■Q. 「銀杏の食べ過ぎは危険」って本当? 加熱すれば安全でしょうか?
Q. 「銀杏を食べ過ぎると危険と聞きましたが、本当でしょうか? しっかり加熱して食べれば大丈夫ですか?」

■A. 本当です。食べ過ぎると「銀杏中毒」を起こすことがあり、注意が必要です
銀杏(ぎんなん)は秋の味覚として人気がありますが、食べ過ぎると中毒症状を起こす危険があることが知られています。


銀杏の種には「メチルピリドキシン」という毒性物質が含まれており、これはビタミンB6とよく似た構造を持つため、体内でビタミンB6の働きを妨げます。その結果、ビタミンB6欠乏症のような症状を引き起こすと考えられています。

銀杏中毒の主な症状は、嘔吐・下痢・めまい・けいれん・呼吸困難などですが、過去には食べ過ぎによる死亡例も報告されています。現代では見られませんが、戦後などの栄養状態のよくない時期においては、「銀杏中毒の死亡率は約13%」にものぼったようです。

特に小さな子どもは大人よりも感受性が高く、少量でも中毒を起こすケースがあるため注意した方がよいでしょう。

また、「火を通せば安全」と考える人もいるようですが、加熱しても、メチルピリドキシンの毒性は完全には消えません。「揚げ銀杏」や「炒り銀杏」などの場合も、食べ過ぎには同じく注意が必要です。

銀杏の摂取量の目安は、大人の場合は6~7粒、子どもの場合は1~2粒までです。特に子どもの場合は中毒を起こしやすいため、年齢によっては控えるのが無難です。銀杏は1個当たり約3g・6kcalほどですが、食べ過ぎは控えた方がよいでしょう。

「少しの量をほどほどに、おいしく楽しむ」ことが大切です。

■参考
・Review of Ginkgo biloba-induced toxicity, from experimental studies to human case reports(英語)
・健常成人に発症した銀杏中毒の1例(PDF)

▼平井 千里プロフィールメタボ研究を行いエビデンスに則ったダイエットを教える管理栄養士。
小田原短期大学 食物栄養学科 准教授。女子栄養大学大学院(博士課程)修了。前職の病院での栄養科責任者、栄養相談業務の経験を活かし、現在は教壇に立つ傍ら、実践に即した栄養の基礎を発信している。
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