老後のお金や生活費が足りるのか不安ですよね。老後生活の収入の柱になるのが「老齢年金」ですが、年金制度にまつわることは難しい用語が多くて、ますます不安になってしまう人もいるのではないでしょうか。
そんな年金初心者の方の疑問に専門家が回答します。

今回は、67歳で厚生年金に入らずに働きたいと考えている女性からの質問です。

■Q:私は67歳パート勤務、主人は72歳で年金生活です。厚生年金に入らずに働ける年収はいくらまで?
「私は67歳、主人は72歳で年金生活です。私は週2日パート勤務で月10万~12万円ほど収入があります。会社の規模は500人超で、週16時間の契約です。このまま厚生年金に加入せずに働きたいのですが、年収はいくらまでに抑えればよいでしょうか?」(ぽんちゃん)

■A:週20時間未満の勤務であれば、月収が8万8000円(年収換算で約106万円)を超えていても、原則として社会保険に加入する必要はありません
まず結論からいうと、週の勤務時間が20時間を超えない限り、原則として社会保険(厚生年金・健康保険)に加入する必要はありません。

これは、勤務先の規模が大きい場合でも同じです。社会保険の加入要件は、年収だけで判断されるわけではありません。短時間労働者の場合、次の条件を全て満たすと社会保険の加入対象になります。

・従業員51人以上の企業で働いている
・週20時間以上勤務している
・月額賃金が8万8000円以上
・2カ月を超えて働く見込みがある
・学生ではない

この中で特に重要なのが、「週20時間以上勤務しているかどうか」です。

ぽんちゃんさんは、勤務先の規模が500人超と大きいものの、週2日勤務で週16時間の契約とのことです。


この働き方であれば、たとえ月収が10万~12万円あり、月額賃金が8万8000円(年収換算で約106万円)を超えていても、週20時間を超えていないため、原則として社会保険に加入する必要はありません。

つまり、「年収をいくらまでに抑えなければならないか」というよりも、週20時間を超えない働き方を維持できているかどうかが最大のポイントになります。

今後、労働契約が変更されて週の所定労働時間が20時間を超えたり、実態として残業などが常態化して20時間を超えたりするようになると、社会保険の加入対象となる可能性があります。

その場合は、厚生年金への加入が必要になります。働き方が変わりそうなときは、事前に勤務先や年金事務所に確認しておくと安心です。

監修・文/深川 弘恵(ファイナンシャルプランナー)
都市銀行や保険会社、保険代理店での業務経験を通じて、CFP、証券外務員の資格を取得。相談業務やマネーセミナーの講師、資格本の編集等に従事。日本FP協会の埼玉支部においてFP活動を行っている。
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