■11月株式市場の傾向(日経平均225銘柄)
11月は、相場全体の株価が乱高下しやすい傾向にあります。今回は、値動きが激しい相場の中でも特に、株価が下がりやすい傾向にある銘柄をご紹介します。
株価が下がりやすい銘柄を事前に知っておくことで、不用意に損失をこうむるリスクを回避できるでしょう。

株価が下がりやすい銘柄をご紹介する前に、11月の相場の日経平均採用銘柄(225銘柄)について、過去の株価データを用いて検証してみました。

■検証対象:日経平均採用銘柄(225銘柄)
■検証期間:2000年1月1日~2025年9月30日
■1銘柄当たりの投資金額:20万円
■買い条件:10月末の寄り付きで買い
■売り条件:25日経過後の翌営業日寄り付きで売り

10月末に日経平均採用銘柄(225銘柄)を購入し、25日経過後に売却した場合について検証を行います。仮に、勝率が50%以上で損益がプラスならば、11月は株価が上がりやすい月となります。反対に損益がマイナスであるならば、11月は下がりやすい月だといえるでしょう。

以上のルールで過去のデータを用いて検証した結果は、以下の通りです。
【2025年】11月に買ってはいけない銘柄は?
日経225銘柄の損益の推移(出典:システムトレードの達人)

【検証結果】
勝率:54.23%
勝ち数:2,812回
負け数:2,373回
引き分け数:41回

平均損益(円):1,816円
平均損益(率):0.91%

平均利益(円):15,670円
平均利益(率):7.84%

平均損失(円):-14,569円
平均損失(率):-7.28%

合計損益(円):9,492,971円
合計損益(率):4,746.60%

合計利益(円):44,065,422円
合計利益(率):22,033.40%

合計損失(円):-34,572,451円
合計損失(率):-17,286.80%

PF(プロフィット・ファクター):1.275
平均保持日数:24.06日

以上が、11月の株式市場(日経平均225銘柄)の検証結果です。結果を見てみると、勝率は54.23%、平均損益(率)は0.91%となっています。勝率が5割を超え、1トレード当たりの平均損益がプラスとなっていることから、11月の日経平均採用銘柄は、上がる傾向があるという結果となりました。

では最後に、11月相場の日経平均採用銘柄(225銘柄)は株価が上がりやすい傾向である中で、株価が下がりやすい傾向にある銘柄をご紹介します。

■11月の低成績銘柄ランキング
【2025年】11月に買ってはいけない銘柄は?
11月の低成績銘柄ランキング(出典:システムトレードの達人)

表は、先ほどの日経平均採用銘柄(225銘柄)を対象とした検証において、勝率が低かった銘柄のランキングです。銘柄全体を見渡すと、似た業種の銘柄が多く掲載されています。


例えば、下記のような「不動産・住宅関連」の銘柄です。

<8801>三井不動産【勝率:36.00%】
<8802>三菱地所【勝率:36.00%】
<8830>住友不動産【勝率:36.00%】

不動産セクターは金利上昇懸念が強まる局面で売られやすく、11月は米国金利動向や国内金融政策への思惑から株価が伸び悩むことが多い時期です。以上のように、低勝率銘柄の多くは景気敏感セクターや季節要因の影響を受けやすい業種で構成されていることが分かります。

日経平均採用銘柄(225銘柄)は、11月相場では上がりやすい傾向があるものの、表の銘柄をトレードするのは、11月相場では要注意といえるでしょう。

どの業種の個別銘柄も、株価が上がりやすい月と下がりやすい月があります。今回のような簡単な検証は、11月の投資戦略を考える上での有効な判断材料の1つになるでしょう。

11月は株式市場全体が株価の乱高下がしやすい傾向にありますから、過去の勝率が低い銘柄よりは、成績が良好な銘柄をトレードした方が、よりリスクを抑えられるでしょう。

これらの数字はあくまでも過去の検証結果ですので、これから先の未来でも同様の結果になる保証はありません。しかしながら、統計的な背景がある数字は、カンよりもはるかに信ぴょう性が高いものです。皆さんも投資する際には一度検証してみてくださいね。

※このテーマでの検証については、【システムトレードの達人】を使って検証しています。記事の内容に関しては万全を期しておりますが、その内容の正確性および安全性、利用者にとっての有用性を保証するものではありません。
当社及び関係者は一切の責任を負わないものとします。投資判断はご自身の責任でお願いします

文:西村 剛(証券アナリスト、ファンドマネジャー)
国内運用会社にて中小型株式ファンドマネージャー兼アナリストを経て独立。個人投資家に分かりやすく株式投資を伝授すべく、講演や執筆を行う。『夕刊フジ』3年連続 株-1グランプリ グランドチャンピオン。
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