50代になると、「この先どう働いていくか」を考える機会が自然と増えてきます。会社勤めの方なら定年が視野に入り、自営業やフリーランスの方でも、体力や気力の変化、家族のライフステージなどを通じて、働き方や役割との向き合い方に変化が訪れます。


■「まだ働ける・働きたい」50代はこれからの働き方を見直すタイミング
最近では、企業が定年の10年前にキャリアを振り返る研修を行うケースも増えています。こうした場で話をすると、参加者の表情が変わる瞬間があります。「このままでいいのか」と感じている方が多いからです。研修後に「もっと早くこういう話を聞きたかった」と言われることも少なくありません。

「日々の業務に追われて将来を考える余裕がなかった。でも今日の話で、少し先の自分を思い描けた気がする。“まだやりたいことがある”“もう少し頑張ってみたい”という気持ちが芽生えた」といった声をよく耳にします。

責任ある仕事を任される一方で、疲弊している方も多く、だからこそ“別の世界をのぞいてみる”ような非日常の体験が、大きな刺激になります。

副業や学び直し、地域活動など、小さな一歩が未来の働き方につながります。「それならできそう」と思える行動から、新しいキャリアや役割が始まっていきます。

■定年後も自分らしく過ごすために──見直したい3つの軸
老後も自分らしく働き続ける、あるいは役割を持ち続けるために、50代で見直しておきたいのは以下の3点です。

・健康:働き続けるにはまず体づくり。
運動や生活習慣の見直しが土台になります。
・スキル:社会の変化に対応するため、棚卸しとリスキリングが必要です。
・お金:退職金や年金だけでは不安な時代。収入と働き方のバランスを把握しておきましょう。

■今すぐできる準備──小さな一歩から始める
準備は「小さな一歩」から始められます。

例えば……
・経験・スキルの棚卸し
・社外とのつながりづくり(セミナー・地域活動など)
・勤務先が許可をしているのであれば、週末副業など無理のない挑戦

キャリアのリスキリングを考える前に、自分の価値観や強みを整理しておくことが大切です。厚生労働省が提供する「ジョブ・カード」は、そうした振り返りに活用できるツールです。

専用サイト「マイジョブ・カード」では、自分自身でキャリア情報を記入・管理することができ、職業訓練の申し込みなどにも活用できます。必要に応じて、マイジョブ・カードの公式Webサイトも参考にしてみてください。

また、同世代の人と情報交換するだけでも、新しい視点や安心感につながることがあり、おすすめです。

■まとめ──“自分らしさ”を生かす選択を
50代は、これまでのキャリアを再定義し、定年後の“自分らしさ”をどう生かすかを考える時期です。働くことを選ぶかどうかも含めて、自分らしい選択を重ねていくことが、これからの安心と充実につながります。


未来の働き方は、50代の一歩から始まります。今日からできることを、少しずつ始めてみませんか。

文:京極 佐和野(ファイナンシャルプランナー、キャリアコンサルタント)

FPオフィス ミラボ代表。CFP、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、国家資格キャリアコンサルタントなどの資格を持ち、マネープランと働き方の両面から、20年以上「稼ぐ・使う・借りる・貯める・増やす」をアドバイス。FP向け継続研修、社員向けライフプラン・キャリアデザイン研修講師として活動する傍らJ-FLEC認定アドバイザーとして携わる。
編集部おすすめ