■Q. 飲酒後の入浴は危険? 飲み会の後は、シャワーだけなら大丈夫でしょうか?
Q. 「『アルコールが入った状態での入浴は危険』と言われますが、飲み会の後は、お風呂に入ってから休みたいです。お店で汗をかいていたり、場所によってはタバコの匂いが気になったりするからです。


少し酔っているくらいなら大丈夫でしょうか? シャワーだけにしたほうがいい、などアドバイスがあれば教えてください」

■A. 飲酒後の入浴は命にかかわります。シャワーを含め、避けたほうが賢明です
飲酒後にお風呂へ入ると、体が温まることで血圧が急激に下がりやすくなります。

アルコールには血管を広げる作用があるため、入浴の影響と重なると血流が不安定になり、立ちくらみや意識の喪失を引き起こす危険があります。浴槽の中で気を失うと溺れてしまう可能性もあり、非常に危険です。

国の統計によると「浴槽内での溺死及び溺水による死亡数」は年間6333人です(2023年)。うち、約95%は65歳以上の高齢者ですが、65歳未満の死亡者数も322人に上ります。若くても入浴中の事故は決して他人事ではないのです。

特に冬場は、脱衣所と浴室の温度差で血圧が乱れやすく、脳卒中や心筋梗塞などの重大な発作につながることがあります。飲酒後はさらにリスクが上がることを忘れないようにしましょう。

「シャワーだけなら大丈夫」と思う方も多いかもしれませんが、酔いが残っている状態では転倒のリスクもあります。ふらついたり足元が滑ったりして、思わぬケガにつながることも珍しくありません。

「すでに酔いがさめていて、意識も体調もしっかりしている」と自分で思っていても、座った姿勢でぬるめのシャワーを浴びる程度にとどめるなど、慎重にするに越したことはありません。


基本的には、シャワーだけであっても飲酒後のお風呂は控えるのが賢明です。

▼早坂 信哉プロフィールお風呂・温泉の正しい情報を伝える 温泉療法専門医。浜松医科大学准教授、大東文化大学教授 などを経て、2015年より東京都市大学人間科学部教授(現職)。一般財団法人日本健康開発財団温泉医科学研究所所長も兼任。
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