趣味は老後の生活を彩る大切な楽しみ。読書、旅行、ガーデニング、カラオケ、なんでも心を豊かにしてくれるものです。
とはいえ、物価高で生活費がじわじわ上がると「趣味の出費は削らなきゃ?」と不安になる方も多いのではないでしょうか。

総務省統計局「家計調査報告 〔 家計収支編 〕 2024年(令和6年)平均結果の概要」によると、「65歳以上の夫婦のみの無職世帯」では生活費約25万円のうち、約2万5000円(9.9%)が教養・娯楽費に充てられています。

もし今後、食費や光熱費がさらに上がったら? 趣味費用を減らすのはつらいもの。そこで今回は、無理せずに月5000円を捻り出すちょっとした工夫をご紹介します。

■工夫1:食費は外食や総菜に頼る回数を減らして月2000円
食費は毎月の支出の中でも大きな割合を占めるため、集中的に見直しすれば、効果が出る項目です。以下のポイントに気を配りましょう。

▼・家庭での食事を増やすまずは外食や総菜に頼る回数を減らし、自炊の回数を増やすことから始めましょう。週に「何回まで」と具体的に目標を決めると続けやすくなります。

▼・まとめ買い&冷凍保存で無駄を減らす食材をまとめ買いすれば単価を抑えられますし、小分け冷凍や作り置きを活用すれば、安価な食材を無駄なく使い切れます。さらに、飲み物をペットボトルではなくティーバッグで作ると、1杯当たりのコストを大幅に減らせます。

▼・家計簿や支出チェックで気付きを得る家計簿を細かくつけるのが面倒なら、レシートを定期的に見返すだけでも効果的です。「意外とお菓子代が多い」「総菜を買い過ぎている」といった、ちょっとした習慣が見えてきます。
気付きを積み重ねることで、自然と節約意識が高まります。

■工夫2:サブスクリプションサービス(定額サービス)の利用を見直して月1500円
サブスクリプションサービス(定額サービス・サブスク)は便利ですが、「なんとなく払い続けているもの」が家計を圧迫していることがあります。月額500~1000円のサービスでも複数契約していれば、トータルで大きな金額に。利用していないサービスをやめるだけでも、月1000~2000円の節約が可能です。

▼サブスクにはこんな種類がある・動画配信サービス:Netflix、Amazonプライム・ビデオ、U-NEXTなど
・音楽配信サービス:Spotify、Apple Music、LINE MUSICなど
・新聞・雑誌の電子版:日経電子版、楽天マガジン、dマガジンなど
・学習サービス:英語教材アプリ、プログラミング学習、料理レシピアプリなど
・趣味・娯楽系:オーディオブックなど

契約していることを忘れているサービスがある人も多いので、「今何を契約しているのか」を一度リスト化して、以下のポイントに沿って見直しましょう。

▼サブスクの節約ポイント・利用頻度を振り返る:「最後に使ったのはいつ?」を基準に判断
・お試し期間終了に注意:そのまま自動更新していないか確認
・似たサービスは一本化:動画配信は1つに絞る、学習アプリは本当に続けられるものだけにする

サブスクは「ちりも積もれば山となる」支出。1カ月利用していないものがあれば解約するなど細かくチェックするとよいでしょう。

■工夫3:光熱費は継続的な節約習慣で月数百円
光熱費は一気に減るものではありませんが、日々のちょっとした習慣を積み重ねることで、確実に負担を軽くすることができます。継続的に取り組む節約習慣には、以下のものがあります。

▼・使わない部屋の電気はこまめに消す使っていない家電のコンセントを抜いておけば待機電力も減り、月数十円~百円単位の節約につながります。

▼・エアコンは温度を1℃調整する夏は1℃高く、冬は1℃低くするだけでも、年間で数千円の削減効果が期待できます。

▼・シャワーを出しっぱなしにしない時間を意識して利用する(毎回1~2分短縮)ことで、水道代・ガス代の両方に効果が出ます。


▼・照明をLEDに交換する白熱電球からLEDに替えると消費電力が大幅に下がり、寿命も長いため長期的に見れば大きな節約になります

■工夫4:月1500~2000円分のポイントを効率よく貯める
最近ではクレジットカードやQRコード決済など、さまざまなキャッシュレス手段があります。日常の買い物の支払いをキャッシュレス決済にまとめると、毎月1500~2000円分のポイントを貯めることは十分可能です。ポイントを効率よく貯めるには、以下の項目に気を配りましょう。

▼・キャッシュレス決済を活用クレジットカードやQRコード決済では、購入金額の数%がポイント還元されます。普段の買い物を現金からキャッシュレスに切り替えるだけで、ポイントが貯まります。

▼・食品や日用品の買い物を特定のお店にまとめるあちこちで少しずつ買い物をするとポイントが分散して貯まりにくくなります。普段よく使うスーパーやドラッグストアを決めてまとめ買いすることで、効率的にポイントを集められます。

▼・ポイントアップデーを活用するスーパーやドラッグストアには「○日はポイント2倍」などのポイントアップの日があります。計画的にその日にまとめ買いをすれば、同じ支出でもより多くのポイントを得られます。

■まとめ
趣味の費用を「削らなければ」と思ったときこそ、支出の優先順位を見直すタイミングです。毎日の小さな出費を整理し、暮らしの中で少し工夫するだけで、月5000円ほどは無理なく捻出できます。

文:舟本 美子(ファイナンシャルプランナー)
会計事務所、保険代理店や外資系の保険会社で営業職として勤務後、FPとして独立。
人と比較しない自分に合ったお金との付き合い方を発信。3匹の保護猫と暮らす。All About おひとりさまのお金・ペットのお金ガイド。
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