待ちに待った新居の完成。引き渡し前に行われる「内覧会」は、購入者が実際に建物の仕上がりを確認できるチャンスです。


しかし「見た目はきれいだから大丈夫」と油断すると、入居後に気付く不具合を見逃してしまうことも。床のきしみやキズ、排水の異常などは、このタイミングでしか指摘できない場合があります。

この記事では、住宅診断のプロであるホームインスペクターの友田 雄俊氏(株式会社さくら事務所)に、内覧会で特に注意しておきたいポイントを聞きました。

・ホームインスペクターとは?
住宅の劣化や施工の状態などを、専門知識をもとに客観的にチェックする専門家です。新築・中古を問わず、購入前の「見えない不安」を減らすサポートをしてくれます。

■新築マンションの「内覧会」でチェックしたいポイント
いよいよ建物が完成し、引き渡しを待つばかり。内覧会は、引き渡し前に完成状態を自分の目で確認し、気になる点を指摘できる貴重な機会です。外観の美しさに安心せず、細かい部分まで丁寧に見ておくことが大切です。そこで、特に注意して見ておきたいポイントをいくつかご紹介します。

▼床鳴り:スリッパを脱いで自分の足で確認する室内を歩いたときに「パキッ」「ギシッ」と音がする床鳴りは、意外に多いトラブルの1つ。スリッパを履いていると気付きにくいため、ぜひ一度スリッパを脱ぎ、ご自身の足で室内をゆっくり歩き回ってみてください。歩く音や感触の違いから、施工ムラに気付けることもあります。


▼壁や床のキズ・汚れ:引き渡し後は自己責任に一度引き渡しを終えてしまうと、キズや汚れが「最初からあった」と証明するのが難しく、売主に対応してもらえないのが基本です。気になる箇所があれば、遠慮は無用。内覧会の時点でしっかり指摘して、補修をお願いしましょう。写真を撮っておくと、後日のやりとりもスムーズです。

▼バルコニーの水たまり:排水は正常?バルコニーの床には、雨水が自然に排水口へ流れるようにごくわずかな傾斜がつけられています。この傾斜がうまくいっていないと、水たまりができてしまうこともあります。内覧会直前の雨は、この状態を確認できる絶好のチャンスです。

▼水漏れ・換気設備の不具合:できる限りチェックご自身での確認は難しい部分ですが、トイレや洗面台の下、床下点検口など、見える範囲で水漏れ跡がないかを確認しておきましょう。また、換気扇やレンジフードの作動音をチェックするのも忘れずに。異音や動作不良がある場合は、その場で記録し担当者に伝えましょう。

教えてくれたのは……友田 雄俊(ともだ かずとし)さん
株式会社さくら事務所 ホームインスペクター
大手リフォーム会社にて木造戸建て住宅リフォームの営業・設計・工事監理に従事。2019年にさくら事務所に参画し、建物の施工中や完成後の状況を検査・調査するホームインスペクターとして活躍。
住宅トラブルに関する相談対応実績は1000件以上。2025年にさくら事務所・執行役員CCOに就任。自身が取材協力した「マンションバブル41の落とし穴」(小学館)が発売中。
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