年末になると、来年に向けた計画を立てる方は多いのではないでしょうか。特に50代は、これまでの経験を生かしつつ、今後の人生をより豊かにするための大切な節目です。


2026年も、物価高騰による家計の圧迫や、老後の貧困リスクへの懸念が続きそうですが、やるべき備えをしておけば、気持ちも前向きになるはずです。

今回は、こうした時代背景だからこそ、50代がこれから先のお金を「守り」、さらに「増やす」ためにやっておきたいことを2つご紹介します。

■必ずやることは「固定費削減」、次は「老後の軸」に合わせた支出の見直し
50代は収入面でのピークを過ぎるため「節約」の重要性を感じる時期です。今までと同じお金の使い方では、後半の人生が先細ってしまうことを認識しましょう。

まず、日々の生活で無駄な支出を洗い出します。王道は固定費の見直しです。保険や通信費、自家用車にかかる費用、漫然と契約しているサブスクリプション費(定額サービス代)など、毎月自動的に出ていくお金を削減するだけで、年間数千円~数万円、大きければ数十万円もの節約効果が得られます。

さらに一歩踏み込んで、「老後の軸」に合わせた支出の見直しを行いましょう。

ただ漫然と節約しようと思うのではなく、「これからの人生で何を大切にしたいか」を基準にお金の使い方を見直します。例えば、「誘われたからなんとなく行く飲み会」や「付き合いだけの旅行・ショッピング」に、貴重なお金と時間を使っていませんか?

50代は、これからの人生で「誰と過ごしたいか」「何に時間を使いたいか」を真剣に選ぶ時期です。「見栄や惰性の出費」を思い切って手放し、自分が本当に大切にしたい時間や、心許せる仲間との交流にお金を集中させる。この「選択と集中」こそが、限られた収入でも心豊かな満足感を得るための鍵となります。


■収入が減る前に「稼ぐ力」の準備を
定年後も働く人は多いですが、再雇用などで非正規や時短勤務に切り替わると、収入が減少傾向になるのは避けられません。そうなると、現役時代とのギャップから、やりがいや収入に対する不満でやる気が落ちてしまうケースもあります。

しかし、長く働くことは老後生活を支える上で非常に重要です。収入の確保はもちろん、規則正しい暮らしのリズムや、人との交流による孤独防止など、お金以上の価値があるからです。

無理せず長く働き続けるために、年末年始の時間を使って以下の2つを準備しておきましょう。

【強みと経験の棚卸し】
会社名や肩書きを外したとき、自分には何ができるのか。「好きな作業」「苦にならない業務」を書き出し、自分に合った働き方のヒントを探しましょう。

【人脈の再構築】
50歳以降の仕事探しにおいて、「人脈」は真価を発揮します。ハローワークだけでなく、知人の紹介で仕事が決まることも多いためです。年末年始は、かつての同僚や知人に「近況報告」を送る絶好のチャンス。「定年後も何かしたいと考えていて」と軽く伝えておくだけで、思わぬところから声が掛かるかもしれません。

■2026年を豊かな一年にするために
2026年を豊かな年にするための基本は、「自分軸」と「つながり」です。


惰性で使っていたお金を見直して「自分らしい時間の使い方」を確立すること。そして、社会や人との「つながり」を維持して稼ぐ種まきをしておくこと。この2つに取り組んでおきましょう。そうすることで、50代やそれ以降も安心して過ごせる土台を作ることができます。

文:舟本 美子(ファイナンシャルプランナー)
会計事務所、保険代理店や外資系の保険会社で営業職として勤務後、FPとして独立。人と比較しない自分に合ったお金との付き合い方を発信。3匹の保護猫と暮らす。All About おひとりさまのお金・ペットのお金ガイド。
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