老後のお金や生活費が足りるのか不安ですよね。老後生活の収入の柱になるのが「老齢年金」ですが、年金制度にまつわることは難しい用語が多くて、ますます不安になってしまう人もいるのではないでしょうか。
そんな年金初心者の方の疑問に専門家が回答します。

今回は、大学時代に国民年金保険料を支払っていない場合についてです。

■Q:20歳から22歳まで国民年金を支払っていませんでした。65歳から年金を受け取る際に満額で受給できる?
「1964年1月生まれの男性です。20歳から22歳までの大学生時代に国民年金を支払っていませんでした。その後、22歳で就職してからは給与から天引きで厚生年金を支払ってきました。65歳から年金を受け取る際に満額で受給できるのでしょうか。それとも未納の2年間があるために減額されるのでしょうか。今からその未納分を支払うことは可能でしょうか」(ヤマガラさん)

■A:国民年金保険料の未納期間がある人は、満額の老齢基礎年金を受け取れません
日本に住んでいる20歳以上60歳未満の人は、国民年金に加入して国民年金保険料を納付する必要があります。

国民年金(老齢基礎年金)を65歳から満額(83万1700円/令和7年度)受け取るためには、国民年金保険料を480カ月(40年)支払わなければなりません。

ヤマガラさんのように、国民年金保険料の未納期間がある人は、満額の老齢基礎年金を受け取れません。22歳から厚生年金に加入して厚生年金保険料を支払っていた期間は、国民年金保険料が含まれておりますので、ヤマガラさんの未納期間は、20~22歳までの2年間になります。


国民年金保険料の未納が24カ月ある場合は、83万1700円×(456カ月÷480カ月)=約79万円(年間)となります。

国民年金保険料の未納期間がある人は、老齢基礎年金受給額を増額させて満額に近づけるために、60歳以降65歳になるまで、任意加入制度を利用して保険料を支払えます。

しかし60歳以降も厚生年金に加入して働く場合は、任意加入制度を利用することはできません。自営業やパートなど厚生年金に加入しない働き方であれば、任意加入制度を利用できます。

もし厚生年金に加入して働く場合は、任意加入制度を利用できず、老齢基礎年金は満額になりませんが、60歳以降、厚生年金に加入することで、厚生年金から経過的加算(老齢基礎年金相当)が受け取れます。

国民年金保険料の納付済期間が480カ月(40年)に満たない人が、60歳以降に厚生年金に加入すると経過的加算としてひと月当たり年額1734円(令和7年度/昭和31年4月2日以後生まれの場合)が増額することになります。

監修・文/深川 弘恵(ファイナンシャルプランナー)
都市銀行や保険会社、保険代理店での業務経験を通じて、CFP、証券外務員の資格を取得。相談業務やマネーセミナーの講師、資格本の編集等に従事。日本FP協会の埼玉支部においてFP活動を行っている。
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