特に激動の現代では、“これまでとは違った理由”で縁を切る関係が増えてきています。
■これまでの「人間関係の整理」との違い
これまでは、距離をあける相手というのは、「自分に悪影響を与える人」が多かったものです。例えば、一緒にいると「ストレスがたまる相手」「不幸なことが増える相手」「自分の魅力を損なわせる相手」など。
もちろんこういった良くない相手との縁は、これからも切っていった方がいいでしょう。
ただ、目まぐるしく状況が変わってきている現代においては、「はっきりした理由がなくても、距離をあけた方が互いに楽になれる関係」もあります。
例えば、これまでは気が合っていたのに、だんだん「一緒にいるとしっくりこない」「話していて調子が狂う」「世界の見方が違う」といった“説明できない違和感”が出てきている関係などです。
「相手が悪いわけでもなければ、自分も悪いわけでもないけど、離れた方が互いにいい関係」というのは、現実的にあるのです。
■仲のよかった人と合わなくなってきている理由
なぜ「今までは合っていたのに、合わなくなっている関係」が増えているのかというと、世の中が目まぐるしく変わってきているので、「これまでと同じ価値観で生きようとする人」と「新しい価値観に変わっていく人」では、世界の見え方が大きく違ってくるからです。
特に、お金を含め、「物質的なものなど、“目に見えるもの”を重視する人(=物質優位の人)」と、心の在り方など、「精神的なことといった“目に見えないもの”を大切にする人(=精神優位の人)」とでは、人生の選択で選ぶもの、生き方が変わってきています。
だから、相手のことを嫌いになったわけではなくても、一緒にはいられなくなることも増えてくるのです。
■物質優位の人と精神優位の人の違い
物質優位の人と精神優位の人では、具体的にどんなことが違うでしょうか?
▼・価値観の違い物質優位の人は、「損か得かを最初に考える」のに対し、精神優位の人は、「心地よさ、調和がとれているかを優先する」。
▼・お金に関する感覚物質優位の人は、「お金があれば、問題は解決できると考える」のに対し、精神優位の人は、「お金では買えないものの価値を見いだす」。
▼・人間関係の特徴物質優位の人は、「評価・地位・ブランドなどで人を見る」のに対し、精神優位の人は、「雰囲気・誠意・温度感・相性を重視する」。
▼・仕事のスタンス物質優位の人は、「売上・数字など、目に見える評価を重視する」のに対し、精神優位の人は、「関わった人たちの心が満たされることを大切にする」。
▼・トラブル時の姿勢物質優位の人は、「責任の所在を探し、補償・返金・謝罪などで早急に問題解決を図り、自分が損しないことを重視する」のに対し、精神優位の人は、「学びや気付きを重視し、改善点を探り、二度と同じことが起こらないことを大切にする」。
まとめると、物質優位の人は、「形、お金(報酬)、結果」を重視し、精神優位の人は、「意識、調和、過程と成長」を大切にするので、同じものを選ばないことは多く、合わなくなってくるのです。
■物質優位からの精神優位の社会へ
これまでの社会は、物質優位に向かっていたので、会社、学校などでも数字、点数、結果が重視されることが多く、それが正しいことなのだと学習してきた人は多くいます。
でも、だんだん私たちは、いくら「数字、点数、結果」がよくても、それと幸せは必ずしも比例しないことにも気付き始めています。
そもそも、なぜ私たちは生きるのかというと、「幸せになるため」です。単に、社会的地位を得たり、お金持ちになるためではありません。そこに気付く必要があるのですよね。
「物質優位の人は、これまでの価値観で生きようとする人」であり、「精神優位の人は、新しい価値観を大切にしようとする人」だと言ってもいいでしょう。
■お金で買えないものは何か?
ここで改めて「お金で買えないものは何か」について考えることは大切です。
▼・お金で買えないもの1:愛情や真心お金で「サービス」は買えても、「本気であなたを大切に思う気持ち」は買うことはできません。
▼・お金で買えないもの2:経験と体験お金で「他の人に代行してもらう」ことはできても、「相手の経験と体験」を買うことはできません。実際に自分でやってみないと分からないことも多いし、経験が少ないと、相手の気持ちを理解できないこともあります。
▼・お金で買えないもの3:精神の成長どれだけ「贅沢三昧の環境」を体験できても、「精神の学び、成長」は買うことはできません。
▼・お金で買えないもの4:心の平和お金で「快適さ」は得られるけど、本当の意味での「心の静けさ、満ち足りた感覚」は買うことはできません。心の平和は「精神の成熟」があってこそ。
「精神を成熟させる」とはどういうことかというと、究極なことを言えば、「自分のことも、自分以外の人のことも愛せる人になる」ことであり、「相手を自分のことのように思えるようになる」ということです。
それだけ大きな愛を持てるようになると、物質優位ではいられなくなります。物質は有限のため、基本的に“弱肉強食の奪い合いの世界”であることが多いからです。
■相手を否定しないで、離れよう
1つ勘違いをしてはいけないのは、「生き方に正解はない」ということです。誰もが限られた人生の時間の中で、自分に必要な経験をしています。
「失敗すること」も大切な経験であり、その人にとって「今、必要な経験であること」である場合が多いのです。
ただ、精神優位の人と物質優位の人が一緒にいると、“自分が大切にしているもの”を守れなくなり、不満がたまることも増えてきます。
例えば、物質優位の人は、“目に見える損得”で物事をはかるため、「相手だって得するのだから、これでいいだろう」と考えがち。でも、精神優位の人が大切にしているものは、そんな“目に見えているもの”ではなく、愛、思いやり、夢など、“目に見えないもの”であることが多いのです。
“見えているもの、大切なものが違うもの同士”で何かを一緒にやっていくのは、難しいことが多いし、互いに消耗していきます。その場合は、やはり距離をあけた方がいいでしょう。
縁を切るときは、「相手を否定しないで、離れる」ことは大切です。相手は相手なりに、“自分の正しさ”をもって生きていることは忘れずに。
互いの幸せのためにも、上手に人間関係の整理をしていきたいものですね。









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