なぜ還付されるのか、還付の対象者や確認方法について、経済ジャーナリストでAll Aboutマネーガイドの酒井富士子さんに教えてもらいました。
■なぜ、源泉徴収された所得税が還付されるのか
令和7年度の税制改正により、所得税の基礎控除が48万円から最高95万円に大幅に引き上げられました。
これにより、公的年金の源泉徴収の対象とならない年金額は、158万円未満から205万円未満(65歳未満は108万円未満から155万円未満)に引き上げられることになります。つまり、今回の改正で所得税がかからない人が増えることになります。
これまで年金から源泉徴収されていた方は、令和7年度分から所得税がゼロになる、または減額されると考えられます。
今回の改正は令和7年分に適用されますが、10月支給分までは改正前の金額で所得税が源泉徴収されてきました。そのため、払い過ぎていた所得税(2月・4月・6月・8月・10月分の源泉徴収分)をまとめて精算する仕組みが取られます。
具体的には12月の年金支給日にまとめて還付されることになります。
図は、日本年金機構のお知らせ(令和7年分の所得税の還付対応)にて案内された還付対応のイメージです。源泉徴収額、過納額、還付額とも一例ですが、どのように還付されるかのイメージとして参考にしてください。
■12月の年金で還付されるのはどんな人?
年金収入の目安としては、まず年金額が205万円未満(月々の年金が約17万円以下)の方は、所得が年金のみの場合、所得税はゼロになることから、これまで源泉徴収されていた金額全てが還付されると考えられます。
また、年金額が205万円以上の方も控除額が上がったことから一部が還付されます。
実際にどれくらい戻るかは、受給している年金の種類やその他の収入、控除の状況などによって異なるので、必ず12月の「年金振込通知書」で確認してみましょう。
■年金振込通知書の確認方法
年金振込通知書に記載されている所得税額の欄がマイナスの表示になっていれば、還付されていることになります。
なお、年金以外にアルバイト収入やその他の所得がある場合は、税額や戻り方が異なりますので、ご注意ください。
また、住民税は税制改正していないため、住民税の課税額や非課税世帯のルールなどは変更ありません。
文:酒井 富士子(経済ジャーナリスト)
「日経ウーマン」「日経マネー」副編集長歴任後、リクルートに転職し、定年あるじゃん、あるじゃん投資BOOK等の立ち上げ・編集に関わる。2006年にお金専門の制作プロダクション「回遊舎」を創業。「ポイ活」の専門家としても情報発信を行う。
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