して上手に合わせることが苦手です。
自分が興味をもった難しいテーマについて、友達相手に熱弁をふるっても、友達は乗ってくれません。そんな友達なら、一緒にいてもつまらないと思ってしまうのです。
また、子どもたちは会話だけでなく集団で行う遊びや、サッカーやバスケ、ダンスなどのスポーツを通して絆を深めます。ギフテッド児は、協調運動の苦手さ (DCD) を抱えていることが多く、友達とのこうした共同作業が苦手です。
また、感情抑制のコントロールがきかず、うまくいかないと癇癪(かんしゃく)を起こしてしまうこともあります。できないことは最初からやろうとせず、みんなの輪に入りたがりません。
このようにギフテッド児は学校で孤立しがちですが、だからといって心の底から「友達なんていらない」と思っているわけではありません。クリニックに来るギフテッド児の多くは、学校でうまくいかないことにストレスをため、ふとさみしげな表情を見せることがあります。
学校はつまらないし、友達と話は合わないけれど、それでもみんなの仲間に入りたいというのが本音なのでしょう。
■興味・関心がみんなとズレる原因となる特性
ギフテッド児は、同学年の子どもたちとは話が合いません。学習能力が高い反面、社会性の獲得が遅いという発達上の特性も影響し、小学生くらいの時期は相手の状況や気持ちを想像することができない子もいます。
自分の興味あるテーマしか話題にできず、相手に構わず話をするので周囲は引いてしまいます。以下は同学年の子との関係で起こりがちな問題の具体例です。
・友達の間違いを攻め立てる:友達が間違える、正しくないことをすると、細かく指摘し、徹底的に攻め立てる。
・社会的な話題を出して場が白ける:政治や社会に関することへの関心が高い。しかし同世代の子に話してもその場が白けてしまう。
・テーマのない話題が苦手:テーマや目的がないトークは苦手。ガールズトークのように、たわいもない世間話の輪に入れない。
・まわりに合わせようとしない:まわりに合わせることをせず、ひとりで自分の好きなことをしていることが多い。周囲に変わった子だと思われる。
・友達をバカにする:話が合わない、知識量の差があることをもって、友達をバカにする。声をかけられても自分から無視する。
・癇癪を起こし、当たり散らす:思い通りにならないと、癇癪を起こし、周囲に当たり散らす。
・集団で行う競技に参加しない:運動機能の弱さがあるので、ボールゲームなどのチームで行う競技スポーツに参加したがらない。
宮尾益知 (みやお ますとも)プロフィール
東京生まれ。
『ギフテッドの子を正しく理解し、個性を生かす本』(宮尾益知監修)では、学校でも家庭でも“扱いづらい”とされてしまうギフテッド児の困難を知り、上手に寄り添い援助する方法を紹介しています。
今回は本書から一部抜粋し、ギフテッド児がクラスの中で居場所を失ってしまう理由について解説します。
■ギフテッド児が同世代の友達をつくりづらい理由
ギフテッド児は同世代の子どもたちとうまくつき合えません。話題が合わず、退屈に感じ、自分からひとりになろうとする子もいます。その結果、クラスに居場所がなくなってしまいます。
小学生の子どもたちの会話といえば、友達や芸能人、スポーツ選手の噂話、ゲームや遊びなどの身近な話題でしょう。
ところがギフテッド児は、興味・関心のもち方が同年代の子とは違います。社会・政治問題に憤りを覚えたり、解明されていない宇宙の不思議を突き詰めて考えたり、死や人生の意味といった抽象的な話題について話したがったりします。
さらにギフテッド児は、普通の発達段階を経る定型発達の子どもと比べ、社会性の発達が遅れます。相手の気持ちを理解して上手に合わせることが苦手です。
自分が興味をもった難しいテーマについて、友達相手に熱弁をふるっても、友達は乗ってくれません。そんな友達なら、一緒にいてもつまらないと思ってしまうのです。
こうなると周囲の子どもたちも、近づかなくなります。
また、子どもたちは会話だけでなく集団で行う遊びや、サッカーやバスケ、ダンスなどのスポーツを通して絆を深めます。ギフテッド児は、協調運動の苦手さ (DCD) を抱えていることが多く、友達とのこうした共同作業が苦手です。
また、感情抑制のコントロールがきかず、うまくいかないと癇癪(かんしゃく)を起こしてしまうこともあります。できないことは最初からやろうとせず、みんなの輪に入りたがりません。
このようにギフテッド児は学校で孤立しがちですが、だからといって心の底から「友達なんていらない」と思っているわけではありません。クリニックに来るギフテッド児の多くは、学校でうまくいかないことにストレスをため、ふとさみしげな表情を見せることがあります。
学校はつまらないし、友達と話は合わないけれど、それでもみんなの仲間に入りたいというのが本音なのでしょう。
■興味・関心がみんなとズレる原因となる特性
ギフテッド児は、同学年の子どもたちとは話が合いません。学習能力が高い反面、社会性の獲得が遅いという発達上の特性も影響し、小学生くらいの時期は相手の状況や気持ちを想像することができない子もいます。
自分の興味あるテーマしか話題にできず、相手に構わず話をするので周囲は引いてしまいます。以下は同学年の子との関係で起こりがちな問題の具体例です。
・友達の間違いを攻め立てる:友達が間違える、正しくないことをすると、細かく指摘し、徹底的に攻め立てる。
・社会的な話題を出して場が白ける:政治や社会に関することへの関心が高い。しかし同世代の子に話してもその場が白けてしまう。
・テーマのない話題が苦手:テーマや目的がないトークは苦手。ガールズトークのように、たわいもない世間話の輪に入れない。
・まわりに合わせようとしない:まわりに合わせることをせず、ひとりで自分の好きなことをしていることが多い。周囲に変わった子だと思われる。
・友達をバカにする:話が合わない、知識量の差があることをもって、友達をバカにする。声をかけられても自分から無視する。
・癇癪を起こし、当たり散らす:思い通りにならないと、癇癪を起こし、周囲に当たり散らす。
・集団で行う競技に参加しない:運動機能の弱さがあるので、ボールゲームなどのチームで行う競技スポーツに参加したがらない。
宮尾益知 (みやお ますとも)プロフィール
東京生まれ。
徳島大学医学部卒業、東京大学医学部小児科、自治医科大学小児科学教室、ハーバード大学神経科、国立成育医療研究センターこころの診療部発達心理科などを経て2014年にどんぐり発達クリニックを開院。
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