個人向け国債の1番人気は、変動10年です。2025年12月4日から募集開始となった第189回債の金利は「1.23%」。一方、ネット銀行が扱う定期預金は、キャンペーンなどもあり「1.2%~1.25%」という高金利のものがあります。
今回は、個人向け国債「変動10年」とネット定期預金に50万円を預けた場合の1年後の利息はどのぐらい違うのか比較してみましょう。
■個人向け国債・変動10年を「金利1.23%」で50万円購入すると、1年後にもらえる利息はいくら?
個人向け国債・変動10年(金利1.23%/年)を50万円購入した場合の1年後の利息の計算は以下のとおりです。
なお、変動10年は、半年ごとに金利が見直しされますが、今回は1年間、同じ金利水準だった場合を前提に計算します。
【1年後にもらえる利息】
・50万円×1.23%=6150円
ただし、受け取った利息からは、税率20.315%(所得税および復興特別所得税15.315%と住民税5%)の「1249円」が差し引かれます。
そのため、税引き後の利息は「6150円-1249円=4901円」となります。
参照:変動10年「第189回債」財務省
■ネット銀行の定期預金に50万円預け入れたら、1年後にもらえる利息はいくら?
2025年12月時点のネット銀行で高金利の定期預金は、以下の2つがあります。
▼高金利の定期預金例(2025年12月時点)【あおぞら銀行 BANK】
・商品名:BANK The Giftスペシャル定期(期間限定の優遇定期預金)
・金利:1.25%
・注意点:新規にBANK口座を開設した方が対象となる優遇金利です(募集総額に達し次第終了)。
・預入額:50万円以上300万円以下
・預入期間:1年
参照:あおぞら銀行
【SBJ銀行 ミリオくん】
・商品名:ミリオくん(100万円上限定期預金)
・金利:1.25%
・注意点:こちらはあおぞら銀行とは異なり、新規口座開設者のみを対象とした優遇金利ではありません。
・預入額:1円以上100万円以下
・期間:1年
参照:SBJ銀行
上記の定期預金は、どちらも金利が「1.25%」。
【1年後にもらえる利息】
・50万円×1.25%=6250円
こちらも、受け取った利息からは、税率20.315%(所得税および復興特別所得税15.315%と住民税5%)の「1269円」が差し引かれます。
そのため、税引き後の利息は「6250円-1269円=4981円」となります。
ここまで、個人向け国債(変動10年)とネット銀行の定期預金で「50万円を1年間預けた場合の利息」を比較したところ、どちらも税引き後で5000円ほどという水準。
「利息の金額」だけを基準に選ぶなら、どちらを選んでも大きな違いはないと言えるでしょう。
■個人向け国債 vs 定期預金、どっちを選ぶ?
個人向け国債と定期預金どちらも「元本割れのリスクがない、安全性の高い金融商品」ですが、運用中の柔軟性や金利の仕組みには明確な違いがあります。どんな点が異なるのか、注意するポイントは何かを以下で確認しましょう。
▼解約したいときの柔軟性の違い【個人向け国債の場合】
・購入から1年経てば、1万円単位での中途換金が可能。
・必要な分だけ解約できるので、「全部は解約したくない」という場合にも対応できます。
・ただし、解約時には「直近2回分の利子(税引前)×0.79685」が差し引かれます。
・換金時に利息の一部がペナルティとして差し引かれるものの、部分的に解約できる柔軟さはメリットです。
【定期預金の場合】
・原則として途中解約は全額が対象になるため、部分解約はできません。
・解約時には当初の金利ではなく、「中途解約利率(かなり低い)」が適用されるため、期待していた利息がほとんど受け取れないことも。
・高金利を受け取るには、満期まで引き出さない覚悟が必要です。
▼金利のタイプと運用期間の違い【個人向け国債(変動10年)】
・金利は変動型で、半年ごとに見直されます。市場金利が上がれば、それに応じて受け取れる利息も増える可能性があります。
・預入期間は10年間。ただし、購入から1年が経てば、1万円単位で中途換金(解約)が可能になります。
・将来的に金利が上昇すると見込まれる局面では、長期保有で利回りアップが期待できる商品です。
【定期預金(ネット銀行など)】
・金利は「固定型」で、契約時に決まった利率が満期まで変わらず適用されます。そのため、金利の動向に関係なく、確実に利息を得ることができます。
・預入期間は1年に限らず、3年・5年など複数の選択肢があり、目的に応じて選ぶことができます。
・満期時の取り扱いについては、「自動継続」または「自動解約」があります。自動継続の場合は、満期時点の店頭表示金利が再び適用されるケースが多く、継続後の金利が下がっていると受け取れる利息も減ります。
■利息だけで選ばず、自分に合った運用先を選ぼう
個人向け国債とネット定期預金のどっちを選ぶか迷うとき、「利息が得なのは?」という点ばかりに目が行きがちです。しかし、「急にお金が必要になったときにどう対応できるか」や、「金利の変化にどれだけ柔軟に対応できるか」について考えることも大事。自分のお金の使い方や目的、生活スタイルに合った商品を選びましょう。
文:舟本 美子(ファイナンシャルプランナー)
会計事務所、保険代理店や外資系の保険会社で営業職として勤務後、FPとして独立。人と比較しない自分に合ったお金との付き合い方を発信。3匹の保護猫と暮らす。All About おひとりさまのお金・ペットのお金ガイド。
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