老後のお金や生活費が足りるのか不安ですよね。老後生活の収入の柱になるのが「老齢年金」ですが、年金制度にまつわることは難しい用語が多くて、ますます不安になってしまう人もいるのではないでしょうか。
そんな年金初心者の方の疑問に専門家が回答します。

今回は、特別支給の老齢厚生年金についての質問です。

■Q:64歳のパートで働く主婦です。特別支給の老齢厚生年金はもう制度が終わったと聞きました。私の世代ももらえるのでしょうか?
「1961年生まれの64歳の扶養のパートで働く主婦です。特別支給の老齢厚生年金はもう制度が終わったと聞きました。私の世代ももらえるのでしょうか? もらえるのであれば、どこに申請すればいいの?」(Nさん)

■A:1961年(昭和36年)生まれの女性は、受給要件を満たしていれば、62歳から特別支給の老齢厚生年金を受け取れます。一方、男性の場合は同じ生まれ年でも4月2日以降生まれの人はもらえません
昭和60年に年金の法律改正があり、老齢厚生年金の受給開始年齢が、60歳から65歳に引き上げられました。老齢厚生年金の受給開始年齢を段階的に、スムーズに引き上げるために設けられたのが「特別支給の老齢厚生年金」の制度です。

特別支給の老齢厚生年金がもらえるのは、次の要件を満たしている人です。

①男性:昭和36年4月1日以前生まれ
②女性:昭和41年4月1日以前生まれ
③老齢基礎年金の受給資格期間(10年)がある
④厚生年金保険などの加入期間が1年以上ある
⑤生年月日に応じた受給開始年齢に達している

相談者のNさんは1961年(昭和36年)生まれの64歳の女性とのこと。老齢基礎年金の受給資格があり、厚生年金の加入期間が1年以上あれば、62歳から特別支給の老齢厚生年金を受け取れます。
一方で、男性の場合は1961年(昭和36年)4月2日以降生まれの人は、特別支給の老齢厚生年金を受け取れない世代に当たります。

このように、同じ生まれ年でも性別によって受給できるかどうかが異なるため注意が必要です。

特別支給の老齢厚生年金の受給要件を満たしていれば、Nさんの62歳の誕生日の3カ月前に、基礎年金番号、氏名、生年月日、性別、住所および年金加入記録をあらかじめ印字された「年金請求書(事前送付用)」および年金の請求手続きの案内が、日本年金機構から届いていると思われます。

年金は受給要件を満たした時から5年を経過してしまうと時効により受給権が失効してしまい、受け取れなくなってしまいます。早めに年金事務所に問い合わせをして請求手続きをしましょう。

監修・文/深川 弘恵(ファイナンシャルプランナー)
都市銀行や保険会社、保険代理店での業務経験を通じて、CFP、証券外務員の資格を取得。相談業務やマネーセミナーの講師、資格本の編集等に従事。日本FP協会の埼玉支部においてFP活動を行っている。
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