今回は、大学時代に国民年金を支払っていない場合についての質問です。
■Q:大学時代に国民年金を支払っていなかったのですが、60歳以降も会社員として働けば、国民年金を満額まで支払ったことになるのでしょうか?
「20歳から22歳まで大学生で、国民年金を支払っていませんでした。60歳以降も会社員として働き続けると、国民年金を満額まで支払ったことになるのでしょうか? 1967年10月生まれの男性です」(匿名希望)
■A:60歳以降に厚生年金保険料を払っても、国民年金保険料の未納分を納めたことにはなりません。そのため、老齢基礎年金は満額にはなりません。ただし、厚生年金に加入している場合は、老齢基礎年金相当分として「経過的加算」が厚生年金から上乗せされます
日本に住んでいる20歳以上60歳未満の人は、国民年金に加入し保険料を納付する義務があります。
老齢基礎年金を満額(令和7年度で年額83万1700円)受け取るには、国民年金保険料の納付済期間が480カ月(40年)必要です。
未納期間がある場合は、老齢基礎年金の受給額は減額されます。ただし、60歳以降65歳になるまで「任意加入制度」を利用して不足分を納めることで、受給額を増やすことが可能です。
注意が必要なのは、60歳以降に厚生年金に加入して働く場合、任意加入制度は利用できない点です。厚生年金に加入しない働き方を選んだ場合にのみ、任意加入が可能となります。
国民年金保険料の未納期間がある人が60歳以降も厚生年金に加入して働く場合、老齢基礎年金自体は満額にはなりません。
経過的加算の金額は、昭和31年4月2日以後生まれの場合、1カ月当たり年額1734円(令和7年度)が上乗せされます。
監修・文/深川 弘恵(ファイナンシャルプランナー)
都市銀行や保険会社、保険代理店での業務経験を通じて、CFP、証券外務員の資格を取得。相談業務やマネーセミナーの講師、資格本の編集等に従事。日本FP協会の埼玉支部においてFP活動を行っている。