管理栄養士の仕事をしていると、時折「発酵食品は腐るのか」と質問されることがあります。

確かに「発酵」と「腐敗」は、微生物にとっては同じ現象です。
微生物の働きによって食品中の有機物が分解されていく点では、発酵も腐敗も変わりません。人間にとって好ましい分解を「発酵」、有害な分解を「腐敗」と呼んでいるだけですので、両者の線引きは必ずしも明確ではないのです。

賞味期限が過ぎた発酵食品は、発酵が進むのか、腐るのか、分かりやすく解説します。

■賞味期限切れや手作り品は迷いやすい? 食品によって腐敗しやすさに差も
商品としてスーパーなどの店頭に並んでいる発酵食品なら、腐敗の心配はいらないでしょう。しかし、自宅で作った発酵食品や、市販品でも賞味期限を過ぎてしまったものの場合、独特な風味が発酵が進んだだけなのか、劣化して腐敗し始めているのか、迷う人が多いようです。

一例ですが、みそやしょうゆ、納豆、チーズなどは比較的腐敗しにくい食品です。しかし甘酒や加糖ヨーグルトのように糖分を含むものは、別の微生物が繁殖することで腐敗が進むことがあります。発酵食品と一まとめにせず、腐敗しやすさを知っておくことも判断の助けになります。

■賞味期限切れは要注意! 発酵か腐敗かは五感で見極め、「食べない判断」も大切
賞味期限が切れて発酵が進んだ場合、キムチなどは酸味が強くなります。こうした味の変化を好む人もいますが、指定された保存方法を守っていても、賞味期限が切れた食品は必ずしも安全とは言い切れません。

そのため、におい、見た目、状態などに異常がないかは、必ず自分自身の五感で確認することが大切です。明らかに異臭を感じる場合や、カビやぬめりなどが見られる場合は、「発酵食品だから、発酵が進んだんだろう」とは判断せず、食べない判断をすることが重要です。


発酵食品であれ、食品メーカーは「今が食べ頃」というタイミングで出荷しています。食の安全の観点からは、購入後はできるだけ早めに、賞味期限内に食べた方がよいでしょう。

▼参考・「発酵」と「腐敗」の違いは何で決まる?(東京薬科大学)
・発酵マイスターに聞く!知って得する発酵豆知識 発酵と腐敗・熟成の違いって何?(マルコメ)

▼平井 千里プロフィールメタボ研究を行いエビデンスに則ったダイエットを教える管理栄養士。小田原短期大学 食物栄養学科 准教授。女子栄養大学大学院(博士課程)修了。前職の病院での栄養科責任者、栄養相談業務の経験を活かし、現在は教壇に立つ傍ら、実践に即した栄養の基礎を発信している。
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