ゆうちょ銀行の口座数は約1億2000万口座(2024年3月末時点)と、日本の人口に匹敵する普及率です。全国どこでも使える利便性からゆうちょ口座を持っている方は多いでしょう。


今回は、通常貯金の特徴を整理し、10万円、100万円を預けた場合の利息をシミュレーションしてみましょう。

■ゆうちょ銀行の通常貯金の特徴は?
ゆうちょ銀行の通常貯金は、一般的な銀行の普通預金に相当し、給与や年金の受け取り、公共料金の支払いなどに使う「おサイフ代わり」の口座です。主な特徴を見てみましょう。

▼全国どこでも使える利便性と手数料の安さ通常貯金の最大の魅力は、その広範なネットワークと手数料の安さにあります。

【広範なネットワーク】
ゆうちょ銀行は、かつて「郵便貯金」として全国に浸透していたため、都市部から地方までATMや窓口が幅広く整備されています。転勤や旅行が多い人でも、口座をそのまま使い続けられるため非常に便利です。

【無料のATM利用】
ゆうちょ銀行や郵便局の窓口・店舗内に設置されているATMでは、曜日や時間帯にかかわらず、通常貯金の入出金手数料が無料です。

ただし、ファミリーマート内にある小型ATMや駅・ショッピングセンターなどに設置されている一部のATMでは、平日8:45~18:00および土曜日9:00~14:00の時間帯のみ手数料が無料となります。これ以外の時間帯に利用すると、1回につき税込みで110円の手数料がかかるため注意が必要です。

▼資金の出し入れに制限なし預入期間の制限はなく、1円以上(1円単位)から預け入れが可能です。給与や年金の自動受け取り、公共料金などの自動払込みといった、日常の決済サービスが利用できます。

金利は「0.2%(2025年12月時点)」と、みずほ銀行などの都市銀行の普通預金と同程度の水準で、日常で使う口座として標準的といえます。


▼便利に貯めて管理する機能現代の家計管理に役立つ便利な機能も提供されています。

例えば「ゆうちょ通帳アプリ」を利用すれば、残高や入出金がスマートフォンで手軽に確認できます。

また、通常貯金から定期貯金や定額貯金に自動積立もできます。1000円からと少額で始められることや、毎月決まった日に自動で積み立てができるなど、自然と貯金習慣が身に付く機能が備わっています。

■通常貯金に10万円・100万円を預けた場合の1年後の元利合計金額は?
以下の条件で通常貯金に預け入れした場合の元利合計金額を計算してみましょう。

・預入額:10万円・100万円
・金利:0.2%(2025年12月時点)
・預入期間:1年
・利息計算方法:1年を365日とする日割計算
・1年間、金利も預金残高も変わらなかった場合を想定

▼シミュレーション結果・通常貯金に10万円預け入れした場合:約10万160円(税引後)
・通常貯金に100万円預け入れした場合:約100万1594円(税引後)

なお、利息からは一律20.315%の税金が引かれます。

ご覧の通り、通常貯金は利便性が高い半面、利息はわずか……。資金を増やすことを目的とする場合は、他の運用方法を検討する必要があります。

参照:通常貯金-ゆうちょ銀行

■ゆうちょの通常貯金から始まる「攻めと守り」の資産運用
ゆうちょ銀行には、個人の目標に合わせた「攻め」と「守り」の商品を取り扱っています。

▼iDeCo(個人型確定拠出年金)やNISAなどの税制優遇商品「老後の資金を増やしたい」という目標を持つ方には、国が優遇している制度を活用した「攻め」の運用がおすすめです。

【iDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)】
iDeCo(イデコ)は、税制優遇を受けながら「自分年金」をつくる制度です。

毎月自分で積み立てたお金を、預金・保険・投資信託などの金融商品で運用し、原則60歳以降に年金として受け取る仕組みになっています。
最大のメリットは、積み立てた掛金がそのまま「所得控除」として扱われ、年末調整や確定申告で税金が安くなる点。

また、運用で得た利益も非課税になるため、効率よく資産を増やせるのが特徴です。加入できるのは原則20歳以上60歳または65歳未満の人(被保険者の種類ごとに異なる)ですが、2028年ごろには加入年齢の上限が70歳未満に引き上げられる予定。これにより、定年後も積立を続けられる期間が長くなり、老後資金づくりの選択肢がさらに広がるでしょう。

参照:厚生労働省「iDeCoの加入可能年齢・受給開始可能年齢」

【NISA】
NISAは、株式や投資信託で得た利益が非課税になる、とてもお得な投資制度です。

2024年から制度が大きく拡充され、年間最大360万円まで非課税で投資ができるようになりました(内訳:成長投資枠240万円・つみたて投資枠120万円)。さらに、この非課税で運用できる金額には上限があり、生涯で最大1800万円までが対象となります(成長投資枠は最大1200万円)。

改正前のNISAでは非課税期間が決まっていましたが、現行のNISAでは非課税期間が無期限。しかも、投資した商品を売った場合、使用した非課税投資枠が翌年に回復し、再び非課税の投資ができます。

▼個人向け国債個人向け国債は、国が発行する債券であり、安全性が非常に高いのが特徴です。最低金利(年0.05%)が保証されており、中途解約も可能(ただし条件あり)です。

個人向け国債には、「変動10年」「固定5年」「固定3年」という3つのタイプがあり、それぞれ、利息(=金利)の付き方や満期(お金が戻ってくるまでの期間)が異なります。


個人向け国債は、「元本を減らしたくない」という「守り中心」の資産運用を希望する方に向いています。

■まとめ
どこに住んでいても使いやすい銀行として知られるゆうちょ銀行。しかし、通常貯金は生活資金の管理に便利ですが、利息はわずか。物足りないと思ったら、次は個人向け国債や、NISA・iDeCoのような税制優遇商品を活用し、より積極的な「攻めと守り」の資産運用にステップアップしましょう。

文:舟本 美子(ファイナンシャルプランナー)
会計事務所、保険代理店や外資系の保険会社で営業職として勤務後、FPとして独立。人と比較しない自分に合ったお金との付き合い方を発信。3匹の保護猫と暮らす。All About おひとりさまのお金・ペットのお金ガイド。
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