老後のお金や生活費が足りるのか不安ですよね。老後生活の収入の柱になるのが「老齢年金」ですが、年金制度にまつわることは難しい用語が多くて、ますます不安になってしまう人もいるのではないでしょうか。
そんな年金初心者の方の疑問に専門家が回答します。

今回は、将来の年金が足りないと感じている人からの質問です。

■Q:51歳独身。将来の年金が月14万円ほどと知ってショックを受けました。老後はどう生活すればいいでしょうか?
「51歳、一人暮らしの会社員です。将来もらえる年金を確認したところ、月14万円ほどで少な過ぎてショックを受けました。今の生活費は月22万円ほどかかっています。老後、どのように備えればいいでしょうか」(匿名希望)

■A:できるだけ長く働き、生活費のダウンサイジングを早めに進めましょう
相談者のように、将来の年金額と現在の生活費に大きな差がある場合、老後資金に不安を感じるのは当然のことです。まずは、老後の生活費の目安を確認してみましょう。

総務省統計局「家計調査(家計収支編)2024年(令和6年)平均結果の概要」によると、高齢単身・無職(年金生活)世帯の消費支出+非消費支出は、月16万2000円ほどです。

相談者の年金見込み額は月14万円とのことですので、平均的な支出でも毎月2万円以上の赤字になる可能性があります。

さらに、現在の生活費22万円を維持した場合には、

22万円 − 14万円 = 毎月8万円の赤字

年間96万円、25年間では約2400万円の貯蓄取り崩し

となり、老後の家計は大きく圧迫されます。


近年は、65歳以降も働く人が増えています。2021年の高年齢者雇用安定法の改正により、70歳まで働く機会を確保することが企業の努力義務となり、再雇用制度なども拡充されています。

長く働くことで、
・収入が確保できる
・貯蓄の取り崩しが少なくなる
・厚生年金の加入期間が延び、将来の年金額が増える
といったメリットがあります。

健康に無理のない範囲で、可能な限り働き続けることを検討してみましょう。

■生活費の見直しは早めに始めるのがおすすめ
老後にいきなり生活費を減らすのは難しいため、今のうちから徐々にダウンサイジングすることが大切です。

・スマホ代、保険料などの固定費を見直す
・サブスクリプションサービスの整理
・食費・日用品の無駄を減らす
・現在、家賃がかかっているのであれば、実家に帰るなど、将来的に住居費を抑える選択肢も考える

こうした見直しによって、老後に向けた安心感が生まれます。

将来の年金額が14万円というのは、決して少なくはありませんが、現在の生活費22万円とは大きな差があります。

老後の不安を減らすためには、できるだけ長く働き、収入と将来の年金額を増やすこと、生活費のダウンサイジングを早めに進めること。

この2つが現実的かつ効果的な対策になります。

監修・文/深川 弘恵(ファイナンシャルプランナー)
都市銀行や保険会社、保険代理店での業務経験を通じて、CFP、証券外務員の資格を取得。相談業務やマネーセミナーの講師、資格本の編集等に従事。日本FP協会の埼玉支部においてFP活動を行っている。

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