年末は、忘年会や家族、友人との集まりで食事をする機会が増え、“麺料理”を楽しむシーンもよくあるでしょう。しかし、パスタやラーメン、年越しそばなどの食べ方、特に「すする音」のマナーはSNSでもたびたび議論になります。


パスタはすすっていいのか、すすっていい麺とダメな麺の線引きはどこにあるのか? 気になる食事マナーについて、All About 暮らしのマナーガイドの諏内えみが解説します。

■Q. すすっていい麺ダメな麺を教えてほしいです
【今回のお悩み】
テレビやYouTubeなどで芸能人、インフルエンサーがパスタをすすっているシーンを見かけます。SNSでは「パスタをすするのはマナー違反」と言う人もいれば、あまり気にしていない人もいて、賛否両論が巻き起こることもありますよね。すすっていい麺ダメな麺について教えてください。

■A. 麺を「すする・すすらない」は文化と場で変わります
年末年始は、パスタやラーメン、うどん、年越しそばなど麺料理を口にする機会が増える季節。「すする音」はSNSでも議論になりますが、マナーの本質は、その料理が育った文化と、今いる場を俯瞰的に見る力にあると筆者は考えます。

西洋料理であるロングパスタは音を立てず、フォークで巻き取り口に運ぶ所作が美しい食べ方です。日本においても音を立てる行為は、料理人や同席者への配慮を欠く印象となり、避けるのが大人の判断でしょう。

ラーメンの起源は中国です。中国では麺を音を立ててすすることは基本的にせず、特に格式ある席や教養層の間では、音を抑え静かに食べることがよしとされています。一方、日本に渡ったラーメンは独自に進化し、香りや湯気、熱さを含めて味わう食文化として定着しました。そのため日本では、ラーメンを適度にすすることは許容され、むしろ自然と受け止められています。


つまり中国由来であっても、現在の日本でいただくラーメンは日本料理という認識です。ただし、周囲を不快にさせないよう控えめにすすることが前提となります。

「音は文化に従う」。マナーとは禁止の羅列ではなく、背景を知った上で最適解を選ぶ力。その配慮と判断力を自然に持ち合わせた方が、筆者の考える「育ちがいい人Ⓡ」です。

※「育ちがいい人Ⓡ」は諏内えみ代表 株式会社ライビウムの登録商標です。

▼諏内 えみプロフィール「マナースクール EMI SUNAI」「親子・お受験作法教室 」代表。VIPアテンダント業務を経てスクールを設立。TPOに応じた実践的で好感度の高いマナーや立ち振る舞いをレクチャー。映画やドラマで俳優への所作指導やテレビ出演多数。著書に『「育ちがいい人」だけが知っていること』(ダイヤモンド社)などがある。
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