お金の使い方や管理のクセは、実は「日ごろの言葉遣い」に表れます。なかでも、一生貧乏体質から抜け出せない人ほど、無意識のうちに「自分を縛る言い回し」を使ってしまいがち。
これらの言葉は、行動を止めたり、成長を妨げたりします。使い続けていると、家計の改善チャンスを閉ざしてしまいます。

今回は、貧乏を固定化させる代表的な言い回しと、その改善ポイント、お金持ち体質に変わる言葉遣いを分かりやすく解説します。

■貧乏ループを招く「3大ネガティブ口ぐせ」
一生貧乏な人に共通しているのは、行動力や気力を奪うネガティブな口ぐせが習慣化していることです。これらは、自分自身の可能性を狭め、未来の選択肢を奪う「思考のブレーキ」となります。

▼ネガティブ口ぐせ1 「どうせ無理」「私にはできない」「どうせ無理」や「私にはできない」といった言葉は、自分の可能性にブレーキをかけてしまう強力な口ぐせです。どちらも共通しているのは、挑戦する気がなく、やる前から諦めている点です。

「どうせ私には無理」「あの人だからできたんでしょ!」と口にするたび、自分自身に「努力しても意味がない」と言い聞かせているようなものです。成長のための行動を止めてしまいます。また、「私は数字が苦手だから家計管理はできない」という表現も、「苦手」であればできないと決めつけ、努力する姿勢すら拒むことにつながります。

これらの口ぐせが習慣化すると、現状を改善する知識を得られず、スキルアップする意欲も失われてしまうでしょう。結果、自らの可能性が狭まり、「変われない自分」を強化してしまいます。


▼ネガティブ口ぐせ2 「あとでやる」「そのうちやりたい」「あとでやる」「そのうちやろう」という言葉は、一見ゆとりある選択のように見えますが、もっとも危険な先延ばしの口ぐせです。「家計簿は週末にまとめればいい」「投資の勉強は時間ができてから」といった言い回しは、必要な行動を遠ざけ、行動の機会を逃してしまいます。

行動が先延ばしになることで、改善のスピードがどんどん遅れてしまいます。貯蓄も、資産運用も、早く始めるほど効果が積み上がるのに、動かないままだと、将来の選択肢は確実に減っていきます。結果として、老後の不安が増したり、資産形成が遅れてしまったりという可能性が大きくなります。「あとで」は、現状を変えるチャンスを自分から奪ってしまう言葉です。

▼ネガティブ口ぐせ3 「まあ、いっか」この言葉の作用は、小さな無駄を許容し、浪費を肯定してしまうことです。「今日ぐらいぜいたくしてもまあいっか」や「予算オーバーだけど、まあいっか」といった表現が典型的です。

小さな支出の緩みが積み重なることで、気付けば家計は「大きな赤字」へと向かってしまいます。反省や改善の機会を失い、「まあ、いっか」を繰り返すことで浪費体質から抜け出せなくなります。

■お金持ち体質が使う「豊かさを引き寄せる言葉」
お金持ち体質の人は、行動力を高め、未来を切り開く言葉を自然に選んでいます。彼らに共通しているのは、「感情より事実」「後悔より改善」に意識が向いていることです。


▼現状を正しく把握する言葉を使う豊かな人は、感覚的な曖昧さではなく、数値や事実で現状を判断します。

貧乏体質の人が「最近全然お金が貯まらない……」とぼやくのに対し、お金持ち体質の人は「今月の貯蓄率が5%下がった。外食費が増えたのが原因だな」と具体的に言語化します。このように曖昧な表現を避けることで、改善すべき点が明確になり、すぐに行動に移すことができるのがポイントです。

▼目的につながる「質問力のある言葉」お金持ち体質の人は、「なぜできない?」といった原因追及ではなく、「どうすればできる?」という未来を開く問いを好みます。

貧乏体質が「なんで私は失敗ばかり?」と過去を嘆くのに対し、お金持ち体質は「この経験から何を学べる?」「次はどうすれば成功できる?」と考えます。原因ではなく“改善策”に意識が向くことで、常に前向きな行動が習慣化されるのです。

▼状況を肯定しつつ前進する「限定語」彼らは、現状を否定する代わりに、「まだ」「今は」といった限定語を効果的に使います。

例えば、「今はまだ資金が少ない。だから来月から積立を始めよう」や「知識は浅いけど、半年後には話せるレベルになっているはず」といった使い方です。これは、現状を認めつつも、その状況が「一時的である」ことを示し、改善の余地がある未来を言葉で描く習慣となります。この前向きな姿勢こそが、豊かさを呼び込む力となります。


■今日からできる! 言葉遣いを変えるアクションプラン
ネガティブな口ぐせは、思考のクセそのものです。一生貧乏のループから抜け出すためには、まず意識して言葉を変えることから始めましょう。

例えば、無意識に出てしまう「どうせ無理」という言葉を「どうすればできる?」という問いに置き換えてみてください。

また、「あとで」と先延ばしにしそうになったら、「まずは5分だけやる」と具体的な行動に落とし込みましょう。さらに、小さな無駄を許容する「まあいっか」が出た時は、「ちょっと待って、いったん考えよう」と反省と改善の機会に変えてください。

言葉は思っている以上に、家計の習慣やお金の使い方にも影響を与えます。「今日選ぶ言葉1つで未来の自分の暮らしが変わる!」は大袈裟かもしれませんが、なるべくならよい言葉を選ぶ習慣づけをしましょう。

文:舟本 美子(ファイナンシャルプランナー)
会計事務所、保険代理店や外資系の保険会社で営業職として勤務後、FPとして独立。人と比較しない自分に合ったお金との付き合い方を発信。3匹の保護猫と暮らす。All About おひとりさまのお金・ペットのお金ガイド。
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